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海外

イラン孤立化で湾岸諸国と温度差 ブッシュ中東歴訪終える 

1月16日22時2分配信 産経新聞


 【エルサレム=村上大介】ブッシュ米大統領は16日、最後の訪問国、エジプト入りし、同国のムバラク大統領と会談、8日間にわたった中東歴訪を終える。歴訪後半となったサウジアラビアなどペルシャ湾岸4カ国の訪問で、大統領はイラン包囲網の構築とイスラエル・パレスチナ和平交渉への協力を求めたが、湾岸諸国の反応は鈍く、“イラン孤立化”を狙う米側との温度差を浮き彫りにした。

 クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦に続き、14日夜にサウジ入りしたブッシュ大統領は首都リヤドに2泊し、アブドラ国王と会談した。

 サウジのサウド外相は15日夜、ライス米国務長官とともに大統領の訪問を総括する共同記者会見を開き、核技術開発を続けるイランについては「域内の重要な国であり、サウジはイランに悪意を抱いていない」と言明。「国連と国際原子力機関(IAEA)との協力を続けることがイランの利益にかなう」として、イランに対してウラン濃縮の停止を義務づけた国連安全保障理事会の決議を順守するよう求める一方で、ブッシュ大統領が唱える「イラン脅威論」からは距離を置く姿勢を示唆した。

 また、任期中のパレスチナ和平の実現を目指すブッシュ大統領がエルサレム訪問中に発表した声明の中で、アラブ諸国側にもイスラエルに手を差し伸べるよう要請した点についても、サウド外相は「われわれがこれ以上、どうイスラエルに手を差し伸べることができるのだろうか」と一蹴(いっしゅう)した。

 サウド外相の発言は、イスラエルが1967年の第三次中東戦争で占領したヨルダン川西岸、ガザ地区のほか、シリア領のゴラン高原を全面返還すれば、アラブ諸国もイスラエルと全面的な和平を結ぶという「アラブ和平案」に応じようとしないイスラエルに対し、アラブ側の原則を明確にしたものだ。アラブ和平案は、サウジのアブドラ皇太子(当時、現国王)が提案し、2002年のアラブ連盟首脳会議で承認されている。

 米政府は、ブッシュ大統領の訪問中にサウジに対して衛星誘導爆弾(JDAM)900発を供与することを議会に通告するなど、湾岸における最も重要な同盟国であるサウジを重視する姿勢を示しており、アラブ諸国の民主主義進展や人権抑圧問題についても、サウジに直接、言及することを避けるなどの配慮を示した。

 しかし、「イラン包囲網」と「中東和平推進」という、今回のブッシュ大統領による中東歴訪の2本柱ついて、湾岸の親米アラブ産油国からも十分な支持が得られたとはいえず、今後の中東外交で大きな課題を残した形となった。

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最終更新:1月16日22時2分

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