 滝鼻オーナー(円内)の交渉で日テレは巨人との心中覚悟。原監督には“お荷物”返上の重責がかかる |
“汐留心中”も覚悟!? 巨人は17日、原辰徳監督以下首脳陣、球団フロントらが都内に勢ぞろいしてスタッフ会議を開き、滝鼻卓雄オーナーは視聴率が低迷する地上波中継の確保に並々ならぬ決意を示した。とはいえ、批判の声の大きい大量補強、8月の北京五輪…逆風の中、巨人戦中継は守られるのか。親会社系列の日本テレビからは「巨人と心中するしかない」と悲壮感いっぱいの声が上がった。
「ウチは読売グループにいる以上、最後の最後まで巨人戦を中継し続けます。最後まで付き合うということは、ダメなら会社が傾くくらいの危険があるということですよ」
日本テレビのプロ野球中継関係者はそう悲壮感を漂わせた。
滝鼻オーナーはスタッフ会議の冒頭、「私自身もテレビ局に働きかけ、今季開幕直後9試合の地上波中継はほぼ確定した」と宣言した。日テレの巨人主催試合中継は昨年、72試合中40試合に激減。ナイター中継の視聴率も、史上最低だった2006年の9.6%こそ上回ったものの、5年ぶりのリーグ優勝を果たした割には物足りない9.8%にとどまった。そんな中、開幕後9試合の放送確定は快挙といえる。さらに、滝鼻オーナー直々の交渉が実って、日テレの主催試合中継数も昨年並みを確保できる見通しとなっている。
とはいえ、苦肉の策の結果でもある。巨人の今季開幕カードは、敵地・神宮球場での対ヤクルト3連戦で、フジテレビが全戦地上波中継するが、昨年同様、金曜(3月28日)の開幕戦はともかく、土、日はデーゲームとなる方向。親子連れなどが球場を訪れやすい上、「目玉のゴールデンタイムで1ケタ視聴率ではシャレにならないが、デーゲームとなれば8%取れれば御の字。5%台でもなんとか言い訳は立つ」(民放関係者)というテレビ局側の事情があるからだ。
日テレが中継する巨人主催試合でもデーゲームが増える見通しだが、それでもなお危機感は強い。前出の日テレ関係者は、「昨年、他局では中継権を持っているのに巨人戦の地上波放送を取りやめ、CS放送のみに切り替えるケースが目立った。視聴率争いを考えれば、バラエティーやドラマを放送した方が断然有利なのは確か。制作費も安上がりです。今年もその傾向が続くのではないか」と本音を明かす。
かくして、巨人戦中継は存亡の危機。そうでなくとも今年は、北京五輪期間中に続行される公式戦の中継は難しい。この期間ばかりは、日テレも中継権を獲得した女子マラソンを集中的にアピールすることになる。
滝鼻オーナーも「問題は8月のオリンピック期間。(テレビ局側に)数字が取れないと言われそう」と苦戦を認める。頼みの新戦力のラミレス、クルーン、グライシンガーも、他球団からの移籍で新鮮味は薄い。
日テレとて、当然低視聴率は放置できないが、他局に比べると我慢の上に我慢を強いられる立場。巨人戦に足を引っ張られれば、視聴率争いでまた後れを取ることになる。
ならば、意地でも巨人を盛り上げなければならないが、策はあるのだろうか。読売グループ幹部の一人はこんな皮肉な見解を紹介する。
「我々の間では、将来の監督候補である高橋由を特化したい気持ちが強い。ただ、日テレの現場スタッフからこんな声もあるというんだ。『今年は上原をメーンにすべき。大きな声では言いにくいが、FA権を取った上原は巨人でのラストイヤーになるかもしれない。そういう意味でも視聴者の注目度が高い。北京五輪アジア予選でも改めて存在感を示している』と。それもひとつの考え方かな」
滝鼻オーナーは、「少しでもたるんだプレーをしている選手がいれば、東京ドームを去れ、もし、大型補強で自分のポジションがないと腐っている若手がいれば(チームには)必要ない、というぐらいの気持ちで指導してほしい」とゲキを飛ばし、原監督は「ジャイアンツのレギュラーを獲るということは、プロ野球で名を残すということ」と、大量補強にも若手の奮起を求めた。テレビ中継をめぐってGブランドを守る戦いも、同時に始まる。
ZAKZAK 2008/01/18