修羅場を抜けた起業家の再起。
2008年01月16日
大将です。
昨日、起業家の友人X君と2年ぶりに出会い飲みに行ってきた。
X君とは5年ほどの付き合い。2年前の彼はその独特の個性と、センスで事業を展開し、メディアでもいろいろと取り上げられて注目されていた(ITじゃないよ)。
いつも笑顔で商売の話をするときは目をキラキラさせながら語るような男で、純粋に商売が好きで好きでたまらないといった感じの奴だった。
俺の目から見ても「こういう奴は絶対成功する」と確信し、俺の持つ商売のノウハウを教えたりしていた。カワイイ後輩だったので少しでも俺が力になれたらと考えていた。
俺にそう思わせるという段階ですでに才能がある(笑)。ついついいろいろと教えたくなってしまうキャラクターなのだ。
人格良し。人当たり良し。愛嬌良し。
根性良し。野望良し。理念良し。
しかしX君は失敗した。
一時、新聞・雑誌・TVなどのあらゆるメディア脚光を浴び続けていたX君だったが、商売の内情は赤字を続けており、資金繰りに困っていたようだった。どうやら危ないお金にも手をつけたという噂も聞いていた。
そんな時、X君から電話があった。
「大将、、、実は明日が給料日なんですが社員の給料が払えません。100万ほど貸してもらえないですか。。」
俺は貸さなかった。
理由はいろいろあるが、まず貸したお金は100%返ってこないだろうという事と、返ってくるこないに関わらず、そんな自転車操業の商売やめちまえというのが一番大きな理由だった。ここで100万貸したところで彼の商売が好転することは無いだろうと。
その電話を最後にX君との交流はなくなった。
風の噂でやはり資金ショートにより商売は失敗、会社は解散。その後の様子を起業家仲間に聞いても彼の行方はわからなくなってしまった。
それから現在に至る2年間、俺は悩み続けてた。
「あの時お金を貸してたほうがよかったのか?」 と。
一人の優秀な男が商売の世界から離れてしまった、その責任の一端は俺にもあるんじゃないか?と、ちょっとだけ後悔に近い感情を抱き続けていた。
そんな最中、以前から仲が良かった起業家(デザイン業界)S君と飲みに行ってた時に彼がパートナーと共に飲食業界に進出したという話を聞いた。
そのお店がなんと開店早々大繁盛。行列のできる繁盛店となり先日2店舗目もOPENし、創業1年経たずして1億円以上の売上を達成したという。
「景気のええ話やなー♪
で、俺はどうやってその話で儲けんの? 」
と、基本の下心トークを炸裂したところで
「んじゃ大将、今度パートナーと会ってください。彼がうちの社長やってて、大将もよく知ってる人間ですよ。」
そのパートナーこそがX君だった。
ランチミーティングを誘われ、サプライズ的に彼と再会を果たした。パートナーが誰なのか全然わかってなかったのでこれには驚いた。
その場の勢いで彼の成功をこの目で確かめるべく、兵庫県明石市まで新幹線で向かった。到着して外から店の様子を眺めていたのだが、ひっきりなしに商品が売れている。彼はホントに成功していた。
ちょっと感動的だった。
そして昨日、彼と酒を飲みに行きその空白の2年間についていろいろ話をしてきた。一体どんな2年間を彼は歩んできたのか。
話は要約するとこんな感じだった。
・最大で1億円の借金があった。
・サラ金からも借りたし、闇金からも借りた。
・普通に拉致されたりした。
・拉致も事務所とか山とか。
・交渉術を覚えた(笑)
・闇の世界への道は開けてたが、運良くその道には入れなかった。
・自己破産はしなかった。返済の道を選んだ。
・何をやっても上手くいかない時期を1年ほど過ごした。
・スーパーなどの祭事販売などから商売を再起した。
典型的な修羅場(汗)
ドラマや小説では良く聞く話だが、実際に体験した人間の話をいままで聞いたことがなかったのでとても新鮮だった(拉致ってオイオイ・・・)X君はそんな修羅場をくぐり抜けた。
借金残高はあと500万円だという(驚愕)
俺がもし彼の立場になったとして、こんなに見事に復活できるだろうか?かなり疑問だ。しかし彼はそれをやり遂げた。
2年ぶりに会った彼は、以前のような目をキラキラさせながら商売を語る純粋さを維持しつつ、以前より言葉が重くなっていた。言葉から甘さが消えていた。
彼が修羅場から学んだものを聞いてみた。
・成功する!という確信だけでイケイケドンドンやりすぎたのが失敗。
・資金繰りをなめていた。なんとかなると思っていたがならなかった。
・借金前提に商売を組み立てようという考えが甘かった。
・先輩達の助言を聞いてはいたがわかっていなかった。
並べてみると極めて当たり前のことばかり。
しかし重みが違う。頭でわかっていても実際にはそのように行動できないものなのだ。当時からX君は経営書を多く読む勉強家で、かのドラッカーを崇拝しているような男である。本当に簡単ではないのだ。
そうして彼はその反省点を踏まえて再起し、一定の成功を手にした。あの修羅場があったからこそ現在の成功があるという感じだった。過去の教訓を全て生かし、同じ失敗を繰り返さないという強い意志がビジネスモデルに込められていた。
彼の会社は現在無借金経営である。
「無借金経営が正しいわけじゃないよ」と言いかけたがその話はやめた。修羅場を潜り抜けて得た教訓に俺がなんの口がはさめるのだろうか。
彼に聞いてみた。
「あの時、金を貸さなかったことをずっとひっかかってた。あれでよかったんかな?」
「いや全然大丈夫です。あの時断ってもらってよかったと思ってます。」
「そっかー。」
「今考えるとああいう頼み方はダメです。」
「ほー」
「商売人ならばお金に困ったとき“これを買ってくれませんか?!”と頼むのが正しいと思います(笑)」
成長したな(涙)
一皮も二皮も剥けた商売人になっていたX君。俺も負けてはいられない。
一生追い抜けない先輩でいなきゃいけない。
ウェブシャーク精鋭諸君。俺たちもガンガン行こうじゃないか!
1月 17th, 2008 at 17:03:11
カンドゥーしました。
今から会議なのですが
気が引き締まるヒロコです。