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【政治】

代理出産「新法で禁止」 処罰は営利限定に

2008年1月17日 朝刊

 子どもを持てない夫婦が妻以外の女性に出産してもらう、代理出産の是非を検討していた日本学術会議「生殖補助医療の在り方検討委員会」(委員長・鴨下重彦東京大名誉教授)の作業部会が、代理出産を新法で禁止すべきだとする報告書素案をまとめたことが16日分かった。

 処罰の対象は営利目的での実施に限定。すべての代理出産を罰則付きで禁止すべきだとした2003年の厚生労働省部会の結論をやや緩和した。18日の検討委会合に示される。

 検討委は素案をたたき台に、今月中にも報告書案をまとめるが、素案通りの結論となった場合は、代理出産の容認派、反対派双方から異論が予想される。

 素案は、夫婦の精子と卵子を用いた、いわゆる「借り腹」による代理出産について検討。代理母となる女性が被る身体的・精神的負担や、生まれてくる子どもの心に与える影響など深刻な問題があり、代理母が危険を承知で引き受けたとしても「自己決定が十分と言えるか疑問がある」とした。

 規制策については「医療者の自律と責任に委ねられる段階を超えている」と、学会の自主規制の限界を指摘。新法で基本的に禁止すべきだとした。

 一方、代理出産すべてが人々に害を及ぼす犯罪とは言えないとして、処罰は、対価を得るなど営利目的の場合に限定。少なくともあっせん者と医師は処罰し、国外犯も罰すべきだとの考えを示した。代理母は対象から外した。

 営利目的でない場合に処罰はないが、関与した医師の保険医指定を取り消すなどの制裁により、抑止は十分可能だと判断した。検討委は代理出産の是非のほか、生まれた子の法的地位などについても見解をまとめ、報告書案に盛り込む予定だ。

 

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