鳥取県は、消防庁の全国瞬時警報システム(J−ALERT)で県庁が受信する地震などの緊急情報を同時に県施設に配信するシステム整備に新年度に着手する。昨年十月から震度4以上の地震で強い揺れ(S波)が当該地域に発生する前に知らせる緊急地震速報(気象庁)がスタートしたが、情報周知の手段をテレビやラジオに頼るのではなく、県施設利用者にダイレクトに伝えることで迅速な避難、安全対応を促し、震災被害の軽減を図る。
十五日の県の新年度当初予算財政課長査定で、「緊急地震速報導入推進事業」費として四千九百万円を計上した。
J−ALERTは、武力攻撃などの有事、地震・津波や気象警報・注意報を消防庁が人工衛星を通じて県庁や市町村役場に送信し、市町村の防災行政無線を自動的に起動して情報伝達するシステム。気象庁の緊急地震速報も同システムで受信でき県内では国の実証実験で県庁と南部町に受信可能な設備が整っている。
緊急地震速報などを広く一般に周知することが課題となっているが、速報があってから実際に揺れが発生するまでは数秒から十数秒の短時間しかない。県の推測では仮に県西部で地震が起きた場合は、東部で揺れが発生するのは十−十五秒後。「一秒でも早く情報周知することが被害の軽減につながる」(県防災局)として、県庁が得た情報を県の情報ハイウエーを使って同時並行で来場者などの多い県施設に配信することにした。
財政課長内示段階では、新年度は県立病院(中央病院、厚生病院)と県立学校、県西部総合事務所など二十二カ所のネットワーク化を検討。県は瞬時の情報提供と併せて、システム整備を行う当該施設に対し、避難や防護対応などのマニュアル整備を求めていく考えだ。
県防災局は対象とする県施設を順次拡大する方針で、同局は「少なくとも県施設利用者に安全な避難や防護を促し、パニックを発生させない対応をすることは大事な観点となる」と説明。市町村に対してもJ−ALERTなどの情報受信システム整備の働き掛けを強めたいとしている。