不況時に、日銀が、国債等を銀行から、買い上げる、買いオペは、高校の政治経済の教科書にも、書かれているから、何故、日銀が、この政策を行わなかったのか、分からない。
ヴェルナーは、銀行の抱える、国債や地方債、不良債権等を日銀が買い上げる政策(日銀による国債買い切りオペ)を主張していた。
ヴェルナーの主張を要約すると。
1 日銀が、銀行に、お金、通貨を供給しても、お金が、実際に、市場に流れるのは、銀行が、融資を行うときである。
2 潜在成長率が、充分に高ければ、お金の量を増やしたところで、インフレにはならない。(デフレを修正する程度のインフレなら良い)
3 お金が、投機分野ではなく、製造業などの生産的分野に投資されるなら、景気回復効果がある。
4 日本経済は、国債不況、量的クラウディングアウトに陥っている。
(銀行が、国債を買い込んだ分だけ、民間に、お金を融資する事が出来なくなる。)
5 80年代以降、お金のまわる率は、一定しており、変わっていないが、投機分野に、投資される、お金が多くなっている。
お金が、不動産投機などの、投機分野で、まわっていることが、不況の原因である。
日銀が、行政指導(窓口指導)によって、生産的分野に、融資するよう、各銀行に、支持すれば良い。
と言ったことだったと思う。
1の日銀が、不良債権、国債、地方債などを買い上げる事については、ビルトッテン、マイケルハドソン等が、お金の量を増やせば、インフレを招く、として批判している。
銀行は、借りたお金に利息をつけて、返さなくてはならないため、どこかへ貸し出さなくてはならない。
その結果、インフレが起こると言うのである。(ヴェルナーは、シカゴ学派の影響を受けている、と言う)
当ブログの考えをまとめると、銀行は、投機分野に、お金を投資したほうが、短期間に利益を得られるため、不動産取引等の、投機分野に、投資するだろう。
その結果起こるのは、インフレではなく、バブルである。
アメリカで、住宅バブルが崩壊し、中央銀行が、金融機関を救済するため、お金の量を増やしたところ、投機マネーが、実物に向かうことによって、物価高(インフレ)、ドル安、原油高を招いた。
お金の量と物の量のバランスが取れていれば、極端な、インフレにはならない。
製造業など、生産的分野が、物を製造していれば、良いのである。
日本では、まだ、製造業が生き残っていると考えられるから、潜在的経済成長率が、高いと考えられるが、現在、原油価格が、高騰し、生活必需品の価格も、高騰している。
現在、お金の量を増やす政策を行えば、70年代に、オイルショックの際に、日銀が、マネーサプライを増やしたために、狂乱物価を招いた、ように、同じ失敗を繰り返す可能性も高い。
90年代に行われた、無駄な公共事業の結果、国債金利を低く抑えておかないと、財政破綻し、国が破産する。
そのために、日銀は、政策金利を低く抑えてきた。
日銀の低金利政策の結果、資金が、金利の高い、海外へ、流出した。
政策金利の中心は、無担保翌日物、と呼ばれる、今日借りて、明日返す、と言う、超短期の資金の貸し借りが、行われている、無担保短期市場での金融機関どうし資金を融通する際の金利、コールレートである。
日銀は、この短期市場に、資金を供給する事によって、コールレートを操作するのである。
日銀が、コールレートを操作するための資金は、主に、民間の銀行から、短期国債を買うことによって、得られる。
これによって、銀行に、資金が、供給されれば、銀行の所有する、お金の量が増え、各金融機関は、どこからお金を借りても、よく、なるべく、低金利で、お金を借りようとするから、コールレートを低く抑えることが出来る。
この際、日銀が、短期国債を買うオペは、現先買いオペと言われ、一定期間後に、銀行に、売るもので、買い切ってしまうのではない。
この記事続く。。