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C型肝炎感染8人の救済求め提訴へ、下諏訪の院長

1月19日(土)

 薬害肝炎救済法の成立を受け、諏訪郡下諏訪町の諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長は18日、同クリニックで出産時に止血剤としてフィブリノゲンを投与し、後にC型肝炎の感染が分かった8人の救済を求めて近く提訴の手続きを取る考えを明らかにした。

 救済法の対象となるには、特定の血液製剤でC型肝炎に感染したことを証明する資料をそろえて提訴し、裁判所に被害者と認定される必要がある。法務省、厚生労働省とも「法成立後の提訴はほかではまだ聞いていない」としている。

 感染を証明する有力資料となるカルテの保存義務は5年だが、同クリニックは31年前の開業以来、約1万4000人分のカルテをすべて保存していた。

 2002年に薬害肝炎が社会問題化してから、同クリニックはすべてのカルテを調査。19人へのフィブリノゲン投与を確認し、肝機能障害で入院するなどしてC型肝炎の感染が分かっていた6人に昨年12月から全国訴訟の原告団に加わるよう勧めていた。さらに、感染は未確認ながら投与の事実があった複数の女性にも今月に入って検査を行い、2人の感染を確認していた。

 1987年に同クリニックで出産し、C型肝炎の感染が分かった女性(47)は「早く決着させたい。個人的に弁護士に頼むのは大変なので一緒に手続きしたい」と話す。別の女性は、子どもに「私が生まれなければ感染もなかったのに」と言われた時のショックを引きずってきたといい、「政治家には言いたいことがたくさんある」と参加する予定だ。

 根津院長は「フィブリノゲンを投与した医師に法的な責任はないが道義的な責任を感じる。患者に不利益が生じないよう積極的にかかわりたい」と話している。