2006年8月、福岡市東区で起きた飲酒運転による3児死亡事故で、福岡地検は18日、最高検と協議した結果、元同市職員今林大(ふとし)被告(23)に業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び運転など)の罪で懲役7年6月を言い渡した福岡地裁判決を不服として、週明けに福岡高裁に控訴する方針を固めた。地検は、危険運転致死傷罪を適用しなかった判決には「事実誤認がある」と判断。二審でも同罪の適用を主張する。

 地検は今林被告を危険運転致死傷罪などで起訴したが、地裁判決は、事故現場まで蛇行運転や居眠り運転をせず、接触事故を起こすこともなかったなどとして、同罪の構成要件の「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」には当たらないと判断。事故原因を「脇見運転」と結論づけ、業務上過失致死傷罪などの併合罪としては最高刑の懲役7年6月を言い渡した。

 判決後、地検は事故現場の海の中道大橋で再度、実況見分を行うとともに、判決内容を詳細に検討。その結果、現場が見通しのいい直線道路にもかかわらず、今林被告が被害車両に気づくのが遅れたのは「脇見による過失」ではなく、「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態だったとしか考えられない」と判断した。遺族の「控訴してほしい」との意向も考慮したとみられる。

 公判は昨年11月、検察側が危険運転致死傷罪の適用を主張し、道交法違反(ひき逃げ)罪との併合罪で最高刑の懲役25年を求刑して結審。その後、地裁が同12月、予備的訴因として業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び運転)の罪を追加するよう命令を出し、地検が応じていた。


=2008/01/19付 西日本新聞朝刊=