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歌舞伎:初春大歌舞伎(歌舞伎座) 助六を力強く演じた團十郎

 幹部俳優が多く出演しての初春興行。

 昼は梅玉、染五郎による「猩々(しょうじょう)」で幕を開け、続いて「一条大蔵譚(ものがたり)」。吉右衛門の大蔵卿は「檜垣(ひがき)」で愚かさを印象付け、「奥殿」で源家に心を寄せる本心を出す。両面を自在に見せた。福助の常盤(ときわ)御前に強さと色気があり、梅玉の鬼次郎(きじろう)、魁春(かいしゅん)のお京がきっぱりとしている。段四郎の勘解由(かげゆ)、吉之丞の鳴瀬。

 次が雀(じゃく)右衛(え)門(もん)の真砂路(まさごじ)、吉右衛門の久吉の「女五右衛門」。その次が「魚屋宗五郎」。幸四郎は宗五郎を、妹を殺されて心を乱す普通の人間として表現し、酒乱ぶりには狂気より悲しみが漂う。魁春の世話女房ぶりがはまり、染五郎の三吉がしっかりしている。高麗蔵(こまぞう)のおなぎが御殿女中らしい風情だ。錦之助の主計(かずえ)之助(のすけ)、歌六の浦戸。最後が團十郎(だんじゅうろう)の「お祭り」。

 夜の最初が芝翫(しかん)の姥(うば)、富十郎の尉(じょう)の「鶴寿千歳(かくじゅせんざい)」。いたわりあう老夫婦の雰囲気が出た。続いて「連獅子」。染五郎の鋭さがある仔獅子(こじし)と幸四郎の重厚感がある親獅子が緊迫した舞台を見せる。

 最後が「助六」。團十郎が病を克服し、03年以来の助六を力強く演じている。おおらかさ、明るさは、この人ならではのもの。福助の揚巻は美しく、悪態に色気と粋さがある。梅玉の白酒売に、柔らかみ、ユーモア、品があり、江戸和事を実感させられた。孝太郎の白玉が手堅い。芝翫の満江(まんこう)が舞台を締め、段四郎の門兵衛、歌昇の朝顔と周囲もそろう。26日まで。【小玉祥子】

毎日新聞 2008年1月17日 東京夕刊

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