2.研究
最新論文 「有機農業と循環型社会について」(『香川大学経済論叢』第80巻第3号)
1.ある出来事
もう解決したことだが、こんなことがあった。ゼミ生が卒論を提出する時期なのだが、同時に、卒論要旨というのを提出することになっている。もとは、地域社会システム学科が始めたことであるが、いまでは、全学科でやるようになった。
要旨は、A4で2枚と決まっていて、卒業式の日に印刷されたものが渡されるから、この提出は、卒業論文の提出と同様に大事である。卒業論文は、教員しかみないが、この要旨集は、他の学生にもみられるからである。というだけでなく、下級生にも参考のために配付されるから、どこでどう見られるかわからないものである。
というわけで、私は、要旨については、印刷されたものだけでなく、ファイルも提出せよと言ってある。メールの添付ファイルでもいいから送れ、と。
それで、だ。学生が印刷したものより、私のプリンターで打ち出した方が統一されていてよいと思ったから、送られてきたファイルを読もうとした。これが読めないのである。それでよくみると、Wordのファイルなんだが、拡張子がdocxとなっている。何だ、これは!!
officeの2007年バージョンは、こういう拡張子になるだけでなく、古いWordでは、文字化けして、そのままでは読めないということだった。わが学科の助手の人のアドバイス−「互換機能パック」というものをインストールする−で、解決したのだが、びっくりしたよ。
バージョンアップ2.定年後
officeの他のソフトも同じようなことがあるようにみえるし、本来なら、「互換機能パック」ではなく、きちんとバージョンアップすべきである。
だから、なぜバージョンアップしないのかと言われそうである。まあその通りだ。バージョンアップのために、いくらか予算を使ったので、それはできることになっていた。
しかし、肝心のパソコンが5年前に購入したもので、その後、さまざまなソフトが入って、いまやCドライブのメモリーがほとんどぎりぎりで動いている。使わないソフトを削除したりして、綱渡りでやっているのだ。だから、バージョンアップのソフトはやってきたが、インストールができない、「インストールするには、メモリーが不足しています」と拒否されてしまったのだ。
通常なら、新しいパソコンを購入するところだろうが、私は、まじめな人間で、ほとんど国家予算で動いている大学だから、無駄は省くべきだと考え、定年まで短い人間が新規にパソコンを買うなどということは許されないと考えているのである。
この真面目さは、今回はマイナスだったなあ。
こういうことは、実は、私一人に限定されていることではない。自宅でファイルを作っている学生は、私と同様で、全員古いdocファイルだった。大学の情報基盤センターで作っている学生だけが、大学が、新しいソフトを使っているので、docxになったのである。
「先生、私も大学で作成したファイルは、家では読めなかったです」と言う学生がいた。だから、世の中、この問題はいろいろなところで発生しているかもしれないのだ。
情報処理基礎という授業をやっている助手の人の話によると、学生には、終了時に古いバージョンで保存するということについて教えているということであるが、いま卒業論文をもってくる学生は4年生であるから、情報処理基礎という1年次の授業を(Wordのバージョンが変わったからといって)履修するわけではない。だから、何のことか(こちらもわからなかったが、学生も)わからないのである。
基礎ゼミ情報処理のように日々変化していくことを教えることの難しさを実感するが、こういう大学のようなところにいないと、その変化を実感することもなくなってしまう、という点こそが、私には気になる。
情報処理基礎といえば、基礎ゼミで考えさせられることがある。
基礎ゼミもそろそろ終わりになってきた。経済学部の少人数教育の目玉は、1年次の基礎ゼミと2年次のプロゼミである。2年次のプロゼミは、3年次のゼミに入る前の準備段階であるが、1年次の基礎ゼミの目的は、大学で学ぶこと、そのものをさまざまに経験させることにある。
これも、地域社会システム学科から始めたもので、いまでは、全学科でやっている。地域社会システム学科で最初始める時には、この1年次の基礎ゼミでは、学生のプレゼンテーション能力を鍛えよう、という共通の目標を設定した。学生のプレゼンテーションをどう高めていったらいいかというのは、いろいろ考えはあろうが、私は、パワーポイントを使って、ファイルを作らせ、全員の前で報告させるということにしている。まずは、あるテーマ(私の基礎ゼミのテーマは「日本経済新聞を読む」だから、日経の記事を取ってくることになるが)に基づいてレポートを作らせ、そのレポートを縮小して、パワーポイントのファイルを作らせるということにしている。
私はそのために自分の研究室ではなく、広い講義室を使おうとした。そうしたら11番教室には予約が入っていた。経営システム学科の先生の予約だった。どうも私と同じことを考えているらしかった。もうこれも数年続けていることである。さて、それで、だ。学生のプレゼンテーションについていうと、パワーポイントのファイルを作ってきて、それでスライドショーをすることについては、ほとんど問題はない。情報処理基礎という授業の成果だろう。
しかし、話す方になると、どうしてもぼそぼそと話してしまう。マイクに向かって、ゆっくりきちんと話せ、と言うのだが、なかなかうまくいかない。でも、それって、本当は、俺の授業に対して向けられるべき言葉なんだよな。
パソコンの話に戻そう。定年後が不安である。パソコンの雑誌を60歳半ばのおじいさんが必死になってみている、そんな姿、あまりやりたくないなあ。