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II公開質問状本文

質問1.久米島フォーラムに参加した人々の性格について
 久米島フォーラムに《つめかけた多くは佐藤の母の親族や縁者だった》(15頁)とする根拠を明らかにしてください。久米島フォーラムのコーディネーターをつとめた服部年伸氏は「かかる表現は、佐藤さんの親族、縁者以外の圧倒的大多数のフォーラム参加者に対して失礼だ」と述べていますが、私も同意見です。

質問2.母の「郷里」への凱旋の意味について
(1)久米島フォーラムに私が出席したことが何故に《一度は社会的にたたきのめされた男の、母の「郷里」への凱旋》になるのか、説明を求めます。
(2)ちなみに凱旋についてどのような意味内容であるか定義してください。

質問3.「復讐」のカギ括弧の意味について
(1)15頁のリードに《壮大な「復讐」が始まった》という文言がありますが、復讐にカギ括弧をつけた意味について説明を求めます。強調の意味なのでしょうか。通常の復讐とはことなるのでカギ括弧をつけたのでしょうか。
(2)通常の復讐と異なるならば、その意味内容について御教示願います。

質問4.「復讐」の根拠について
 《壮大な「復讐」が始まった》(15頁)という根拠について具体的に説明してください。

質問5.1972年の久米島滞在の事実関係について
 年譜の72年の箇所に《夏休み中に母の実家の久米島で約1カ月間すごす》(16頁)という記載がありますが、私が1972年に久米島に行ったという事実はありません。なぜ事実と異なる記述がなされたかについて釈明を求めます。

質問6.アエラの鈴木宗男・佐藤の疑惑をスクープという記載の事実関係について
(1)疑惑という言葉についての定義をお聞かせ下さい。
(2)スクープという言葉の定義についてお聞かせください。
(3)年譜の01年の箇所に《2月 アエラ、鈴木宗男・佐藤優の疑惑をスクープ》(17頁)という記載がありますが、具体的にどの記事を指すのか御教示ください。
(4)私は、2001年2月に発行された『AERA』において私と鈴木宗男氏に関わるいかなる疑惑についても取り扱われていなかったと認識しております。なぜこのような記述をしたかについて釈明を求めます。

質問7.高校時代の蔵書について
(1)《団地にあった佐藤の家には、マルクス・エンゲルス全集が揃っていた》(16頁)との記述がありますが、その根拠を明らかにしてください。
(2)私がマルクス・エンゲルス全集を購入したのは大学生になってからです。団地に住んでいたのは高校生までです。なぜ事実と異なる記述がなされるのか理解に苦しみます。この点についての大鹿氏の釈明を求めます。

質問8.外務省の人事制度について
(1)《そんな外務省の硬直した人事制度が、佐藤と鈴木宗男との強い結束力につながったのだろう》(18頁)との記述がありますが、かかる推定の根拠を明らかにしてください。
(2)私自身は外務省の人事制度が硬直していたという認識はもっていません。いわゆるキャリアとノンキャリアは、機能的に棲み分けていると認識し、事実、外務省からも仕事は評価されていたので処遇面での不満はありませんでした。大鹿さんからの取材に対して、そのような私の認識についても縷々説明しています。従って、人事上の理由から私が鈴木宗男氏と結束力を強めたという記述に私は不満です。取材の過程で私は「人事上の理由から私が鈴木宗男氏と結束力を強めたのか」という趣旨の質問を大鹿さんから受けた覚えはありません。それにもかかわらず、なぜこのような記述になったのかについて釈明を求めます。

質問9.鈴木宗男氏との関係について
(1)《一般には鈴木が主で、佐藤が従とみられた関係だが、後年になるほど関係は「逆転」していく》(18頁)という記述がありますが、そのような記述をする根拠を明示してください。
(2)逆転にカギ括弧をつけた理由を説明してください。
(3)鈴木氏と私は主従関係にあったわけではありません。外務省に命じられた職務を遂行するために行動を共にしたに過ぎないというのが私の認識ですが、私に取材をせずに、私の認識と異なる記述をすることについて、大鹿さんが書き手としてどのような認識を有しているかについてお知らせください。  

質問10.鈴木・イワノフ会談について
(1)《2000年12月、外務省ロシア課の頭越しで行われたといわれる鈴木とイワノフ安全保障会議事務局長の会談》(18頁)との表現があります。《行われたといわれる》と受動態になっていますが、誰がそのようなことを言っているのですか。根拠を明示してください。
(2)頭越しの意味について定義してください。
(3)鈴木・イワノフ会談については、私は鈴木氏との共著『北方領土「特命交渉」』(講談社、2006年)で事実関係について説明しています。当時の欧州局長の指揮命令下で私は外務省員として仕事をしたに過ぎないにもかかわらず、何故に外務省ロシア課を頭越しにして私と鈴木氏が行った外交活動であるという趣旨の記載になるのでしょうか。釈明を求めます。

質問11.鈴木・イワノフ会談に関する手嶋龍一氏のコメントの取り扱いについて。
(1)手嶋龍一氏のコメントとして、《佐藤さんはクレムリンでイワノフが頭角を現すと見立てていたが、イワノフに直接のチャンネルがなかった。そこで鈴木・イワノフ会談をしかけ、通訳をかたって自ら交渉の主役を担ったのです》(18頁)との記載がありますが、大鹿さんはこのコメントが事実であるという認識の上で誌面で紹介したのでしょうか。
(2)2000年12月、鈴木・イワノフ会談が行われた時点で手嶋氏はワシントンに勤務していました。また、この会談について直接関与していません。それにもかかわらず手嶋氏のコメントの信憑性について、当事者である私に照会することなく記事にすることが書き手として適切な手法あると大鹿さんが考えておられるのかどうかについてお知らせください。
(3)手嶋氏のコメントで《通訳をかたって》とはどのような意味でしょうか。「かたって」とは「騙って」すなわち、通訳でないにもかかわらず、通訳を偽装したということでしょうか。
(4)鈴木・イワノフ会談については、私は鈴木氏との共著『北方領土「特命交渉」』(講談社、2006年)で事実関係について説明していますが、大鹿さんがあえてそれと異なる言説のみを紹介した真意を明らかにしてください。

質問12.鈴木・イワノフ会談に関する手嶋龍一氏のコメントに対する鈴木宗男氏の認識について。
(1)質問11.で引用した手嶋龍一氏のコメントについて、《鈴木もその見方を否定しない》(18頁)という記述がありますが、その根拠を明示してください。
(2)私は鈴木宗男氏が《鈴木・イワノフ会談をしかけ、通訳をかたって自ら交渉の主役を担ったのです》という認識を有していることはないと考えます。また、この記事が出た後、鈴木宗男氏からこのような認識を有していることはないという確認を口頭でもとっています。なぜこのような記述を大鹿さんがされたのかについて、釈明を求めます。私と鈴木宗男氏の今後の信頼関係に影響を与える深刻な記述であるという認識をもっていただきたいと思います。

質問13.主任分析官ポストについて
(1)《佐藤のためにつくられた主任分析官ポスト》(18頁)という記述がありますが、その根拠を明らかにしてください。
(2)2007年4月27日付の内閣答弁書で、「主任分析官のポストは特定の個人のために設けられたものか」という質問に対して、内閣は「御指摘のポストは特定の個人のために設けられたものではない」と答弁しています。閣議了解を得た内閣の見解と異なる記述を大鹿さんがあえてなされた真意について釈明を求めます。

質問14.人間に近づいた猿という表記について
(1)《人間に近づいた猿》(18頁)という表記がありますが、前後関係からして、ここでいう猿は私を指していると思われます。この解釈に誤りがないか、確認を求めます。
(2)ある特定の人物を猿という動物にたとえることが適切か、書き手としての大鹿さんの認識を明らかにしてください。

質問15. キャリア組を手のひらで動かしていたということの根拠について
(1)外務省の元高官の発言として、《鈴木さんの虎の威を借りて、佐藤はキャリア組を手のひらで動かしていた》(18頁)という記述がありますが、具体的根拠を明らかにしてください。
(2)この元外務省高官の発言について私は取材を受けていません。なぜ一方的な取材をもとに記事を作成したのかについて釈明を求めます。
(3)元外務省高官を匿名にした理由を明らかにしてください。
(4)情報源を匿名としたことにより、私にはこの外務省高官に直接反論することができません。この点についての大鹿さんの認識をお聞かせ下さい。

質問16.『国家の罠』の記述について
(1)《佐藤は、自分たちがはめられた「国家の罠」には当時の小泉官邸の意図があったと言及している》(18頁)との記述がありますが、そのような記述をしている箇所を具体的に明示してください。
(2)私は《自分たちがはめられた「国家の罠」には当時の小泉官邸の意図があった》という認識を有しておりません。従って、『国家の罠』を含む私の作品の中でそのような記述をしたという認識もありません。それにもかかわらず、なぜこのような記述がなされたかについて釈明を求めます。

質問17.西村尚芳検事の発言を解釈する根拠について
(1)西村尚芳検事が「しょせん彼は」と述べたことをもって、大鹿さんは《「しょせん」という言葉に佐藤への憤懣が感じられた》(19頁)という記述がありますが、「しょせん」という言葉が発せられたことを私に対する憤懣とする論理連関を明らかにしてください。
(2)憤懣という言葉を定義してください。
(3)社会通念に照らして、「しょせん」という言葉を根拠に私への憤懣とする解釈は不当であるというのが私の認識です。大鹿さんが私の認識に異論があるならば反証を求めます。

質問18.本文と小見出しの関係について
(1)本文で《蜘蛛の巣のような「佐藤の罠」に引っかかった第一号が、西村かもしれない》(18頁)と推定の形で記述されているのに対して、小見出しでは《取り調べ中から張り巡らした罠/犠牲者第一号は特捜部の西村検事だった》(同)と断定形になっています。このような本文の小見出しと間の乖離が妥当であると考えるか、大鹿さんの御認識をお聞かせください。
(2)ここでいう「佐藤の罠」について定義してください。
(3)佐藤の罠にカギ括弧をつけた理由を説明してください。
(4)《犠牲者第一号は特捜部の西村検事だった》とする具体的根拠を明らかにしてください。また、犠牲者とはどのような意味かについて定義した上で、かかる表現が適切であるかについて大鹿さんの認識を明らかにしてください。

質問19.「読書する大衆」という記述について
(1)《「思考するメディア」「読書する大衆」をターゲットとする戦略》(19頁)という記述がありますが、ここでいうターゲットの意味を説明してください。
(2)私が「読書する大衆」という言葉を用いたことがあるか、あるとするならばどこで用いたかについて明示してください。
(3)私は「読書する大衆」という認識をもっていません。従って、そのような言葉を用いた記憶がないのです。それにもかかわらず、カギ括弧つきであたかも私の発言であるかの如く「読書する大衆」という記述を大鹿さんがなされた真意について釈明を求めます。

質問20.無罪推定について
(1)刑事裁判継続中の事件の無罪推定について、大鹿さんはどのような認識をお持ちですか。
(2)刑事裁判継続中の事件の無罪推定について、朝日新聞社記者はどのような認識をもってあたるべきであると大鹿さんは認識していますか。
(3)《有罪判決が出たにもかかわらず、そして一連の外務省攻撃にかかわらず、佐藤は懲戒免職されることもなく》(18頁)という記述がありますが、有罪が確定していないにもかかわらず、なぜ私が懲戒免職されなくてはならないのでしょうか。かかる記述をされた真意について釈明を求めます。
(3)外務省攻撃とそれにより私が懲戒免職されなくてはならないとする論理連関がわかりません。説明してください。

質問21.「言論キム・イルソン状態」という記述について
(1)《評論家の小谷野敦が「言論キム・イルソン状態」と皮肉る》(19頁)という記述がありますが、「言論キム・イルソン状態」の出典を明示してください。
(2)「言論キム・イルソン状態」を定義してください。
(3)「言論キム・イルソン状態」にカギ括弧を付した理由について説明してください。
(4)「言論キム・イルソン状態」というように、キム・イルソン氏を譬えとして用いることが適切であるか否かについての大鹿さんの認識をお知らせください。

質問22.小谷野敦氏のコメントについて
(1)《批判派/批評家の小谷野敦さん/言論界の「みのもんた」もの珍しいだけでしょう/元外務官僚で神学をやっていて、もの珍しいだけでしょう。獄中にいたのがハク付けになった共産党の宮本顕治のようなもので、いまの論壇では、タフガイのブルース・ウィリスを見るようなもてはやされ方をしています。/佐藤さんの、ものに動じない振る舞いは、まるで言論界の「みのもんた」です。佐藤優バブルで日本の知識人層の底の浅さが浮き彫りになったと思います。佐藤さんは、「神皇正統記」を重んじていますが、あれは南朝の正統論のはずで、だとするといまの皇室は北朝の系統で、それについてはどう思っているのか? 天皇制護持を言う佐藤さんが左翼論壇で人気なのは、日本の左翼に二重基準があるような気がします。/佐藤さんは、憲法9条を改正すると、天皇制がなくなって共和制になり、それによってファシズムが到来すると書いているが、論理が飛躍している。論証なしに議論を進めても困ります。実証的な外交の現場の話から、観念的な世界に議論がジャンプしがちです。》という記述がありますが、このような表現振りで掲載することについて小谷野敦氏の了承を得ているかについて確認を求めます。

質問22.言論界の「みのもんた」という表記について
(1)言論界の「みのもんた」という小谷野氏のコメントがどのような意味内容であるか、大鹿さんの認識をお聞かせ下さい。
(2)みのもんたにカギ括弧を付した理由を説明してください。

質問23.佐藤優バブルについて
(1)佐藤優バブルという小谷野氏のコメントがどのような意味内容であるか、大鹿さ
んの認識をお聞かせ下さい。
(2)《佐藤優バブルで日本の知識人層の底の浅さが浮き彫りになったと思います》という小谷野氏のコメントに対する大鹿さんの認識をお聞かせください。

質問24.宮本顕治氏への言及について
(1)《獄中にいたのがハク付けになった共産党の宮本顕治のようなもので》という小谷野氏のコメントがどのような意味内容であるか、大鹿さんの認識をお聞かせ下さい。
(2)私を《宮本顕治氏のようなもの》とするコメントを掲載したことが適切であるかどうか、大鹿さんの認識をお聞かせください。

質問25.『神皇正統記』について
 『神皇正統記』における正統性の論理構成は、皇統の伝統とともに真正の三種の神器の保持していることが天皇の条件です。従って、北朝系でも真正の三種の神器を保持している室町以降、今日に至る皇統は真正の天皇です。『神皇正統記』は南朝、北朝の双方を通底する正統論であるというのが通説です。このような通説に反する《佐藤さんは、「神皇正統記」を重んじていますが、あれは南朝の正統論のはずで、だとするといまの皇室は北朝の系統で、それについてはどう思っているのか? 》などという、稚拙なコメントを掲載した大鹿さんの真意を明らかにしてください。

質問26.南北正閏問題について
 1911(明治44)年、南朝と北朝のどちらを正統とするかという南北朝正閏問題について、明治天皇は南朝正閏という結論を出しています。従って、《佐藤さんは、「神皇正統記」を重んじていますが、あれは南朝の正統論のはずで、だとするといまの皇室は北朝の系統で、それについてはどう思っているのか? 》などという明治期に解決済みの問題を小谷野氏によるコメントという形態で、大鹿さんがなぜあえてこの段階で提起したのかについて釈明を求めます。

憲法27.護憲について
(1)私は護憲の根拠として、憲法第9条を改正し、交戦権を認めると天皇が国事行為として宣戦を布告することになり、そのため敗戦になった場合、責任が追及され、皇統の維持に危機が生じるという主張をしています。この主張の論理が飛躍していると大鹿さんは認識されていますか。認識しているとすいるならば、どこに飛躍があり、どこで私の言説が破綻しているかについて、御教示願います。
(2)《佐藤さんは、憲法9条を改正すると、天皇制がなくなって共和制になり、それによってファシズムが到来すると書いているが、論理が飛躍している。論証なしに議論を進めても困ります。》との小谷野氏のコメントを掲載したことが適切であるかについて、大鹿さんの御意見をお聞かせ下さい。
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