町村信孝官房長官は16日午前の記者会見で、オーストラリアの連邦裁判所が豪州が領有権を主張する南極海の一部で日本の『共同船舶』が調査捕鯨を行うのは違法であるとして、停止を命じる判決を下したことについて、「南極大陸はどの国も領土主権を持たないというのが国際的なコンセンサスだ。誤った前提の判決は日本のみならず、いかなる国であっても受け入れることができない」と述べた。会見の詳細は以下の通り。
−−捕鯨の関係で、オーストラリアの連邦裁判所が、日本が南極海で行っている調査捕鯨が独自に定めた保護区でのオーストラリアの国内法に違反しているとして、調査捕鯨の中止を命じる判断を下しました。これに関して、日本の船が捕鯨に反対する環境保護団体の2人を拘束をした。この2人は判決の内容を伝えに来たということだが、この問題に対しての現状認識と受け止めは
「判決の内容を精査をしているわけではございませんが、あらましを聞いてみると、オーストラリアが南極大陸に対してオーストラリアが一定の地域の領有権を持っているという、その主張に基づいて、南極大陸の200カイリに排他的経済水域を設定していると。したがって、そこには豪州国内法を適用できると。こういう理屈のようでありますが、南極大陸については、どの国も領土主権を持たないというのが国際的なコンセンサスであります。日本もそういう立場を取っております。したがって、そういう誤った前提の判決というものは日本のみならず、いかなる国であっても受け入れることができないはずであります。そういう意味で、公海上で実施をしております、しかも国際捕鯨取締条約に基づいた、公海上における合法的な活動というものに対して、そういう判決が出ても、それは何ら影響をもたらすものではないということだと私どもは理解をしているところでございます。なお、その活動家ですか。『シー・シェパード』という反捕鯨団体所属の大型ゴムボートが大変、毒性はないけれども強い臭気を発する液体の瓶を投げ込んだり、あるいは船のプロペラというのですかな。ロープを絡めて止めてしまおうと、こういう活動に出てきたということで、これは大変、危険な行為であるということで、この船に急接近をしてきた活動家2人が日本側の船に入ってきたものですから、それを、その2名を船の中の事務室に収容をしたということでございます。で、何でこの2名が来たかというと、抗議文を手渡したいということであったということですから、この2人をですね、シー・シェパードに戻そうということで、引き取りを求めるメッセージを出しているけれども、その団体から今のところ何の返事もないというのが今の状況だというふうに理解をいたしております」
−−判決に関してオーストラリア政府がどういう対応を取るかということだと思うが、日本政府としてオーストラリア政府に対して何かアクションを起こすことは。日豪の外交関係への影響は
「外交関係に影響するとはもとより思っておりませんけれども、先ほど申し上げましたような妨害行為というのは、まず公海上における合法的な活動に対する、まことに危険な行為であるということでございますから、こうした行動をとったことは、日本政府としては強く非難をするということであります。また、このシー・シェパードの国、旗国はオランダであると。それから、この2名はオーストラリア人とイギリス人だということでございますから、該当する国々に対して、しっかりと国内法に基づき有効な措置を、統治の責任は果たしてくれということは外交ルートで申し入れを行いつつあるということです」
【株価】
−−株価が下落し続けている中で、日本のみずほコーポレート銀行が巨額な損失を出しているアメリカのメリルリンチに増資に応じるという動きがあったが、こういった動きについてはどうごらんになっているか
「純粋に民−民取引でありますから、政府が特にコメントすることはありません」
−−株価が下落を続いている状況に関して受け止めは
「株価の水準ということについては、いつものことでありますが、特段のコメントはいたしておりませんが、常に関心を持ち、最大限の注意を払っていくという姿勢にも変わりはありません。基本的にわが国の経済のファンダメンタルズが良好であるという事実は何ら変わっておりません。原因はいろいろ言われているわけでありますが、誰もが認めることだろうと思いますけれども、サブプライムローンの影響というものが原油高に表れ、ドル安に表れるというようなことが日本経済に影響を与えるという見方が、市場的には一般的には言われていることであるというふうに理解をしておりますので、基本的な日本経済の変動に基づいてこうした株価がもたらされているものではないということではないかなと。これはあくまで一般的な理解でありますけれどもね」
−−9月26日の福田政権の発足時から株価は2500円以上下がっていて、これは大体15%ぐらい。同じ時期にニューヨークのダウは10%弱ぐらいしか下がっていない。日本の下げ幅は福田政権の政治姿勢、政策運営への厳しい評価、失望が1つの原因ではないかとの見方があるが、そうした見方についてどのように受けとめているか
「まあ、ご批判は率直に耳を傾けなければいけないと、こう思っておりますけれども、福田政権のどういう部分がいけないから株価にどう影響したのか、論理的にご説明をいただければ、大いに参考にしていただきたいと思っております」
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