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【発明の名称】 ペースト塗布機
【発明者】 【氏名】川隅 幸宏
【住所又は居所】東京都足立区中川四丁目13番17号 株式会社日立インダストリイズ内

【氏名】石田 茂
【住所又は居所】東京都足立区中川四丁目13番17号 株式会社日立インダストリイズ内

【氏名】三本 勝
【住所又は居所】東京都足立区中川四丁目13番17号 株式会社日立インダストリイズ内

【氏名】内藤 正美
【住所又は居所】東京都足立区中川四丁目13番17号 株式会社日立インダストリイズ内

【氏名】徳安 良紀
【住所又は居所】東京都足立区中川四丁目13番17号 株式会社日立インダストリイズ内

【要約】 【課題】リブなどで凹凸をなす基板に対しても、該基板のうねりを精度良く計測で、ペーストパターンを高精度に形成することができて、生産性を高める。

【解決手段】基板Kには、図2に示すように、ストライプ状のRaや井桁状のリブRbが設けられ、凹凸状をなしている。かかる基板KのリブRa間にペーストを塗布するノズルには、高さセンサ(例えば、非接触三角測式センサ)27が設けられている。ペーストパターン形成のためのペースト塗布に先立ち、この高さセンサ27によって基板Kのうねりを計測するのであるが、これらリブRaに対して微小角傾き、かつペースト塗布経路(この場合、リブRa間)近傍の経路に沿って高さセンサ27,基板K間の距離を測定していく。そして、その測定結果の距離データを処理してリブRaの頂点を結ぶ面を求め、これによって基板Kのうねりを検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル上に載置された凹,凸部を有する基板にノズルのペースト吐出口を対向させ、該基板の主面に垂直な方向での該ペースト吐出口と該基板との間の距離の計測を行なう高さセンサによってペーストパターン形成のためのペースト塗布工程の前に予め得られた該基板の表面のうねりデータに基づいて、該基板の主面に垂直な方向での該ノズルのペースト吐出口と該基板の表面との間の距離を所定の値に保持し、該ノズルのペースト吐出口から該基板上にペーストを吐出させながら、該基板の主面と平行な方向での該基板と該ノズルとの間の相対位置関係を変化させることにより、該基板上に所望形状のペーストパターンを形成するペースト塗布機において、
該ペースト塗布工程の前に、該基板の表面のうねりを予め検知する際に辿る該高さセンサの計測経路を該基板の凸部あるいは凹部に対して斜めに設定する手段を備えたことを特徴としたペースト塗布機。
【請求項2】
請求項1に記載のペースト塗布機において、
前記ペースト塗布工程の前で前記基板の表面のうねりを予め検知する際、ペーストパターンが前記基板上の予め決められた経路に沿って形成されるように、前記基板に施された位置決めマークに基づいて、前記基板をθ方向に位置合わせを行なう第1の手段と、
該第1の手段によって位置合わせされた前記基板をθ方向に予め設定されたずらし設定角度だけずらす第2の手段と、
該第2の手段によってθ方向に該ずらし設定角度だけずらされた前記基板に対し、前記ペースト塗布工程で前記基板にペーストパターンを形成するときのペースト塗布経路となる経路近傍を斜めに辿って、前記高さセンサで前記基板の主面に垂直な方向での前記高さセンサと前記基板の表面との間の距離の計測動作を行なう第3の手段と、
該第3の手段の計測動作によって得られた距離データを処理して、前記基板の前記凸部の頂点を結ぶ凸部面のうねりデータに変換する第4の手段と、
該第2の手段でθ方向に該ずらし設定角度だけずれた前記基板を前記第1の手段で位置合わせされた元の状態に戻す第5の手段と、
該第4の手段によって得られた該うねりデータに基づいて、前記基板の主面に垂直な方向での前記ノズルのペースト吐出口と前記基板との間の距離を前記所定の値に保持しながら、該第5の手段で該元に状態に戻された前記基板にペースト塗布を行ない、ペーストパターンを形成する第6の手段と
を備えたことを特徴としたペースト塗布機。
【請求項3】
請求項1に記載のペースト塗布機において、
前記ペースト塗布工程の前で前記基板の表面のうねりを予め検知する際、ペーストパターンが前記基板上の予め決められた経路に沿って形成されるように、前記基板に施された位置決めマークに基づいて、前記基板をθ方向に位置合わせを行なう第1の手段と、
該第1の手段によって位置合わせされた前記基板に対し、前記ペースト塗布工程で前記基板にペーストパターンを形成するときのペースト塗布経路となる経路近傍を斜めに沿う経路を辿って、前記高さセンサで前記基板の主面に垂直な方向での前記高さセンサと前記基板の表面との間の距離を計測する第2の手段と、
該第2の手段の計測動作によって得られた距離データを処理して、前記基板の凸部の頂点を結ぶ凸部面のうねりデータに変換する第3の手段と、
該第3の手段によって得られた該うねりデータに基づいて、前記基板の主面に垂直な方向での前記ノズルのペースト吐出口と前記基板との間の距離を前記所定の値に保持しながら、該第1の手段で位置合わせされた前記基板にペースト塗布を行ない、ペーストパターンを形成する第4の手段と
を備えたことを特徴としたペースト塗布機。
【請求項4】
請求項1に記載のペースト塗布機において、
前記ペースト塗布工程で前記基板にペーストパターンを形成するときのペースト塗布経路となる経路となる前記基板の主面と平行な方向での前記基板と該ノズルとの間の相対位置関係の変化の方向に直交する方向に前記高さセンサを微小距離ずつ移動させる移動機構と、
前記ペースト塗布工程で前記基板表面のうねりを予め検知する際、ペーストパターンが前記基板上の予め決められた経路に沿って形成されるように、前記基板に施された位置決めマークに基づいて、前記基板をθ方向に位置合わせを行なう第1の手段と、
該第1の手段によって位置合わせされた前記基板に対し、前記高さセンサが、前記基板の主面に垂直な方向での前記高さセンサと前記基板の表面との間の距離の計測を行ないながら、該ペースト塗布経路となる経路近傍を斜めに経路を辿るように、該移動機構により、前記基板の主面と平行な方向での前記基板と前記ノズルとの間の該相対位置関係の変化の方向に直交する方向に該高さセンサを微小距離ずつ移動させる第2の手段と、
該第2の手段の計測動作によって得られた距離データを処理して、前記基板の凸部の頂点を結ぶ凸部面のうねりデータに変換する第3の手段と、
該第3の手段によって得られた該うねりデータに基づいて、前記基板の主面に垂直な方向での前記ノズルのペースト吐出口と前記基板との間の距離を前記所定の値に保持しながら、該第1の手段で位置合わせされた前記基板にペースト塗布を行ない、ペーストパターンを形成する第4の手段と
を備えたことを特徴としたペースト塗布機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、テ−ブル上に載置した基板にノズルのペースト吐出口を対向させ、該ノズルのペースト吐出口と該基板との間の該基板の主面に垂直な方向の距離を任意に保ち、該ノズルのペースト吐出口から該基板上にペーストを吐出させながら該基板と該ノズルとの間の該基板の主面に平行な方向での相対位置関係を変化させることにより、該基板上に所望形状のペーストパタ−ンを塗布するペースト塗布機に係り、特に、プラズマディスプレイパネルの製造に際してのR,G,B3色の蛍光体などの形成に好適なペースト塗布機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネルの製造工程でR(赤)光,G(緑)光,B(青)光に発光する夫々の蛍光体(以下、これら蛍光体を、夫々、R蛍光体,G蛍光体,B蛍光体という)などの形成に用いられるペースト塗布機が知られている。
【0003】
かかるペースト塗布機は、いずれも、テ−ブル上に載置した基板にノズルの先端のペースト吐出口を対向させて、ペースト吐出口と基板との間でこの基板の主面に垂直な方向に任意の距離を持たせ(以下、この距離をノズル先端,基板間の間隔(距離)という)、ペースト吐出口から基板上にR,G,B蛍光体のペーストを吐出させながら、これらノズル先端と基板との間のこの基板の主面に平行な方向の相対位置関係(以下、ノズル先端,基板間の相対位置関係という)を変化させ、この基板上に所望形状の蛍光体のペーストパタ−ンを塗布するものである。
【0004】
特に、プラズマディスプレイパネルの基板上には、紫外線に対しては不透明なガラスからなる多数本の隔壁(リブ)が設けられ、R,G,B蛍光体のペーストはこれらリブの間の基板上に塗布される。
【0005】
かかるペースト塗布機の一例では、予め計測したノズル先端,基板間の距離やノズル先端,リブ間の距離に倣ってノズルを上下させながら、ノズル,基板間の相対位置関係を変化させることにより、基板上に蛍光体のペーストパタ−ンを塗布するようにしている。これらノズル先端,基板間の距離やノズル先端,リブ間の距離の計測は、基板の表面やリブ上に設定した3点で行なって、夫々毎に検出したこれら3点を通る仮想曲面を設定し、基板の表面上やリブ上でそれに対応する仮想曲面に平行にノズルを移動させる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
上記ペースト塗布機の他の例では、基板上から任意の高さ位置にノズル先端を設定してこのノズル先端から基板上にガイドを垂らし、このガイドに蛍光体のペーストを滴らせて各リブ間の基板上に塗布するようにしており、ノズル先端,基板間の距離は格段調整していない(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
リブ間の距離は150μm程度で微細であるため、これら従来技術では、リブ間に正確に蛍光体のペーストを塗布することに専念している。
【0008】
また、近年は蛍光体の発光効率を向上させるために画素毎に隔壁で井桁状等に仕切りを設けた隔壁構造も提案されている。
【0009】
上記ペースト塗布機のさらに他の例では、ノズルに対して先行した位置関係にある先行センサと後行した位置関係にある後行センサとが設けられ、先行センサでリブ間の基板の表面からノズル先端までの距離を測定し、後行センサでリブ間のノズル先端の位置を計測しながら、ノズルからペーストを吐出してリブ間にペーストを塗布するようにしている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平10−27543号公報
【特許文献2】特開平10−223138号公報
【特許文献3】特開2001ー87693
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、プラズマディスプレイパネルは大画面であって、その基板は液晶ディスプレイ用の基板よりも厚くなっており、表面が平坦なテーブルに載置した場合、基板の表面は平坦にならず、波打っていることが多い。このため、上記特許文献1に記載のペースト塗布機の場合のように、3点で予め距離を計測する程度では、基板の表面のうねりに追従させてノズル先端の高さ位置を変化させ、ノズル先端,基板間の距離を一定に保つということはできない。そこで、計測点数を増加させることが考えられるが、このようにすると、基板の表面には、リブによって凹凸が形成されているので、この凹凸がノズル先端,基板間の距離を計測するのに障害となり、かかる計測が非常に困難となる。
【0011】
特許文献3に記載の発明は、上記の後行センサの計測結果により、ノズルをリブ間に沿って移動させてペーストを塗布しながら、先行センサでリブ間でのノズル先端,基板間距離を計測することにより、上記の問題を解決するものであるが、井桁状のリブを有する基板の場合には、ペーストの塗布方向にこれを横切るようにリブが設けられているため、このリブが先行センサによるノズル先端,基板間距離の計測の障害となり、そのままでは、特許文献3に記載の発明を適用することができない。
【0012】
なお、上記特許文献2に記載のペースト塗布機の場合では、基板の表面状態に係わらず、ノズル先端,基板間の距離を大き目に設定している。このため、塗布の始端や終端では、ペーストの滴りを推し量る必要があって、ペーストの吐出開始や終了の制御が難しく、所望形状にペーストを塗布できない恐れがあった。
【0013】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その目的は、井桁状のリブなどを備えた基板に対しても、所望の位置にペーストパターンを高精度に形成することができ、生産性を高めることができるようにしたペースト塗布機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、テーブル上に載置された凹,凸部を有する基板にノズルのペースト吐出口を対向させ、基板の主面に垂直な方向でのノズルのペースト吐出口と基板との間の距離の計測を行なう高さセンサによってペーストパターン形成のためのペースト塗布工程の前に予め得られた基板の表面のうねりデータに基づいて、基板の主面に垂直な方向でのノズルのペースト吐出口と基板の表面との間の距離を所定の値に保持し、ノズルのペースト吐出口から基板上にペーストを吐出させながら、基板の主面と平行な方向での基板とノズルとの間の相対位置関係を変化させることにより、基板上に所望形状のペーストパターンを形成するペースト塗布機であって、ペースト塗布工程の前に、基板の表面のうねりを予め検知する際に辿る該高さセンサの計測経路を基板の凸部あるいは凹部に対して斜めに設定する手段を備えたものである。
【0015】
そして、本発明は、ペースト塗布工程の前で基板の表面のうねりを予め検知する際、ペーストパターンが基板上の予め決められた経路に沿って形成されるように、基板に施された位置決めマークに基づいて、基板をθ方向に位置合わせを行なう第1の手段と、第1の手段によって位置合わせされた基板をθ方向に予め設定されたずらし設定角度だけずらす第2の手段と、第2の手段によってθ方向にずらし設定角度だけずらされた基板に対し、ペースト塗布工程で基板にペーストパターンを形成するときのペースト塗布経路となる経路近傍を斜めに辿って、高さセンサで基板の主面に垂直な方向での高さセンサと基板の表面との間の距離の計測動作を行なう第3の手段と、第3の手段の計測動作によって得られた距離データを処理して、基板の凸部の頂点を結ぶ凸部面のうねりデータに変換する第4の手段と、第2の手段でθ方向にずらし設定角度だけずれた基板を第1の手段で位置合わせされた元の状態に戻す第5の手段と、第4の手段によって得られたうねりデータに基づいて、基板の主面に垂直な方向でのノズルのペースト吐出口と基板との間の距離を所定の値に保持しながら、第5の手段で元に状態に戻された基板にペースト塗布を行ない、ペーストパターンを形成する第6の手段とを備えたものである。
【0016】
また、本発明は、ペースト塗布工程の前で基板の表面のうねりを予め検知する際、ペーストパターンが基板上の予め決められた経路に沿って形成されるように、基板に施された位置決めマークに基づいて、基板をθ方向に位置合わせを行なう第1の手段と、第1の手段によって位置合わせされた基板に対し、ペースト塗布工程で基板にペーストパターンを形成するときのペースト塗布経路となる経路近傍を斜めに沿う経路を辿って、高さセンサで基板の主面に垂直な方向での高さセンサと基板の表面との間の距離を計測する第2の手段と、第2の手段の計測動作によって得られた距離データを処理して、基板の凸部の頂点を結ぶ凸部面のうねりデータに変換する第3の手段と、第3の手段によって得られたうねりデータに基づいて、基板の主面に垂直な方向でのノズルのペースト吐出口と基板との間の距離を所定の値に保持しながら、第1の手段で位置合わせされた基板にペースト塗布を行ない、ペーストパターンを形成する第4の手段とを備えたものである。
【0017】
また、本発明は、ペースト塗布工程で基板にペーストパターンを形成するときのペースト塗布経路となる経路となる基板の主面と平行な方向での基板とノズルとの間の相対位置関係の変化の方向に直交する方向に高さセンサを微小距離ずつ移動させる移動機構と、ペースト塗布工程で基板表面のうねりを予め検知する際、ペーストパターンが基板上の予め決められた経路に沿って形成されるように、基板に施された位置決めマークに基づいて、基板をθ方向に位置合わせを行なう第1の手段と、第1の手段によって位置合わせされた基板に対し、高さセンサが、基板の主面に垂直な方向での高さセンサと基板の表面との間の距離の計測を行ないながら、ペースト塗布経路となる経路近傍を斜めに経路を辿るように、移動機構により、基板の主面と平行な方向での基板とノズルとの間の相対位置関係の変化の方向に直交する方向に高さセンサを微小距離ずつ移動させる第2の手段と、第2の手段の計測動作によって得られた距離データを処理して、基板の凸部の頂点を結ぶ凸部面のうねりデータに変換する第3の手段と、第3の手段によって得られたうねりデータに基づいて、基板の主面に垂直な方向でのノズルのペースト吐出口と基板との間の距離を所定の値に保持しながら、第1の手段で位置合わせされた基板にペースト塗布を行ない、ペーストパターンを形成する第4の手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ストライプ状や井桁状のリブなどの凹凸部を備えた基板に対しても、そのうねりを精度良く検出することができ、基板上の所望の位置にペーストパターンを高精度に形成することができ、生産性が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明によるペースト塗布機の一実施形態を示す斜視図であって、1は架台、2a,2bは基板搬送コンベア、3は基板吸着盤、4はθ軸移動テ−ブル、5a,5bはy軸移動テ−ブル、6はx軸移動テーブル、7は塗布ヘッド、8は制御部、9は空圧ユニット、10はモニタ、11はキ−ボ−ド(操作パネル)である。
【0020】
同図において、基板搬送コンベア2a,2bは昇降手段を備えており、プラズマディスプレイパネル用の基板Kをx軸方向に搬送して降下することにより、基板吸着盤3上に載置し、また、上昇することによってこの基板Kを受け取り、X軸方向に搬送することにより、外部に排出する。
【0021】
なお、この基板K上には、図2(a)に示すよう、y軸方向に平行な複数のリブ12aが、或いは、図2(b)に示すように、井桁状のリブ12bが形成されており、かかるリブ12a,12bによって基板Kは凹凸をなしている。
【0022】
θ軸移動テ−ブル4は、z軸に平行な方行のその中心軸を中心に、基板吸着盤3をθ方向を中心に回転させ、y軸移動テ−ブル5a,5bはx軸移動テーブル6をy軸方向に駆動させるものであり、リニアモータと支持剛性を確保するための案内機構を備えている。
【0023】
塗布ヘッド7はx軸移動テーブル6に設けられ、x軸移動テーブル6によりx軸方向に移動する。モニタ10は運転状態の表示や画像入力状態を映し出し、キ−ボ−ド11は運転データの入力や装置の操作を行なうものである。
【0024】
架台1上には、図示しない位置決め用カメラが2台設置されており、基板Kに写植された位置決めマーク位置を読み取り、θ軸移動テ−ブル4によって基板Kの辺縁をxy各軸に平行になるようにするとともに、基板Kの基板吸着盤3上における位置を確認する。また、これらカメラが塗布ヘッド7の移動域と干渉する場合には、基板吸着盤3の下部にカメラを設置し、基板吸着盤3を透過して画像認識して位置決めするようにしてもよい。
【0025】
図3は図1における塗布ヘッド7を拡大して示す斜視図であって、12はz軸テーブルベース、13はz軸モータ、14はZ軸移動テーブル、15はシリンジ保持ベース、16R,16G,16Bは夫々R,G,B蛍光体ペーストのシリンジ、17はシリンジ16R,16G,16Bのエア供給口、18はシリンジ16R,16G,16Bのペースト供給口、19a,19bはシリンジ16R,16G,16Bのペースト残量検知センサ、20はシリンジ16R,16G,16Bのペースト収納筒蓋、21はノズルホルダ、22はノズルセンサベース、23は高さセンサ、24はノズルセンサ駆動機構、25は移動案内機構である。
【0026】
同図において、z軸テーブルベース12はx軸移動テ−ブル6上に配置されており、Z軸移動テーブル14はz軸モータ13の正逆転運動をz軸方向に変換するためのボールねじなどの機械要素と案内機構を内蔵している。シリンジ保持ベース15は、z軸移動テ−ブル14により、z軸方向に移動する。ノズルホルダ21には、R蛍光体ペーストが収納されたシリンジ16RとG蛍光体ペーストが収納されたシリンジ16GとB蛍光体ペーストが収納されたシリンジ16Bとが固定されており、また、図3で説明するペーストを吐出する複数のノズルが下部に配置され、シリンジ16R,16G,16Bからこれらノズルへのペーストの配給管路を内蔵している。これらシリンジ16R,16G,16Bには夫々、エア供給口17,ペースト供給口18,ペースト残量検知センサ19a,19b及びペースト収納筒蓋20が設けられている。ノズルセンサベース22は、ノズルホルダ21に取り付けた複数のノズルが貫通する開孔を備えている。
【0027】
シリンジ16R,16G,16Bのペーストの残量がペースト残量検知センサ19a,19bで検出され、残量が基準量よりも減少した場合には、後述するペーストタンクから配管,ペースト供給口18を介してシリンジ16R,16G,16Bにペーストが圧送される。また、ペーストの供給を行なわない場合には、図示していないバルブにより、上記のペースト供給経路が遮断されている。
【0028】
高さセンサ23はノズルセンサベース22上に配置されており、その検出光はノズルセンサベース22に設けた開孔を透過する。ノズルセンサ駆動機構24はシリンジ保持ベース15に設けられ、高さセンサ23とノズルホルダ21とをx軸方向に微少移動させる。移動案内機構25はノズルセンサ駆動機構24によるノズルや高さセンサ23の移動を案内するものである。
【0029】
なお、この高さセンサ23については、後で詳細に説明する。
【0030】
図4はこの実施形態での基板K上に蛍光体ペーストを塗布する過程を示す斜視図であって、26R,26G,26Bは夫々R,G,B蛍光体ペーストのノズル、Raは図2(a)に示すリブである。
【0031】
同図において、ノズルホルダ21には、R蛍光体ペーストのノズル26RとG蛍光体ペーストのノズル26GとB蛍光体ペーストのノズル26Bが2個ずつ取り付けられており、ノズル26R,26G,26B,26R,26G,26Bの順にx軸方向に配置されている(以下では、これらノズル26R,26G,26Bをまとめてノズル26と総称する)。また、蛍光体ペーストが塗布される基板Kは、そこに設けられているリブRaがy軸方向に平行とするように、配置されている。従って、ノズルホルダ21でのノズル26の配列方向は、基板K上のリブRaの長手方向に対して直交視ている。
【0032】
これらノズル26R,26G,26B,26R,26G,26Bが夫々基板K上の隣合うリブRa間に対向した状態で、このノズルホルダ21が取り付けられたx軸移動テーブル6がy軸移動テ−ブル5a,5b上をy軸方向に移動することにより(図1)、これらノズル26がy軸方向に移動し、これとともに、ノズル26Rの先端のペースト吐出口(図示せず)からシリンジ16R(図3)のR蛍光体ペーストP(R)が、ノズル26Gの先端ペースト吐出口(図示せず)からシリンジ16G(図3)のG蛍光体ペーストP(G)が、ノズル26Bの先端のペースト吐出口(図示せず)からシリンジ16B(図3)のB蛍光体ペーストP(B)が夫々吐出され、2つおきのリブRa間にR蛍光体ペーストP(G)が、それらの隣りのリブRa間にG蛍光体ペーストP(G)が、さらにそれらの隣りのリブRa間にB蛍光体ペーストP(B)が夫々塗布され、6個のリブRa間に同時に蛍光体ペーストが塗布される。かかる6個のリブRa間の塗布が終了すると、次に、x軸移動テーブル6がy軸移動テ−ブル5a,5b上をy軸方向にリブRaの6個分移動し、これらリブRa間の上記の塗布動作を行なう。
【0033】
このようにして、ノズルホルダ21に6個のノズル26を取り付けた6孔式のノズルにより、6個のリブRa間のペースト塗布を同時に行なうことができるが、ノズル26R,26G,26Bを1個ずつ用いた3孔式やそれ以外の3の倍数個を用いた方式としてもよいが、例えば、3孔式や6孔式などのノズルの使用個数が少ない場合には、夫々のノズル26をノズルホルダ21に対して個別に着脱可能にしてもよい。しかし、取付精度や取付の作業性を考慮すると、1つのブロックに複数個の孔加工を施した多孔ノズル(例えば、ノズルホルダ21に複数のノズル26を一体に固定して取り付けた多孔ノズル)の使用が望まれる。また、ノズルホルダ21の構造を変更することにより、取り付け可能なノズル26の個数や、ノズル26の中心間の距離や吐出可能ペースト数,実装可能なシリンジ16の本数を容易に変更できる。
【0034】
蛍光体はその発光色毎に粘度やチクソ値などの物性値が異なるため、これらを同時に高精度で塗布するためには、後述する空気圧力調整機器をシリンジ16毎に接続し、蛍光体ペーストの種類(発光色の異なる蛍光体ペースト)に応じて吐出圧力を調整するとよい。
【0035】
なお、この実施形態は、プラズマディスプレイパネルでの蛍光体ペーストの塗布に関するものであるが、例えば、単一ペーストパターンを同一ピッチで複数形成する、例えば、ブラックストライプの形成工程やバリアリブの形成工程などにこの実施形態を使用する場合には、シリンジ16を1つにし、ノズルホルダ21内で複数のノズル26に均等配分する塗布方法や、同一ペーストで粘度やチクソ値など物性値を調整したぺーストを順次積層していくような塗布方法も可能である。
【0036】
ところで、基板Kの厚いものにあっては、図1において、基板吸着盤3に全面にわたって吸着させて表面を平坦にしようとしても、部分的に吸着されるだけで、反りが直らず、基板Kの表面にうねりがあることが多い。また、基板Kが大型化するにつれて基板吸着盤3は大きなものとなり、基板吸着盤3の辺縁域が重みで湾曲するようになる。従って、基板Kも基板吸着盤3に合わせて湾曲し、また、基板吸着盤3からはみ出している基板Kの辺縁域は、自重で垂れ下がるように湾曲する。
【0037】
一方、x軸移動テーブル6や塗布ヘッド7は基板Kの反りとは独立しているので、ノズル26のペースト吐出口と基板Kの表面との間の間隔(距離:即ち、ペースト吐出口,基板K間の間隔)は、基板Kの表面と平行な方向(x,y軸方向)での基板Kの表面に対するペースト吐出口の相対位置において、基板Kのうねりや反りにより差が生じる。
【0038】
そこで、基板Kの表面と平行な方向でのノズル26のペースト吐出口と基板Kとの間の相対位置の変化を予め計測・記憶しておき、ペースト塗布時には、このように計測・記憶されたデータから得られる基板のうねり情報を基に、ペースト吐出口,基板K間の間隔を調整制御する。
【0039】
図5はかかる計測を行なう図3における高さセンサ23の一具体例の説明図であって、27はかかる高さセンサ23としての非接触三角測式センサであり、図4に対応する部分には同一符号を付けている。
【0040】
同図において、非接触三角測式センサ27は、半導体レーザを光源とし、三角測量によりペースト吐出口,基板K間の間隔を計測するものである。
【0041】
この非接触三角測式センサ27は、内部に発光部と受光部とを備え、発光部からレーザ光(検出光)L1を発光させ、このレーザ光L1を基板Kの表面上の計測点S1で反射させて受光部で受光することにより、測長を行なう。レーザ光L1の照射方は、リブRaの長手方向と平行になるようにしている。
【0042】
かかる高さセンサ23でペースト吐出口,基板K間の間隔を計測することにより、基板Kの表面のうねりや反りを検出し、この検出結果に基づいて、ノズル26のペースト吐出口が基板Kの表面から予め決めた所望の間隔(距離)になるように、z軸モータ13(図3)をリアルタイムで制御する。
【0043】
なお、高さセンサ23としては、かかる三角測式センサに代えて、オートフォーカス式,画像計測式で知られる光プローブ式や、超音波方式,磁気方式などのセンサを用いてもよい。
【0044】
図6は図1に示した実施形態の制御系の一具体例を示す構成図であって、8aはマイクロコンピュ−タユニット、8bは画像入力部、8cは外部インタフェース部、8dは駆動制御部、8eはデータ通信バス、28はタンク、29はバルブ、30a,30bはアクチュエータ、31〜34はサーボモータ、35〜39はエンコーダ、40a,40bは画像位置決め用カメラ、41は正圧源、42は負圧源、43は正圧調整器、44は負圧調整器、45はバルブユニット、46はプリンタ、47は外部パソコンであり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
【0045】
同図において、サーボモータ34,33は夫々y軸移動テ−ブル5a,5b(図1)を駆動するものであり、サーボモータ32はx軸移動テーブル6(図1)を駆動するもの、サーボモータ31はθ軸移動テーブル4(図1)を駆動するものである。また、エンコーダ35〜39は夫々上記各モータの位置を検出するものである。アクチュエータ30aはノズルセンサ移動機構25の駆動源であり、アクチュエータ30bは図3で省略したノズル移動機構の駆動源である。さらに、外部パソコン47やプリンタ46は適宜に接続されるものである。
【0046】
なお、図6では、図1における制御部8やシリンジ16の空気圧の制御系,塗布ヘッド7の制御系の一具体的構成を示すものである。
【0047】
また、図6では、簡略化のため、空圧制御系はG蛍光体ペーストを収納するシリンジ16Gの系統で代表させて示しており、従って、タンク28には、G蛍光体ペーストが貯蔵され、バルブ29は、ペースト残量検知センサ19a,19b(図3)の検出結果で開閉制御されるものである。
【0048】
制御部8は、基板搬送コンベア2a,2b(図1)の駆動制御系を含むが、ここでは図示していない。
【0049】
また、マイクロコンピュ−タ8aは、図示しないが、主演算部や運転処理プログラムを格納したROM,主演算部での処理結果のほか、制御部8に接続される機器からの入力デ−タや装置の運転条件データを格納するRAM,デ−タをやり取りする入出力部などを備えている。
【0050】
また、適宜に接続される外部パソコン47やキ−ボ−ド11(図1)、あるいは図示しないネットワークなどから入力された塗布形状データと塗布条件データなどの運転条件データと、装置から転送されるプラズマディスプレイパネルの生産枚数などの生産管理データなどは、マイクロコンピュ−タ8a内のRAMから外部パソコン47内のハードディスクなどの図示しない内部記憶媒体とフロッピディスクなどの外部記憶媒体に記憶保管され、操作者の指示により、そのうちの任意の情報をプリンタ46から印刷することができる。
【0051】
キーボード11や外部パソコン47や図示しないネットワークなどから入力されるデ−タに基いて、y軸移動テ−ブル5a,5b上に配置されたx軸移動テーブル6がサーボモータ34,33によって駆動され、x軸移動テーブル6上に配置したz軸テーブルベース12がサーボモータ32によって駆動され、z軸テ−ブルベース20上のz軸モータ13を駆動することにより、負圧源42から分配した負圧によって基板吸着盤3に真空吸着、若しくは冶具で固定された基板Kに対し、ノズル26がシリンジ保持ベース15(図3)を介して、x,y,z軸方向に任意の距離を移動する。そして、その移動中、マイクロコンピュータ8aがバルブユニット45を制御することにより、正圧源41から正圧調整器43とバルブユニット45とを介して、シリンジ16に僅かな空気圧が印加され、ノズル26のペースト吐出口から蛍光体ペーストPが吐出されて基板Kに所望のパタ−ンで塗布される。
【0052】
図7は図1に示したペースト塗布機のペースト塗布動作の一具体例を示すフローチャートである。
【0053】
同図において、先ず、電源が投入され(ステップ100)、次いで、装置初期設定工程が実行される(ステップ200)。
【0054】
この初期設定では、y軸移動テ−ブル5a,5b及びx軸移動テ−ブル6(図1)により、塗布ヘッド7上のz軸テーブルベース12(図3)をx軸方向に移動させ、ノズル26のペースト吐出口が蛍光体ペーストの吐出開始位置(ペースト塗布開始点)に位置付けられるように、ノズル26がペーストパターン描画の対象とする基板(実基板)K(図1)上の予め決められた基準位置に位置決め(原点位置に設定)されるとともに、さらに、この実基板Kに塗布する1以上のペーストパターン毎のデータ(ペーストパタ−ンデ−タ)や実基板Kの位置デ−タ,実基板Kに実際にペーストを塗布するときのこの実基板Kとノズル26との間の相対速度(かかる相対速度を塗布速度というが、特に、この場合の塗布速度を初期設定塗布速度という),実基板Kの表面からのノズル26の高さ(これは、上記のノズル26,基板K間の距離に等しく、実基板Kの表面に描画されるペーストパターンの高さを決めるものであるから、以下、塗布高さというが、特に、この場合の塗布高さを初期設定塗布高さという),ノズル26からのペースト吐出量を決めるシリンジ16に印加される圧力(この圧力を塗布圧力というが、特に、この場合の塗布圧力を初期設定塗布圧力という)などのデータ、さらには、ぺースト吐出終了位置を示す位置デ−タや塗布したペーストパタ−ンの計測位置デ−タなどの設定が行なわれる。これらのデ−タはキ−ボ−ド11(図1,図6)から入力され、入力されたこれらデ−タはマイクロコンピュ−タ8a(図6)に内蔵されたRAMに格納される。
【0055】
初期設定動作(ステップ200)が終了すると、次に、実基板Kを基板吸着盤3(図1)に搭載して吸着保持させる(ステップ300)。
【0056】
この基板搭載動作では、図1において、基板搬送コンベア2a、2bによって実基板Kが外部からx軸方向に基板吸着盤3の上方まで搬入され、図示しない昇降手段によってこれら基板搬送コンベア2a,2bを下降させることにより、実基板Kが基板吸着盤3に載置される。
【0057】
次に、基板Kの予備位置決めが行なわれる(ステップ400)。
【0058】
この処理では、図1において、図示しない位置決めチャックにより、実基板Kのx,y軸方向の粗い位置合わせが行なわれる。そして、基板吸着盤3に載置された実基板Kの位置決め用マ−クを画像認識カメラ40a,40b(図6)で撮影し、それを画像処理して実基板Kのθ方向での傾きを検出し、この検出結果に応じてサ−ボモ−タ31(図6)でθ軸移動テーブル4を駆動することにより、このθ方向の傾きも補正してx,y軸方向に対する正確な位置合せが行なわれる。
【0059】
次に、ステップ400で位置決めされた基板Kのθ方向のむきを、サ−ボモ−タ31(図6)でθ軸移動テーブル4を駆動することにより、ずらし設定角度Δθだけ僅かにずらす処理を行なう(ステップ500)。
【0060】
この処理では、基板Kのθ方向のむきを僅かにずらすことにより、高さセンサ23の計測ポイント位置を、数10μmといった細いリブRaの頂上位置に厳密に合わせなくとも、必ずリブRaの頂上を検出できるようにするのが目的である。これは、リブRaの頂上の高さ変化を検出し、これによって基板Kのうねりを検出するものである。
【0061】
発明者らの試験では、図4において、リブRaの長さが500mmであるとき、基板Kのθ方向を1゜傾けた状態としてy軸方向に500mm辿る走査を行なうと、約30回リブRaの頂上を検知できることがわかった。勿論、リブRaの間隔やうねり検出の要求精度に応じてこのずらし設定角度Δθを調整するとよい。
【0062】
次に、基板Kのうねり計測処理を行なう(ステップ600)。これを図8により説明する。
【0063】
まず、ノズル26によるペースト塗布位置と高さセンサ23の計測点とが離れているために、高さセンサ23の計測点がノズル26による塗布位置(塗布時のノズル位置)になるように、y軸移動テーブル5a,5b及びx軸移動テーブル6により、高さセンサ23の水平方向の位置決めをしてこの位置ずれ補正のためのオフセットを与える(ステップ601)。
【0064】
次に、ノズルホルダ21(図3)を下降させて、高さセンサ23をその計測可能範囲内までを下降させることにより、高さセンサ23の高さ方向の位置決めを行なう(ステップ602)。
【0065】
次に、ステップ200で読み込み設定されているペーストパターンデータによる移動経路に沿って高さセンサ23の計測点が移動(即ち、走査)するように、y軸移動テーブル5a,5b及びx軸移動テーブル6を駆動し、この高さセンサ23による基板のうねり計測動作を開始する(ステップ603)。計測動作中に得られる高さセンサ23の計測結果は、マイクロコンピュータ8aに内蔵されたRAMに格納される(ステップ604,605)。なお、上記のように、基板Kを正規の向きに対して上記のずらし設定角度Δθだけ傾けたことにより、基板K上での高さセンサ23による計測点の経路は、この基板Kに実際に形成されるペーストパターンとはこのずらし設定角度Δθだけずれるが、この設定量Δθはわずかな値であるため、高さセンサ23による計測点の経路で検出されるうねり量は、実際に形成されるペーストパターンの経路でのうねり量とほぼ一致する。
【0066】
以上の処理を、ペーストパターンデータよる終点に高さセンサ23による計測点が到着するまで(ステップ606)、ステップ604,605の動作を繰り返し、計測を継続する。そして、この終点に到着すると(ステップ606)、登録されている次のペーストパターンデータに基づいて、上記のステップ601からの次の計測動作を行ない、登録されている全ペーストパターンの高さ検出が終了するまで、このうねり計測動作を繰り返す(ステップ607)。
【0067】
次に、図7において、ステップ600での以上の計測によって得られた全ペーストパターンデータに対するうねりデータは、変換処理される(ステップ700)。以下、この変換処理について説明する。
【0068】
図9(a)は図8に示す上記のうねり計測で得られたうねりデータを模式的に示すものであって、夫々の頂点が基板KのリブRa(図2(a))を計測することによって得られたものである。
【0069】
基板KにリブRaによって凹凸しており、ステップ500でθ方向に基板Kを回転させてリブRaをy軸方向から傾け、高さセンサ23の計測経路がこのリブRaを横切るようにしたため、得られたうねりデータは、乱れたものとなっており、高さの制御データとしては不適当であるが、凸部(リブRa)の頂点をピークとして捉えることができている。なお、基板K上の凸部や凹部のエッジ部などでは、レーザ光L1(ず5)が遮られるため、うねりデータにノイズ状のデータが含まれる場合もある。
【0070】
かかるうねりデータは、フィルタ処理を施すことにより、高さの制御データとして利用できるように変換する。
【0071】
変換の手順は、まず、このうねりデータに移動平均処理を行ない、図9(b)のようなデータに変換する。次に、閾値を設け、それより、低い値のデータを削除する。図9(b)に示すデータに対し、リブRaの高さを0.1mm、閾値を0.05mmとしたときの処理結果を図9(c)に示す。
【0072】
次に、このように処理されたデータを、y軸方向,x軸方向にリブRaを横切る周期を1ブロックとして、ブロック毎に頂点のデータを抽出し、それらを補間処理することにより、図9(d)に示すような基板KでのリブRaのうねりデータが生成される。
【0073】
かかるうねりデータを、ペースト塗布の際のノズル26の高さの制御データとして用いることができる。即ち、この高さの制御データからペーストパターンデータによるペーストの塗布経路上でのうねりによるノズル26の高さ変更点の座標位置が設定され、ノズル26がこの座標位置に到達すると、このうねりデータをもとにノズル26,実基板K間の距離(ノズル26の高さ)を変更するものである。この場合、かかるノズル26の高さの変更は、この高さ変更点の座標位置直前に対する高さの制御データとこの高さ変更点の座標位置に対する高さの制御データとの差に応じたものである。
【0074】
図7において、以上のステップ700の変換処理が終了すると、ステップ500でずらし設定角度Δθだけθ方向に回転させた分基板Kを元のθ方向に戻す。即ち、ステップ400で実行された位置決めの状態に基板Kを戻し、基板K上のリブRaの長手方向とこの基板Kでのペースト塗布方向とが所定の関係となるようにする(ステップ800)。
【0075】
そして、次に、予め設定された塗布順序が1番目のペーストパターンデータから順番にペーストのパターン塗布が行なわれる(ステップ900)。このパターン塗布処理を図10により説明する。
【0076】
同図において、先ず、塗布条件の設定を行なわれる(ステップ901)。即ち、マイクロコンピュ−タ8a(図6)に内蔵のRAMには、塗布条件の設定のための記憶テーブルがあるので、塗布描画すべき第1番目のペーストパターンの塗布条件として、塗布速度や塗布圧力,塗布高さのように設定される。このような設定を最終番目のペーストパターンのものまで行なう。他に、塗布パターン移動データや開始点座標,終点座標,サックバック圧力,塗布終了後のノズル上昇量などが設定される。これらの設定は、図7のステップ200で予め初期設定された諸データから塗布に必要なものを選択し、それらを塗布条件としてRAMの記憶テーブルに写し替えるものである。
【0077】
次に、設定された塗布開始位置にノズル26のペースト吐出口を位置付けるために、y軸移動テ−ブル5a,5bやx軸移動テ−ブル6を駆動し(ステップ902)、z軸テ−ブルベース12(図3)を移動させて描画(塗布)開始点上にノズル26を移動させる。
【0078】
次に、z軸モータ13(図3)により、ノズル26の高さの設定を行なう(ステップ903)。この設定される高さは、既にRAMに記憶された塗布高さであり、ノズル26,実基板K間の距離がこの塗布高さに等しくなるようにするものである。
【0079】
以上の処理が終了すると、次に、マイクロコンピュータ8a内のRAMに格納されているペーストパターンデータに基いてy軸移動テ−ブル5a,5bやx軸移動テ−ブル6が駆動され、これにより、ノズル26のペースト吐出口が、実基板Kに対向した状態で、このペーストパターンデータに応じてx,y軸方向に移動する(ステップ904)。
【0080】
また、図6において、正圧源41からシリンジ16に正圧調整器43によって塗布圧力に調整された空気圧がバルブユニット45を介して印加され、ノズル26のペースト吐出口からペーストが吐出し始める(ステップ905)。
【0081】
このとき、ペーストが吐出する直前に負圧源42からシリンジ16に負圧調整器44によってサックバック圧力に調整された負圧をバルブユニット45を介してわずかな時間印加し、ノズル26のペースト吐出口に溜ったペーストを吸い込む。これにより、ペーストパターンの始端部でペーストの溜りが生ずることなく、ペーストの塗布ができる。
【0082】
この塗布描画動作の開始とともに、マイクロコンピュータ8aは、y軸移動テーブル5a,5b及びx軸移動テーブル6の座標位置からノズル26の位置を監視し、ステップ700で得られたうねりの制御データによって設定される高さ変更点であるかどうかの座標判定を行なっている(ステップ906)。
【0083】
この高さ変更点の座標位置になると、マイクロコンピュータ8aは、RAMからこの座標位置直前の高さの制御データとこの座標位置での高さの制御データとを読み取り(ステップ907)、z軸モータ3を駆動することにより、上記のように、これら高さの制御データの差に応じた分、ノズル26の高さを制御することにより、実基板Kの表面からのノズル26の設定高さが一定、即ち、設定した塗布高さになるようにして、ペーストパターンの塗布描画を行なう(ステップ908)。
【0084】
このようにして、ペーストパターンの塗布描画が進むが、ペーストパターンの塗布描画動作を継続するか、終了するかの判定は、塗布点がペーストパターンデータによって決まる塗布すべきペーストパターンの終端であるか否かの判断によって決定され(ステップ909)、終端でなければ、ステップ906,909の動作(高さ変更点でない場合)、或いはステップ906〜909の処理動作を実行し、ペースト塗布が継続する。
【0085】
その後、ペーストパターンの塗布終端に達すると(ステップ909)、次に、図6において、正圧源41からシリンジ16に正圧調整器43によって塗布圧力に調整された空気圧のバルブユニット45を介した印加を停止し、ノズル26のペースト吐出口からのペースト吐出を停止する(ステップ910)。そして、z軸モータ13を駆動して予め設定された上昇量分だけノズル26を上昇させる(ステップ911)。
【0086】
以上のステップ901からステップ913までのペーストパターン塗布動作は、設定されたペーストパターンデータの全てが使い切るまで、即ち、塗布すべき全てのペーストパターンが塗布し終わるまで行なわれ(ステップ913)、最後のペーストパターンの終端に達すると、パターン塗布(ステップ900)を終了させる(ステップ915)。
【0087】
以上のようにして、1つの実基板Kでのペーストパターンの塗布描画終了すると、図7において、基板排出処理(ステップ1000)に進む。即ち、図1において、実基板Kの基板吸着盤3への吸着が解除され、基板搬送コンベア2a,2bを上昇させて実基板Kをこれに載置させ、その状態で基板搬送コンベア2a,2bをy方向に移動させることにより、実基板Kを装置外に排出する。
【0088】
そして、以上の全工程が終了したか否かを判定し(ステップ1100)、複数枚の実基板Kに同じペーストパタ−ンデータを用いてペ−ストパターンを塗布描画する場合には、別の実基板Kに対して基板搭載処理(ステップ300)に戻り、以上説明した動作(処理)が繰り返される。そして、全ての実基板についてかかる一連の処理が終了すると、作業が全て終了となる(ステップ1200)。
【0089】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0090】
例えば、上記実施形態では、ペーストパターンの描画時では、ノズル26が可動で実基板を固定としたが、本発明はこれに限るものではなく、ノズル26を固定として、実基板Kを可動としてもよい。
【0091】
また、実基板Kの搬送方法としては、基板搬送コンベア2a,2bによってx軸方向に基板吸着盤3の上方まで搬送されるものとしたが、基板搬送コンベア2a,2bをy軸方向に平行に配置し、実基板Kをy軸方向に搬送するようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、うねり計測時には、基板Kをθ方向にずらしてうねり計測を行なったが、高さセンサ23を走査方向に対して直交するx軸方向に微小距離ずつ移動させる移動機構を設け、高さセンサ23によって図7のステップ600の動作を行なう場合には、かかる移動機構により、高さセンサ23を、その走査方向に対して直交する方向に微小距離ずつ移動させることにより、ペーストパターンを形成するためのペースト塗布経路の近傍で、かつこのペースト塗布経路に斜めの経路を辿って走査を行なうようにしてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、図2(a)に示すようなストライプ状のリブRaの基板Kに線引き塗布を行なう場合を例に説明したが、図2(b)に示すような井桁状のリブRbの基板を線引き動作でうねり計測し、得られたうねりデータに基づいてノズル26と基板Kとの距離が設定高さになるように、ノズル26の高さ出しをし、リブRbで囲まれた領域毎に点打ち塗布動作を行なうようにしてもよいし、さらに、処理時間を短縮するために、かかる丼桁状リブRaの基板Kに線引き塗布をするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明によるペースト塗布機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す実施形態での基板の具体例を示す斜視図である。
【図3】図1における塗布ヘッドの一具体例の詳細を示す斜視図である。
【図4】図1に示す実施形態で基板上にペーストを塗布する過程を示す斜視図である。
【図5】図3に示す高さセンサとしての非接触三角測式センサによるノズル,基板間の間隔(距離)の計測動作の説明図である。
【図6】図1に示す実施形態の制御系の一具体例を示すブロック図である。
【図7】図1に示した実施形態のペースト塗布動作の一具体例を示すフローチャートである。
【図8】図7におけるステップ600の一具体例を示すフローチャートである。
【図9】図7におけるステップ700の一具体例の説明図である。
【図10】図7におけるステップ900の一具体例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
3 基板吸着盤
5a,5b y軸移動テーブル
6 x軸移動テーブル
7 塗布ヘッド
8 制御部
13 z軸モータ
14 z軸移動テーブル
15 シリンジ保持ベース
16R,16G,16B シリンジ
21 ノズルホルダ
23 高さセンサ
24 ノズルセンサ駆動機構
25 移動案内機構
26,26R,26G,26B ノズル
27 非接触三角測式センサ
K 基板
Ra,Rb リブ
P(R),P(G),P(B) 蛍光体ペースト
【出願人】 【識別番号】000233077
【氏名又は名称】株式会社 日立インダストリイズ
【住所又は居所】東京都足立区中川四丁目13番17号
【出願日】 平成16年1月7日(2004.1.7)
【代理人】 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎

【公開番号】 特開2005−193156(P2005−193156A)
【公開日】 平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願番号】 特願2004−2178(P2004−2178)