【ワシントン=有元隆志】米政府は14日、サウジアラビアに、衛星誘導爆弾(JDAM)900発を供与することを議会に通知した。マコーマック国務省報道官が同日の記者会見で明らかにした。サウジなど湾岸地域を訪問しているブッシュ大統領の日程にあわせて発表したもので、イランの湾岸地域での影響力拡大を阻止するのがねらいとみられる。
JDAMはGPS(全地球測位システム)などを使い、命中精度を高めた誘導爆弾。同報道官によると、売却額は約1億2000万ドル(約130億円)になる。
米政府はアラブ首長国連邦(UAE)やクウェートなど他の湾岸諸国にも、迎撃ミサイルなどの供与を決めており、サウジへのJDAM売却もその一部。サウジを含む供与総額は約115億ドル(1兆2000億円)にのぼる。
米議会内には高性能の爆弾を売却することによって、イランよりも同盟国であるイスラエルにとり脅威になるのではとの懸念も出ていた。しかし、AP通信によると、ラントス下院外交委員長(民主党)は供与計画を阻止する予定はないとしている。
一方、イラン革命防衛隊の高速艇がホルムズ海峡で米艦船に挑発行為をした事件について、爆破の警告が発せられたのは高速艇以外からで、いたずらだった可能性があることが、軍事専門紙ネービー・タイムズで報じられている。専門家からは米政府が「イランの脅威を必要以上に高めようとしている」との批判も出ている。
これに対し、米政府は調査中としつつも、イラン側が「非常に挑発的だった」との姿勢を変えていない。
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