【パリ福井聡】中国がフランスの原発メーカーなどに対し、使用済み核燃料再処理技術の移転を求めていることが19日までにわかった。AFP通信が報じた。フランスの原発関係筋によると、仏原発大手アレバ社と仏電気大手アルストム社が、中国の広東核電集団との間で第3世代欧州加圧水型炉(EPR)原発2基の建設契約を結ぶ交渉で、中国側が技術移転を強く求めた。仏側は移転に応じる意向とみられる。
AFP通信によると、中国側は「アレバ社がはっきりと技術移転に応じない限り、契約は最終調印しない」と主張している。アレバ社はEPRの技術移転を認めたうえで、再処理技術移転にも同意することを示唆している。
総額119億ドル(約1兆3000億円)の大型契約で、アレバ社のロベルジョン会長は昨年11月に訪中した際に「民間原発史上最大の記録的な契約となる」と述べている。
核燃料再処理は、使用済み核燃料に含まれるプルトニウムやウランなどの核燃料物質を取り出すこと。回収されたプルトニウムはウランと混ぜてMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料にして軽水炉で再び利用するもので、プルサーマルと呼ばれる。
石油価格高騰でウランも含めた資源争奪戦が激しくなる中、ウランの節約・再利用を目指す中国は、再処理とプルサーマル技術の移転を熱望している。技術移転には10年以上かかるとされる。
現在、民生用核燃料の再処理施設を保有するのは英国、フランス、日本などに限られている。中国は核拡散防止条約(NPT)に加入する締約国のうえ、NPTで認められた核兵器保有国のため、法的な問題は無い。
中国の原発市場をめぐっては、日米欧の原発メーカーが激しい競争を展開している。中国側は、価格面だけでなく、技術移転などの付加価値をメーカー側に求めている実態がある。
毎日新聞 2008年1月19日 21時06分