二〇〇七年に大阪府内であった救急搬送で、患者の受け入れ先決定までに医療施設に十回以上照会したケースが、少なくとも七百三十四件あったことが十九日、消防機関に対する共同通信のアンケートで分かった。
受け入れ拒否の主な理由は「処置中」「ベッドが満床」「専門外」など。最高で六十四回受け入れ要請した例もあった。照会五回以上では年間三千八百件を超え、救急医療システムの不備が浮き彫りになった。
大阪府は地域の中核病院を増やすなどの対策を検討中。ただ診療科や医師の不足に加え、搬送依頼を繰り返す患者への対応など課題は多そうだ。
アンケートは今月、府内三十四の消防局や消防本部に〇六、〇七両年の搬送状況を尋ねた。
〇七年分については大阪市や堺市などを除く二十六機関が回答。搬送先が決まるまで二十回以上照会したのが五十九件、十―十九回が六百七十五件、五―九回が三千八十七件だった。十回以上は計七百三十四件で、未回答の大阪市などを含めると千件を超えるとみられる。
〇六、〇七両年とも回答した十八機関で比較すると、十回以上は〇六年に計百八十四件だったが〇七年には三百七十七件に倍増していた。
最近の傾向を尋ねたところ「患者が精神疾患や認知症と分かると拒否される」(八尾市消防本部)、「消化器内科や神経内科の常勤医が不足し受け入れ先が見つからない」(泉佐野市消防本部)などが挙がった。
六十四回も照会したのは豊中市の精神疾患患者。泉佐野市では救急隊が二十一回要請し、吐血患者を約一時間後に搬送した例もあった。
大阪府内では一年間に約四十五万人が救急搬送される。昨年十二月には富田林市で、三十病院に断られた女性が翌日死亡する例が起きている。
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