東信地方の救命救急センターを備える県厚生連佐久総合病院(佐久市臼田)で、同センターの20床を含む一般患者用ベッド624床の満床が続き、定員を超え例外的に入院を受け入れている状況が17日、分かった。同日の診療部会議で報告され、重症患者診療に当たる同病院が入院を断る事態になれば「たらい回し」が生じる恐れもあることから、夏川周介院長は「非常事態」との認識を示した。
同病院地域医療連携課によると、精神科や人間ドック用などを除く一般患者用ベッドは昨年9月から90%を超えた状態が続き、年明けからほぼ満床。15日から定員を超えて「毎日流動的で、ベッドが空くか見極めは難しい」という。
16日は46人が退院し、56人が入院。市内の診療所から紹介された心不全の女性患者は、ベッドを確保するまでストレッチャーで2−3時間待たされた。経過観察入院が望ましかった脱水の男性患者は、通院の点滴治療に。17日朝までの救急患者9人は、個室を2人で使ったり、空き部屋にベッドを入れたりして入院してもらった。
同病院の救命救急センターは東信全域から年間約700人を受け入れている。県内唯一のドクターヘリも配置され、東信以外からも一部搬送される可能性があるため、満床状態が続けば、県内最高水準の病院で救急患者が受け入れられない事態も否定できないという。
夏川院長は、常勤麻酔科医がいない上田地方からの患者が増え、佐久地方の病院も医師が不足している状況から、患者の集中が止まらないと予測。「インフルエンザが流行すれば、どうしようもない」とし、今後、患者には近くの医療機関の受診を呼び掛け、病院には転院患者の受け入れを要請して回る方針だ。
佐久保健所の小林良清所長は「産科に比べ、一般患者はまだいいと思ったが、支援を考えなければいけない」と話す。県医療政策課は「一時的な患者集中は長野市内でもあるが、入院を受けられないほどの事態は把握していない」としている。