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【愛知】一宮の循環器病センターが休床へ 医師不足で経営改善にも影2008年1月17日 県病院事業庁は、県立循環器呼吸器病センター(一宮市)が医師不足による患者数の減少で、五十床ある一病棟を四月から当分の間、休床することを明らかにした。医師不足が原因で県立病院が休床するのは初めて。心臓手術などで高い実績のある県の中核病院。県立五病院全体の収支を改善させる経営改善計画への影響も避けられず、医師不足の深刻さがまた、浮き彫りになった。 同センターは尾張地方の循環器疾患と救急医療の中核病院として、十二診療科があり、二百八十六病床(一般二百三十、結核五十、感染症六)を備える。このうち休床になるのは一般病床五十床で、休床に伴い看護師四十人も削減する。 病院事業庁によると、同センターの医師の定員は三十四人。しかし、医師を派遣している大学側からの引き揚げや個人開業などで、昨年四月から消化器内科の医師(定数三)がゼロに。呼吸器内科(同三)と消化器外科(同二)も昨年、医師が一人ずつ他の公立や民間の病院に移った。整形外科(同三)は数年前から一人欠員で、計六人の医師がいない状態が続いている。 休床になる病棟は昨年四月には月平均で二十人が入院していたが、医師不足で患者が減り、十一月には十人に半減。センター全体でも昨年四−十二月までの平均病床利用率(結核を除く)は55・4%で、前年(78・1%)よりも約23ポイントも低下。同時期の新たな入院患者も一カ月平均二百三十九人で、前年よりも八十一人減少した。 県立五病院の経営改善行動計画では、二〇〇四年度の単年度赤字二十九億一千万円を〇八年度に三億七千万円まで縮小させるのが目標。〇六年度の単年度赤字は十四億九千万円で、前年度より二億八千万円減少し、順調に推移してきた。しかし、患者減少による収支悪化で、本年度の目標の単年度赤字十二億円達成は難しいという。 同庁は「大学の医局にも人手が十分にあるわけではなく、引き続き関係機関にお願いするしかない」といい、どれくらいの間、休床になるのか見通しは全く立っていない。 同センターでは、県立がんセンターから医師の派遣を受けるなどして外来診療を継続しており、四月以降も外来診療は従来通り続けられる。 (山本真嗣)
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