探せてますか?
う~ん。
そもそも、本当の自分って、なに?
当事者も、今の若い子も、この「本当の自分」「私らしく」って言葉に踊らされているような気がするけど。
これって、傍若無人に、「好き勝手に生きる」ってのと同義?
「うらぁっ、俺は酒好きだ。本当の自分であるために、酒を飲みまくり、飲み続け、飲酒運転で人を轢いても、ムショ出たらまた飲み始めるぞ!」
とか、
「馬好きで何が悪い? おれの稼ぎはすべておれのため、馬につぎ込む。嫁子供? 両親? そんなものに遠慮してたら、自分らしく生きられんわ!」
とか、
「本当の自分って、アイドルだと思うんだ。だから、アイドルとしてイベントとかに出られないのが苦しいの!」
とかとか。
普通に「おいおい」って思わない?
私ってのは、当然、過去現在未来にわたって連続して存在し続けるわけ。つまり、ある瞬間突然ぽんっと、男から女になったりはしないし、男だった過去は厳然として存在するわけだし、未来においても、決して女性にはなれないわけだ。
さらに、人間、たった一人で誰とも接触なく生きてるわけじゃない。両親とか兄弟、人によっては妻や子供、さらに親族とかもいる。彼らと関係性を持っているのも「私」なわけ。
その連続性とか関係性の上、つまり現実世界に、今いる自分がまず存在するわけよ。本当の自分って、その延長線上にしか存在しない。頭の中でいろんなものを醗酵させた、いわゆる妄想とか言う奴が「本当の自分」なんじゃないのさ。
これを無視して、自分の脳内世界を、現実世界の住人に一方的に押し付けたら、そりゃ抵抗はあるよ。
頭の中でだけ、あれこれ考えないで、外に出て、人と接触して、自分をよーく観察してみればいい。
っていうか、そうしなきゃ。
本当に、自分、体は男だけど心は女なん?
それが、本当に、「本当の自分」なん?
ただの憬れとかと違うのん?
「本当の自分」=「脳内自分」
やないねんで。
脳内自分を発酵させている人、ドストエフスキーの地下室の手記でも読んでみるといい(まだ新潮文庫で出てるはず。ドストエフスキーにしてはえらい短いから、すぐ読めるでしょう)。
近代都市生活者に付きまとう病気ではあるようだけど。
# ってか↑を考えると、現在日本のGIDの大部分は、やっぱり精神病なのかもしれない……。