いざというときのために応急手当の知識と技術を身につけておきましょう
事故などで心肺停止になった人を救うには、救急車が到着するまでの間に、そばに居合わせた人が速やかに心肺蘇生(そせい)措置の応急手当を行う必要があります。いざというときのために、消防署の講習会に参加して応急手当の知識と技術を身につけておきましょう。
そばに居合わせた人の心肺蘇生措置で一命をとりとめる
平成19年4月、大阪府岸和田市で行われた野球大会で、選手の胸にボールが当たり、心肺停止状態になりました。このとき、たまたま居合わせていた観客が現場に備え付けてあった自動体外式除細動器(AED)を使って心肺蘇生措置を行い、選手は一命をとりとめました。
心臓が止まってしまうような重大な事故等は、いつ、どこで、何が原因でおこるか分かりません。心肺蘇生などの救命措置をしなかった場合、心臓停止後3分、呼吸停止後10分で50%の人が死亡するといわれています。平成17年の実績によると、119番通報があってから救急車が現場に駆けつけるまでに平均6.5分でした。事故などにあった人が心肺停止になったとき、その人を助けるためには、そばに居合わせた人が応急手当を行うことが重要となります。
カーラーの救命曲線(改変)
資料提供:消防庁
応急手当によってつなげる「救命のリレー」
心肺停止状態となった人がいたとき、119番通報して救急車を待っている間、周りにいる人が、人工呼吸や心臓マッサージ、AEDによる応急手当をしましょう。救急車が到着したら速やかに救急隊員に患者を引き渡し、その後、救急車内で救急救命士等による救命処置、医療機関で医師による救命医療が行われます。
そばに居合わせた人による(1)「119番通報」と(2)「応急手当」、救急救命士による(3)「高度な救命処置」、医師による(4)「高度な救命医療」をうまくつなげて命を助ける作業の流れを「救命のリレー」といい、そのうちのどれか一つが欠けても命を救うチャンスは少なくなります。
資料提供:消防庁
そばに居合わせた人は、この救命のリレーの四つの要素のうち、前半の「119番通報」と「応急手当」を担い、「救命のリレー」を完成させる重要な役割を果たします。
講習会により応急手当の技術の習得を
人工呼吸、心臓マッサージ、AEDなどの応急手当は、経験がなければ、いきなりその場で実践することはできません。患者を救うためには、何よりもまず、多くの人が応急手当の知識と技術をもつことが必要です。
応急手当の技術を得るには、自分で実践して身につけるしかありません。各消防本部・消防署では応急手当の講習会を実施しています。講習は大きく分けて普通救命講習(講習時間 3時間)、上級救命講習(講習時間 8時間)の2種類の講習があり、普通救命講習では主に成人の心肺蘇生法、AED、止血法などを、上級救命講習では成人に加えて乳児・小児の応急手当等も学びます。
応急手当は、一度覚えてしまえば、だれでもできるようになります。応急手当の講習会に参加して、その知識と技術を身につけましょう。
応急手当のやり方
心肺蘇生法
事故等により被害者が心肺停止状態になった場合、そばに居合わせた人は、救急車が来るまでの間、速やかに心肺蘇生措置を行う必要があります。心肺蘇生法は、次の手順で行います。
- 意識を確認する。
- 救急車の要請およびAEDを現場に届けてもらうよう協力を求める。
- 気道確保(空気の通る道をつくる)。
- 呼吸の確認。
- 呼吸がなければ人工呼吸2回。(どうしても人工呼吸を行うことができなければ省略可)
- 心臓マッサージ30回。
上記5、6を2分間(5サイクル)行い、1、4を確認し、状態が変わらなければ5、6をさらに2分間繰り返します。これを救急車が到着するまで繰り返します。
詳しくは消防庁ホームページをご覧ください。(PDFファイル:約1.1MB)
AEDの使い方
平成16年7月から一般の人でもAEDを使用することができるようになりました。
AEDの操作手順は、すべて機械が音声メッセージを出してガイドしますので、音声メッセージのとおりに行えば一般の人でも簡単に操作ができます。
- 電源を入れる。
- パッドを貼(は)る。
パッドを貼る場所は、パッドに図で表示されているので、それにしたがって患者に貼り付けましょう。なお、電気を使用しますので、感電防止のために皮膚が濡(ぬ)れていないことを確認しましょう。
- コネクターを指定された場所に差し込む。
機械が心電図を解析し、心室細動(心臓の痙攣(けいれん))を検出すると、自動的に充電します。 - 放電ボタンを押す。
充電が完了すると、「放電してください」との音声メッセージが流れるので、それにしたがって、放電ボタンを押しましょう。このとき必ず自分と周りの人も離れ、患者に触れないようにしましょう。
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