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ホースがつなげない? 消防設備の金属盗相次ぐ 福岡

2008年01月19日12時23分

 福岡県内の病院やマンションなどで、消防設備の送水口などにつく金属製の器具がなくなる例が相次いでいる。県消防防災安全課によると、18日までに被害を受けた建物は福岡、北九州、宗像、古賀、直方の5市で62カ所にのぼる。狙われているのは、消防法で7階建て以上の建物に設置が義務づけられた「連結送水管」。器具がないと消火用のホースが差し込めず、消火活動が遅れる恐れもある。福岡県警は窃盗事件とみて捜査し、各消防局や消防本部は「見回りを強化してほしい」と呼びかけている。

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手で持っているふたとチェーン、口にはめこまれたリング状の器具が同時になくなる事例が相次いでいる=北九州市小倉北区で

 連結送水管は、1階の送水口につなげた消火用ホースから水を送り込み、圧力で水を吹き上げて各階の放水口から水を出す仕組み。高層階でも1階から階段づたいにホースを延ばす必要がなく、消火活動にあたれる。

 最も被害件数が多い北九州市の消防局が約1800カ所を調べたところ、26カ所で83の送水口の被害がわかった。若松区の若松署管内では病院や商店街などで5件発生。送水口内側のリング状のステンレス製器具や送水口のふた、チェーンなどがなくなった。工具などで取り外したとみられる。リング状の器具は新品では時価3万円程度で、被害金額は約50万円にもなるという。

 同市門司区で被害にあった病院の関係者は「防犯カメラからも死角で、あまり注意していなかった。まさか盗まれるとは」と驚く。

 福岡市と11日に最初に被害が発覚した直方市は15カ所ずつ被害を受けた。3カ所ずつの宗像、古賀両市では、団地の各階に設置された放水口からもステンレス製や真鍮(しんちゅう)製の器具が盗まれた。北九州市消防局は「初期消火の遅れにつながる」と危機感を募らせる。

 送水口は壁への埋め込み型か数十センチのポールが立つスタンド型のいずれかがほとんどだが、商店街などではアーケードの支柱に埋め込まれていることもある。各消防局・本部は「被害に気づいたら、火災に備えて一刻も早く連絡を」と話している。

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