◎ガソリン国会 暫定税率維持は致し方ない
ガソリン価格が一リットルあたり二十五円も下がれば、家計はどんなに楽になるだろう
。暫定税率の廃止は、実質的な「減税」に近いから、息切れし始めた景気のカンフル剤になるかもしれない。ただ、道路特定財源の暫定税率を廃止すると、二兆六千億円もの歳入欠陥が生じる。石川県だけで約百四十億円、市町の総額では九十億円の不足である。この現実の厳しい数字を見れば、暫定税率維持は致し方ないのではないか。
一昨年十二月の閣議で、道路歳出を上回る道路特定財源の余剰分は、一般財源化する方
針が決まった。国の道路整備計画のなかで、どの道路が必要で、どれが不必要なのかを見極めるのは、なかなか難しい問題だが、道路整備の予算をできるだけ絞り込み、一般財源化を着実に進めていくしかない。
与野党攻防の焦点は、インド洋での給油活動の再開問題から道路特定財源の暫定税率に
移り、通常国会は「ガソリン国会」一色になりそうである。だが、給油活動にしろ、暫定税率にしろ、二大政党が一歩も引かずに「ガチンコ勝負」をしなければならぬほどの重要問題なのかという疑念もわいてくる。ダイナミックに動く国際社会のなかで、日に日に影が薄くなっていく日本の悲しい現実が透けて見えるようだ。
民主党の小沢一郎代表は、先の民主党大会で、「通常国会を生活第一、ガソリンの値下
げ国会にする」と強調した。総選挙を強く意識した発言だろうが、ガソリン価格を下げることだけを力説し、代わりの財源について、だんまりを決め込むのはいかがなものか。
福田康夫首相にしても施政方針演説で、暫定税率を「維持する必要がある」と指摘しな
がら、その理由として地球温暖化を挙げたのは、いかにも無理があった。言葉は美しくても中身が伴わず、問題の本質をそらそうとする意図が見て取れる。国民に負担を強いるなら、なおさら国民の心に響く言葉で、真正面から訴えてほしかった。
また、額賀福志郎財務相が財政演説で、「安定的な財源を確保しなければならない」と
、消費税引き上げに意欲を示したのも気になった。今、増税を切り出す政治・経済状況にあるとは思えない。
◎石川県議の定数 富山の40ぐらいが妥当
石川県議会が政務調査費の支出について、一円以上すべての公開を義務化することに合
意した。避けて通れぬ課題を一つ解決したことは評価できるが、もう一つ「痛み」を伴う大きな宿題が残っている。事実上棚上げされた状態の議員定数削減問題である。
現行の議員定数は四六で、法定数(四八)を下回っているが、富山県は早々と定数を四
五から四〇にまで減らしており、政務調査費以外に、定数削減でも先を超された格好である。石川県議会も人口規模から見て富山県並みの定数四〇ぐらいが妥当な水準だろう。これを一つの目安として、削減に向けた取り組みを急いでもらいたい。
富山県に限らず、全国の県議会は平成の大合併に伴って、定数を削ったところが少なく
ない。市町村合併で市町村議員は全国的に大幅に減り、経費削減に大きく貢献した。県議も率先して身を削り、痛みに耐えねば、行政改革の訴えもむなしく響くだけだろう。
石川県議会は〇三年の県議選で定数を二減らした。この削減をもって定数問題に一区切
りついたと考えているとしたら、大きな間違いだ。市町村議が激減するなか、お茶を濁した程度の削減では、県民の理解は得られない。県議会内では、能登で二、金沢で二、加賀で二減らす案もささやかれているようだが、妥当な線ではないか。
石川県議会は先ごろ、政務調査費をすべて公開することを決めた。一円以上すべての公
開を義務付け、一件あたり一万円超の支出は領収書、一万円以下の支出は一覧表をそれぞれ収支報告書に添付する。既に富山県や福井県など二十七道府県が似たような方法で公開の決定をしており、遅ればせながら、の印象は否めない。定数削減についても富山県議会は一昨年九月に定数を四〇に減らす決定をしている。石川県議会は、他県に先んじて改革に取り組み、県民の期待にこたえようとする意識に乏しいのはどうしたことか。
石川県議会の和田内幸三議長は先ごろ、本紙とのインタビューで定数削減に意欲を示し
、二月定例会から議論を始めると述べた。ぬるま湯を排し、身を切る覚悟で定数削減にあたってほしい。