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<青森・殺人>警察官に囲まれナイフで抵抗…長男に何が?

1月10日11時40分配信 毎日新聞


<青森・殺人>警察官に囲まれナイフで抵抗…長男に何が?

火災後、3人の遺体が見つかり、大勢の報道陣が集まった現場のアパート(右奥)周辺=青森県八戸市で2008年1月10日午前11時38分、手塚耕一郎撮影

 雪の舞う北国の住宅街で惨劇は起きた。青森県八戸市のアパートを焼いた9日の深夜火災で、母子3人の刺殺体が見つかった。無職の長男(18)の姿がなく、10日早朝、JR八戸駅で発見されると警察官に「近づくな」とナイフを振り回して抵抗した。青森県警は銃刀法違反容疑で長男を逮捕し、殺人容疑でも追及している。長男と家族の間に何があったのか−−。家庭内暴力があったとの証言もあり、県警は事件の背景も調べている。

 長男はアパートから西へ約2キロのJR八戸駅の構内で発見された。20代の男性駅員によると、長男は身長180センチほどの大柄な体に黒っぽい服を着ていたという。署員ら5人前後に囲まれると、大声で叫び、駅の外へと走って逃げた。その後、階段の下の歩道で取り押さえられ、パトカーに乗せられた。

 母(43)とともに次男(15)と長女(13)が殺害され、アパート周辺の住民や友人らは驚き、絶句した。

 一家を知る近所の人は「長男は以前は引きこもりで、家庭内で暴力をふるい、次男にナイフを突きつけたこともあった」と言う。「エアガンやナイフを集めていて、次男は『いつか兄に殺される』と言っていた」とも語った。「数年前、家に灯油をまいたこともあった」と話す人もいた。

 9日深夜に119番通報した近所の無職の男性(65)は「2階の窓から火が出て白い煙が立ちこめていた」と振り返り、近くの主婦(60)も「身近でこんな事件が起きるなんて……」と語った。

 次男と長女は八戸市立中に通い、ともに柔道部員だった。次男の同級生の男子生徒(15)は「明るい性格で、柔道部の練習に熱心に打ち込んでいた。よくゲームの話などをして、9日にも会ったばかりだったのに」と語った。母親から事件を知ったという女子生徒(15)は「(次男は)バスケも得意で今は今春の高校受験に向けて勉強中だった。今は冬休みだけれど9日も受験の学習会で一緒になった。いつもみんなを笑わせてくれた」と目に涙を浮かべていた。中学で会見した校長は「冥福(めいふく)を祈りたい。3学期開始前で、学校としても大変ショックだ」と語った。【野宮珠里、太田圭介、村松洋】

 ◇増える親族殺人…ほぼ半数占める

 警察庁によると、容疑者が成人のケースも含めると、全国で起きている殺人・殺人未遂事件のうち被害者が親族となった事件の占める割合は増加傾向にある。97年は1142件のうち446件で39.1%だった。最近では04年は45.5%、05年は44.2%と減少したが、06年は46.9%、昨年は47.8%となり、ほぼ半数を占めている。

 少年による親らを対象とした凶行が相次ぐ背景について、尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)は「家族が社会から切り離され、カプセルに入ったような状況にあることが大きい」と指摘。「30年ほど前なら、憤りは政治や学校など社会に向かっていたが、家族が社会と切り離されたため、最も身近な親に向かうようになった。親からの期待も子供にはプレッシャー。濃密な関係であるほど事件が起きやすい」とみる。

 また、福島章・上智大学名誉教授(犯罪心理学)は「奈良県や東京都板橋区であった親を殺害し、放火した事件に似ている。今回の容疑者が少年と確定したわけではないが、社会に対し、自分をアピールしたいと考え、過去に大きく報道された事件をヒントにした可能性がある」と話している。【遠山和彦、永井大介】

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最終更新:1月10日15時26分

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