東京市場で株価が低迷している。十七日こそ日経平均株価が五日ぶりに反発したが、十六日は前日の米国市場の大幅安や外国為替市場で円が一時一ドル=一〇五円台後半まで急伸したことなどを嫌気し前日比四六八円安の一万三五〇〇円余で終えている。
半年間で四四〇〇円も下げており、二〇〇五年十月以来となる二年二カ月ぶりの安値水準にある。急落の過程は外需主導の日本経済のもろさをあらためて浮き彫りにしたといってもよい。
世界金融市場混乱の震源地である米国の信用力の低い個人向け住宅ローン(サブプライムローン)問題はいまだに解決の糸口が見えない。シティグループなど米金融機関の評価損は底無し沼の様相を呈している。失業率が上昇、個人消費が伸び悩むなど実体経済も悪化してきた。
米政府、金融当局による公的資金の投入、金利引き下げなどの景気対策が待たれる。その米国より日本株の方が落ち込みが大きい。日本は「いざなぎ景気」を超え戦後最長にあるが、好況をけん引したのは外需だ。米国経済の変調は日本企業の収益基盤をより揺るがすとの理由からだ。
円高進行も輸出企業の〇九年三月決算を直撃しそうだ。日本株を支えてきた数少ない好材料である堅調な企業業績が崩れれば株価下落の可能性は高まる。食品やガソリンなどの値上げラッシュも消費者の財布のひもを固くしている。こうした景気減速懸念に「ねじれ国会」による政治混乱が追い打ちをかけ日本経済が大混乱に陥るとの三月危機説が市場でささやかれている。政府・与党は内需主導型の経済対策を打ち出し、企業も賃上げや正規社員の雇用を拡大すべきだ。