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【静岡】藤枝市立病院の産科医師退職問題 再派遣、早くて5年先2008年1月19日 藤枝市立総合病院の産婦人科医3人全員が6月までに退職し、派遣元の浜松医科大に戻る意向を示している問題で、同医大側が引き揚げを一時的な措置とする一方、派遣再開は早くて5年先と考えていることが18日、分かった。医療界全体での医師不足が最大の原因という。同医大産婦人科学講座の金山尚裕教授が明らかにした。 金山教授は、派遣医師の引き揚げについて「伊豆地方など東部や、中東遠など、産科医不足がより深刻な地域へ医師を割り振るため」と説明。派遣できる人材が不足している点や、再開には新たな医師の育成が必要である点を強調して「今後5年から10年は難しいだろう」とした。地元住民らが抱く産科医療後退への不安に対しては「近くにほかの公立病院(焼津市立総合病院や島田市民病院など)もあり、正常分娩(ぶんべん)は問題ないと考えている。リスクが高い出産は、周囲の病院と連携を深めて対応してほしい」とした。 「全県のバランスを見て派遣先を決める必要がある」と医科大としての責任感もにじませ、「県内に医科大が一つしかない点も、人口規模から見れば問題」とした。 ただ、藤枝市立総合病院側は納得しておらず、毛利博院長は同日に会見し「一人でもいいから産科医を病院に残してほしい。とにかく粘り強く浜松医科大にお願いしていくしかない」と強調した。 中期経営計画の修正は不可避産婦人科医全員の退職問題は、藤枝市立総合病院の経営改善にも影を落としている。昨年10月の1カ月間、不適正な診療報酬請求のために保険医療機関の指定を取り消された同院は、健全化に向けた中期経営計画(2008−12年)を策定中で、大詰めを迎えていたのに、柱の一つにするつもりだった出産時期の医療強化が土壇場で困難になってしまった。 計画は未公表だが、病院長を補佐する副院長を複数置くことに加えて「がん」「脳卒中」「心筋こうそく」の三大疾病と「救急医療」「小児医療」、そして産前産後や早産などに対応する「周産期医療」を強化することが柱となる見通しだった。 だが、浜松医科大が3人の派遣医師をすべて引き揚げる意向を表明した今、産婦人科については強化どころか、診療科そのものの存続さえ危ぶまれる事態だ。 昨年の指定取り消しに続く痛手でもあり、病院側は「修正が必要になりそう」と肩を落としている。
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