南極海で、アメリカの環境保護団体が日本の調査捕鯨船に対し妨害行為を行った事件で、町村官房長官は16日、こうした妨害行為を厳しく非難した。 水産庁によると、南極海で日本時間15日、クジラの捕獲調査を行っている日本の「第二勇新丸」に対し、アメリカの環境保護団体「シー・シェパード」が捕鯨を阻止するため、薬品の入った瓶を投げるなどの妨害活動を行った。さらに男2人が制止を振り切って船に乗り移ってきたため、乗組員らが2人を拘束した。
2人はイギリス人とオーストラリア人で、「捕鯨に対する抗議文を持ってきた」という。当時、乗組員20人が乗っていたがケガはなかった。
一方、シー・シェパードはホームページ上で「日本の調査捕鯨船に人質に取られた」と主張しているが、これに対して町村官房長官は16日、「公海上での合法活動に対する危険な行為。強く非難する」と述べた。
調査捕鯨はIWC(=国際捕鯨委員会)で認められている。今回の調査は南極海や北西太平洋で行われ、クロミンククジラなど約900頭を捕獲する予定になっている。
捕鯨に反対するシー・シェパードは、去年2月にも調査捕鯨船を妨害している。この時は、船に発煙筒や化学薬品の液体瓶が投げ込まれ、薬品の液体が乗組員の目に入り、2人がケガをしている。実は、去年妨害した船と今回の船は同じ船で、名前を変えて再び妨害工作を行っていた。
水産庁捕鯨班・諸貫秀樹課長補佐は「過激な活動をすることで、より募金が集まる。商業捕鯨が再開される時、乱獲が行われないようにするため、調査捕鯨は必要」と話している。
調査捕鯨に強硬な反対をしているのがオーストラリアで、オーストラリアのスティーブン・スミス外相は「私は日本政府に、2人の解放に応えるように言った」と述べている。これに対し、町村官房長官は「引き取りを求めるメッセージを発しているが、返事がない」と述べた。現在、シー・シェパードとの連絡は取れない状態になっている。