医師不足時代の産科医療のあり方を市民と共に考えるフォーラム「安心してお産ができるまちづくり2008」(厚生労働省研究班主催)が20日午後1時半から、北九州市小倉北区浅野の北九州国際会議場である。国は拠点病院に産科医を集中させる「集約化」を進めているが、「近くで産みたい」と望む妊婦は多い。主催者の一人で九州大学病院の福嶋恒太郎医師(41)は「望ましい産科医療をみんなで考えて」と呼びかけている。
福嶋医師は06年度から、厚労省の補助金を受けて産科医集約化の研究に取り組んでいる。厚労省によると、産婦人科、産科の医師数(06年末)は1万751人で、10年前から1484人(約12%)も減った。このため、地域の産科医を拠点病院に集め、多くの分娩(ぶんべん)を扱う集約化は、産科医不足の打開策として注目されている。
しかし、福嶋医師が昨年10~11月、福岡県の医療機関で出産した397人に実施した調査によると、受診医療機関を選んだ理由は「家から近い」など利便性がトップ。通院に要した時間は30分以内が約9割を占めた。また「妊娠から出産後まで同じ病院で診てほしい」「どこに住んでも同じ医療を受けたい」など、集約化とは逆の意見も寄せられた。
福嶋医師は「集約化は最善策ではないが、産科医を急に増やすこともできない。どうすれば安心してお産ができるのか考えてほしい」と話す。
フォーラムには福嶋医師のほか、新生児科の医師ら3人が参加し、医療機関の連携のあり方や救急搬送についても話し合う。参加無料。問い合わせは北九州市医療課093・582・2678。【柳原美砂子】
2008年1月19日