岡山県内の総医療費が2012年度には約6836億円に増加し、06年度(約5467億円)からの6年間で25%増えると推計されることが分かった。医療費抑制の適正化対策をとった場合は22%増にとどまるが、大幅増は避けられない見通しだ。
県が策定している「県医療費適正化計画」(08―12年度)の素案で、厚生労働省作成の計算式を用いて将来推計を算出した。医療費の伸びは、75歳以上の後期高齢者人口の増加が大きな要因だ。生活習慣病対策や平均入院日数の短縮などで医療費適正化に取り組めば、約152億円は減額できる計算という。
県民1人当たりの医療費=グラフ参照=は、06年度の約28万円から12年度に約35万4000円まで増える見通し。適正化での減額効果は1人当たり約7000円。
医療費を抑えるための適正化計画は06年に決まった医療制度改革で、都道府県に策定が義務付けられた。数値目標などを盛り込むのが特徴だ。
県の素案では、生活習慣病対策として特にメタボリック症候群に焦点を当て、今年4月から始まる特定健診(40―74歳)の受診率を12年度に70%以上、メタボリックの該当者や予備軍を10%以上削減するとの目標を設定した。
医療体制の見直しでは、国の大幅削減の方針に従い慢性期の高齢患者らが長期入院する療養病床を約5700床(06年度)から12年度末に3000床程度まで減らす。平均入院日数は35・1日(05年度)から32・5日への短縮を目指す。
病床数と入院日数の数値は、近く国が示す診療報酬改定などを受け、修正することにしており、総医療費などの数値も変わる可能性がある。
県は病院や市町村関係者らによる「県医療費適正化推進協議会」を設置して計画の策定作業を進めている。これまでの協議では県の素案に対し、複数の委員が病床数や入院日数の削減について患者への影響に懸念を表明。「減らすだけでは県民は安心感が持てない」「医療費だけでなく、介護費用も含めて議論すべきだ」など、慎重さを求める意見が相次いだ。
県は素案について今月下旬から1カ月間、県民意見を募り、3月に計画を決定する。