Jan 17, 2008
海外記事紹介: The Scope of SUMO
SUMO プロジェクトのプロジェクトマネージャである David Tenser 氏が、SUMO プロジェクトについての記事を書いているので、紹介しておきましょう。
この記事では、まず SUMO プロジェクトが出来るまでの「背景」(Background)が述べられています。ユーザの爆発的増加に伴って Mozilla に対してサポートを改善し、あらゆるユーザにとって探しやすくするよう求める手紙や、電子メール、ボイスメールが増えていったことが、SUMO プロジェクト開始の背景であることが述べられています。
次の「The Scope」章では、現在、なぜ SUMO プロジェクトが Firefox のサポートに焦点を当てているのかということについて述べられています。全世界には 1 億 2500 万人以上の Firefox ユーザがおり、それ(Firefox ユーザ数)は Mozilla の製品で最も多いということが、その理由として挙げられています。と同時に、(多くの人が使っている)Firefox のサポートに焦点を当てることで、プロジェクトとしてずっと速く動くことができます。こうすることで、より多くの効率的な議論がなされ、意見の相違が少なくなり、プロジェクトグループを強化します。
「The Future」と題された章では、現在の SUMO がもっと多くの製品をサポートするという構想を持っていることが明かされています(実際に Thunderbird Support サイトのアイディアを David Ascher 氏 [MailCo 社長] と話したことがあるそうです)。現在、http://support.mozilla.com/ にアクセスすると、Firefox に飛ばされますが、例えば、support.mozilla.org/firefox や support.mozilla.org/thunderbird といったような URL にしていくことも考えられているそうです。
と…この記事を読み進めていく内に、これは英語版という需要の大きい所だからこそ出来るんだなぁという認識に達しました。SUMO はあらゆる Mozilla に関するサポート情報を集めようとしています。mozillaZine を土台に、サポートセンターめいたもの(チャットで質問者の質問を回答者が答えるというもの)も作っていますし、専用のフォーラムも開設しています。
さて、日本はどうなのかといえば、情報があちらこちらに分散し過ぎている感があります(英語版なら mozillaZine のフォーラムで済むような所が、日本では 2, 3 個のフォーラムが並立しています)。もちろん、どの情報源・質問先にも独自性があって、それはそれで良いのですが…。挙げ句の果てが、フォーラムなどでのマルチポストでしょうか…。マルチポストがなされる原因の一つには、初心者にはわかりにくいぐらい、質問先があって、しかもそれを誰もナビゲートしてくれないというのがあると思います。
問題点を並べるならば次のようになるかと思います:
- 各情報源・質問場所で横の関係が余り見られないこと(例えば、各フォーラムが「よくある質問」を取りまとめはするが、複数のフォーラムをまたぐような「よくある質問」は見たことがない)
- 初心者向けのナビゲートがない or あっても貧弱(例えば Mozilla Japan にページがあるが、ここに至るまでにトップページから 3 回クリックしないといけない)
とリスト化していくうちに、気が重くなってきました…。もじら組と関係ある?はい。Mozilla Japan と関係ある?はい。mozillaZine とは?まぁそこそこ。MDC とは?まぁまぁ…大体、私自身の活動先も常々、ばらばらであることに気付いてきてしまいました…。言うのは楽なんですけどね。。(無責任
Jan 15, 2008
EU が Microsoft を調査開始
Microsoft に再び EU (欧州連合)が審判を下す準備が始まった - Microsoft 社に対して独占禁止法違反の疑いで、特に Microsoft Office と IE について調査が行われる。
特に注目すべきは、以前、Opera 社が訴えた(拙記事) IE の独占疑惑である。私としては Windows に自社製品である IE をバンドルしなければ、様々な機能が使えないという状況は、明かに自社製品を使わなければならない状況を発生させていて、独占禁止法違反だと思う。
何にしろ、EU がどう判断するかが問題だ…それにしても Opera 社が訴えて Mozilla がそれよりも先に訴えることができなかったのは、個人的には残念だと思うけど…。
海外記事紹介:Firefox 3 Extension Compatibility Status
Firefox の拡張機能の Firefox 3 についてのデータが公開されました。それは、どのくらいの拡張機能が Firefox 3 Beta に対応しているかでを調べたものです。
この Alex Polvi 氏(Blog of Metrics)が投稿した 記事 によると、よく使われている拡張機能トップ 95 % を調べた所、3.0b (3.0 Beta)に対応しているのは僅か 22 % で、残り 78 % は対応していません。
その円グラフの下には 2 つの棒グラフ(拡張機能の使用度トップ 100 によるもの)があります。上の方の棒グラフでは、単純に 3.0 の Beta に対応している(青)か対応していない(赤)で区別されています。この結果、3.0b をサポートしていると名乗っているのは、本当にごく僅かだと分かります。
一方、下の棒グラフでは、alpha も含めています(つまり Firefox 3 をサポートしていると名乗っているものです)。これを見ると、alpha と beta をサポートしているものが多いことが分かります。
この 2 つのグラフを見比べた時、alpha しか対応していない拡張機能が相当数、残っていることが窺い知ることが出来ます。Beta が進み、RC になる頃には、もっと多くの拡張機能が対応すると思いますが、メジャーアップデートすると、どうしても対応していない拡張機能が出てきてしまいます…といってもよく使われている拡張機能については、もう少し Beta に対応してくれていても良いと思うのですが…。
Jan 13, 2008
ポップアップがブロックされない場合の対処法
「設定をリセットするには」 に続く「対処法シリーズ」12 回目です。新年最初の「対処法シリーズ」は、「ポップアップがブロックされない」という問題を取り扱います。ブラウザの発達の中で最も革新的な機能が、この「ポップアップブロック機能」だと思います。Wikipedia によると、メジャーなブラウザの中で最初に搭載したのは Opera で、その次が Mozilla、そして IE という順番だったそうです。先日の Netscape 開発終了記事 で Netscape がポップアップブロック機能を完全に搭載しなかった例などは、時代遅れの象徴と言えるでしょう。
ポップアップがブロックされない場合の対処法
Mozilla ブラウザはデフォルトでほとんどの ポップアップとポップアンダー広告 をブロックします(これらは、この記事内のことと同じことと考えられます)。お望みでないポップアップを得ているならば、以下の提案を試してみてください。
ファーストステップ
ファーストステップは、ブラウザ内部のポップアップブロッカーが有効になっていることと、ポップアップを与えているサイトを「ホワイトリストに登録」していないことを確かめることでしょう:
- Firefox: 「ツール -> オプション -> コンテンツ」。「ポップアップウィンドウをブロックする」ボックスにチェックマークが付けられていることを確かめてください。ポップアップが許可されているサイトを見直すには「許可サイト」ボタンををクリックしてください。そしてリストから望んでいないサイトを削除してください。
- SeaMonkey : 「編集 -> 設定 -> プライバシーとセキュリティ -> ポップアップ ウィンドウ」。「要求していないポップアップ ウィンドウを自動的に閉じる」がチェックされていることを確かめてください。上記のように「許可するサイト」を見直してください。
JavaScript
JavaScript 経由で開かれる、いくつかのポップアップは内部ブロッカーの領域外です [1] (少なくとも現在は)。そのようなポップアップはブラウザ内の JavaScript を完全に無効にすること で妨害できるかもしれません。しかし、これは多くのサイトが正しく機能することを妨害します。その代わりに、これらのポップアップをブロックするには拡張機能を使うことができます。
型にはまったポップアップ
型にはまったポップアップは Popup Blocker Settings 拡張機能を使ってブロックできます。(この「Block all」設定は合法的で望んでいないポップアップを一様にブロックします。(訳注:Firefox 本体の「オプション」-> 「コンテンツ」タブの)「許可サイト」にポップアップ表示を許可するサイトを入力することで、ポップアップ表示するサイトを許可することができます。)
その代わりに、特定のページだけに JavaScript を使うことを許すには NoScript を使うか、フィルタが適用されている Adblock を使うことができます。
Hover 広告
Hover 広告 は Popup Blocker Settings 拡張機能を使ってブロックできないポップアップの特殊な形です。Hover 広告を妨害するには NoScript か Adblock のどちらかを使うことができます。
(訳注:原文は Wikipedia 英語版にリンクしているが、これに相当する日本語による説明がないので補足。Hover 広告は Dynamic HTML や JavaScript、そしてよく似た web ブラウザ技術を使って作り出されるポップアップです。「Hover」と呼ばれる所以は、それらが web ページと一緒にスクロールせず、さもページ上に浮かんでいるように見えるからだそうです。)
その他のソフトウェアによって生成されるポップアップ
時々、Mozilla ブラウザと直接、関係ない他のソフトウェアがウィンドウにポップアップさせることがあります。そのような非ブラウザポップアップには以下のものが含まれます:
Windows 上のスパイウェア
ユーザに関する情報を収集する 悪意のあるソフトウェア の一種に対する総称である スパイウェア によって、ポップアップが引き起こされるかもしれません。スパイウェアは主に Windows ユーザを攻撃し、知らず知らずの内にインストールされていることがあります。いくつかのお勧めのフリーのスパイウェア検出ソフトとクリーナーには次のようなのがあります:
- Spybot-Seach & Destroy
- Ad-Aware SE Personal
- Windows Defender
- CWShredder(スタンドアローンバージョン)
Windows 上のメッセンジャーサービス
初期状態では、Windows NT、2000、そして XP SP1 はインターネット上の誰にでも、内蔵の メッセンジャーサービス を通じて、スクリーン上にポップアップメッセージを始めることを許可します(Windows Messenger や MSN メッセンジャーインスタントメッセージクライアントと混同しないように)。これらのポップアップのタイトルは常に「メッセンジャーサービス」です。このサービスを無効にする ことをお勧めします。(このサービスは Windows XP SP2 ではデフォルトで無効にされています。)
原文の無効方法は当然、英語なので日本語での How to を紹介します。@IT の記事 です。
ポップアップブロッカーを無効にするその他のソフトウェア
McAfee Privacy Service ソフトウェアは Mozilla ブラウザのポップアップブロッカーを無効にすることが報告されており、例え、ソフトェアがアンインストールされたとしても、Mozilla ブラウザの ポップアップブロッカーオプション を再チェックしてください。これは McAfee のソフトウェアが user.js ファイル を通じて、関連する設定「dom.disable_open_during_load」を「false」に設定してしまうために発生し、ブラウザを再起動するときに、ポップアップブロッカーは再び、無効にされます [2]。以下の方法でこれを直すことができます:
ソフトウェアがもうインストールされていないならば、プロファイルフォルダ を開き、user.js ファイルを削除(またはリネーム)してください。その代わりに、user.js ファイルにその他のカスタマイズ設定が含まれているためにファイルを削除したくない場合には、テキストエディタで user.js ファイルを開き、問題を起こしている user_pref("dom.disable_open_during_load", false); 設定行を削除してください。Mozilla アプリケーションを再起動すると、その後で、ポップアップブロッカーオプションを再チェックすることができ、設定は保たれるでしょう。
ソフトウェアがまだインストールされていて、user.js ファイルか問題と起こしているエントリーを削除してみるならば、McAfee Privacy Service が次に起動した時に、それは追加され直されるでしょう(例えば、リブート時やサービスを再起動した際)。例え、McAfee にポップアップをブロックしないよう命じても、これは適用されます。解決方法(ここに 報告された)は、「コントロール」プログラムである McAfee に以下のようにしてポップアップブロック特権を認めることです:
- McAfee Security Center に行き、「internet and network」、「configure」、「web browsing protection」、「advanced」を選択してください
- block popup ads ボックスを選択し、コンピュータを再起動してください
プラグインからのポップアップ
Firefox (1.5 及びそれ以上)と SeaMonkey は、デフォルトで プラグイン (Flash のような)からのポップアップをブロックします。追加情報については、記事 プラグインからの privacy.popups.disable を見てください。
エラー警告ポップアップ
デフォルトで、Firefox (1.5 及びそれ以上)と SeaMonkey は、「The operation timed out...」や「The document contains no data」のような「エラー警告ポップアップ」の代わりに、エラーページを使います。追加情報については、記事 browser.xul.error_pages.enabled を見てください。
関連する設定
外部リンク
- ポップアップブロッカーをテストするには、こちらのサイトを訪れてください:PopupTest.com
- Bug 282931 - FASTCLICK.COM popup not blocked by Mozilla
Jan 12, 2008
雑記 1/12
米政府、2009年度予算をオンラインでのみ公表
これはこれで良いかもしれない。日本人で国の予算書を直接、見るような人は少ないだろう。そういった使う人が限られている情報は、オンラインのみでも良いだろう。
日本の財務省の ページ でも予算と決算が公開されている(昭和 22 年から揃っている)。ただ 注意書き に、次のようにあるのは情けない:
・予算書・決算書の情報についてはXML形式で掲載してありますので、XML形式に対応しているブラウザ(Internet Explorer 5.0 以上)でご覧ください。
で、実際に Firefox で試してみると出てくるエラーは:
スタイルシートの読み込みエラーです: XSLT スタイルシートの構文解析に失敗しました。
私は XSLT については全く分からないので、間違っているかもしれないが、これは財務省の XSLT の書き方が不適切なだけではないかな??Opera でも Safari でも同様の結果だった。
さて、国家が情報を提供する場合、真っ先に留意しなければならないことは、できるだけ多くの国民が不自由なく情報を参照できることである。財務省は「PDF ファイル一括ダウンロード」というものを用意してくれているが、3.3 MB (平成 19 年度版)全部ダウンロードするよりも、必要な部分だけを見れるようにするのがベターだ。私だったら IE で見れて、他の Firefox や Opera、Safari で見れないならば、自分の書き方を疑うだろう。
これに限らず、本来ならば、政府が web 標準にまず従うべきだと思うのだが…多分、公僕としての使命(国民に満足なサービスを提供する)を感じていない連中に何を言っても無駄だろうけれども…。
NHKが2008年中に有料で過去の番組をネット配信
やっと、NHK もその気になったようだ。ただし「有料」(料金体系などはこれから決めるとのこと)…それで納得できる料金であれば良いのだが…民放と違って公共放送なので、余り高い料金を設定した場合、存在意味とかけ離れてしまうので注意して欲しい。
正直言えば、NHK が民放になる必要はない。民放は、バラエティー番組の質を挙げてくれさえすれば良い(最近の、あの笑えるのか笑えないのか、よく分からない番組の質の悪さは、どうにかならないのか…)。NHK と民放の大きな違いは、NHK は予算を議会で承認してもらう必要があり、また受信料で成り立っているが、民放は議会に予算の承認を得る必要は当然無く、またスポンサーで主に成り立っていることである。
国民から受信料を取っている以上、NHK を民放と同列に扱う人が多い。でも私はそう思わない。NHK に求められるのは、「正確なニュースの提供」「国民の教養向上に貢献すること」であって、本来、バラエティーは年末年始だけで十分だと思う。特に後者は、世界的に評価も高い。なぜ、NHK がバラエティーばかりに目を向けがちなんだか分からない。他局ではやらないこと(お金がかかる割に成果が出にくいもの。例えば「ドキュメンタリー」など)をすべきである。
そういうことからも、このネット配信には期待が持てる。配信方法は、特定の OS に特化したものであってはならない。それで、NHK 職員も、過去のドキュメンタリーを見て、今の間違った姿勢を正すべきだ。
海外記事紹介:Updated: Internet Explorer 7 Deployment Guide
IEBlog の RSS が更新されていたので見てみると、IE 7 の話だったので、無視しようとしたら、それを察してか…:
p.s. In addition to valuable information about IE7, we've got a lot more information about IE8 coming. Keep an eye out here on the IE blog for all things IE.
あっ、そうですか(^^; …そう言うんだったら待ちますよ、はい。全然、期待していませんけどね。
Mozilla 関連雑記 1/12
Firefox が .Net Awards 受賞
ドメインから察するに、イギリスのサイトでしょうか。.Net Magazine という所がスポンサーとなっている .Net Awards (.Net 賞とでも訳されるだろうか?)というものがあるそうです。
Asa Dotzler の 記事 によると、その賞の「OPEN SOURCE APPLICATION OF THE YEAR」に Firefox が選ばれました。次点は Ruby on Rails、WordPress、Drupal、OpenOffice でした。
受賞理由は、次点を含んだ包括的なもので、純粋に Firefox について言及していると思われる受賞理由は「a project with much higher end-user visibility」のみです。
この受賞、それ自体は特に話題性はないのですが、Mozilla Europe の社長である Tristan Nitot 氏が次のように言っているのを紹介したいだけです:
Nitot says there’s plenty more work to do: “Our biggest challenge is to ship Firefox 3,” he says. “That’s the big thing for 2008.”
Mozilla Corporation 人事異動:続
Mozilla Japan に Mozilla Corporation のプレスリリースと FAQ が訳出されているので紹介しておきます。
なお、Planet Mozilla などで各英語ブログを見ましたが、John Lilly の CEO 就任を歓迎するものばかりで、反論などは見られません。Mitchell Baker 氏がより大局的視点でものごとを考え、John Lilly 氏が実務面を取り仕切って、活動を活発化していく - というのが、やはり今回の人事異動の目的でしょう。
長いこと、更新してこなかった「検索プラグインページ」をリニューアルしました。更新点は以下の通り:
なお、リンク先は http://amigomr.dw.land.to/searchplugin/ をお勧めします。index.php まで指定した場合、更なるリニューアル時(予定はありませんが)に index.html などに変更する可能性があり、404 エラーになるかもしれません。
私の方でも動作確認などは極力、取っていますが、もし不具合などありましたら、ご連絡ください(手っ取り早く連絡したい方は、この記事にコメントをおつけください)。