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【愛知】

韓式系の土器片出土 朝鮮半島との交流裏付け

2008年1月17日

圦上遺跡で出土した韓式系の土器片

写真

 安城市安城町の圦上(いりかみ)遺跡で、朝鮮半島の特徴を持つ五世紀の土器片が見つかった。近くの同市桜井町の彼岸田(ひがんでん)遺跡では、朝鮮半島の影響を受けた同時期の横ぐしが出土しており、弥生時代末期から古墳時代初頭にかけて西三河地方の中心的な集落があったこの地域が、国外を含めた広範囲な交流していたことを裏付ける資料となりそう。

 圦上遺跡からは十数点の土器片が出土した。少なくとも2種類の土器の破片で、一つはせいろのように使って米などを蒸す甑(こしき)、もう一つは鍋の可能性もあるという。いずれも韓式系土器の特徴で、土器の内側を押さえ、外側からたたいて形を整える「たたき」の技法が使われている。

 一方で、当時の日本では一般的だった、はけを使った調整の跡は見られない。甑の底にある蒸気を通す穴も、国内のものより小さく、韓国・全羅道で出土する土器に似ているという。遺跡近くの土を使った可能性が高く、当時、この地域に朝鮮半島出身者など韓式系土器の技術を持った人が訪れたことがうかがえる。

 市教委では「あらためて朝鮮半島とのかかわりが確認された。これまでの遺跡や遺物も、より広い視野で調査したい」としている。

 見つかった土器片は18日から、市埋蔵文化財センターで展示される。

  (宇佐美尚)

 

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