ここから本文エリア 防災用品を企画・販売 目指すのは「防災のプロ」2008年01月17日 事務用品会社コクヨS&Tの東京品川オフィスで防災用品の企画・販売を担当する酒井希望(のぞむ)さん(24)は17日午前5時46分、神戸で黙祷する人たちの姿を社員寮のテレビで見た。午前中、横浜市で得意先を訪ね、「今日で阪神大震災から13年になりました」と伝えた。
小学5年生の時、神戸市垂水区の自宅マンションで被災した。地震で室内の食器が割れ、テレビは吹き飛んだ。断水し、歩いて十数分かかる小学校の給水所から苦労して運んだ水はトイレ用水に消えた。 街が落ち着くと、地震の話を避けるようになった。相手の身近に犠牲者がいて、傷付けないかと心配だった。 06年4月に入社して半年、偶然、防災用品の担当になった。本棚や事務機器の転倒防止器具などを勧めに企業を訪ね歩いた。 東京暮らしで地震を知らない人に接すると、「地震は怖いですよ」という言葉が自然に出た。水くみ用にきれいなバケツがなかったことを話すと給水袋が売れた。トイレに困った話で、簡易トイレの注文が相次いだ。 ただ、体験を語ると当時を思い出して心が重くなった。地震など起きてほしくないのに、発生に備えて防災用品を売る自分に違和感も感じた。 昨年7月、同社が新設した「防災ソリューション事業プロジェクト」(6人)の一員に選ばれた。防災用品の企画から、事業所の規模に応じた非常用の食料や燃料などのパック販売まで手がけるようになった。 商品開発と営業指導の双方を担うようになった最近、ようやく、モノではなく防災意識を売ることが仕事だと気付いた。目指すのは「防災のプロ」。仕事に打ち込むことで、世の中に防災意識が広まると信じている。 PR情報この記事の関連情報関西ニュース
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