(1)平成18年6月16日(金曜日)〜20日(火曜日)
於:セントクリストファー・ネーヴィス
(2)参加国:IWC加盟国70カ国のうち66カ国
森本IWC日本政府代表、中前水産庁次長、鈴木外務省経済局漁業室長他。
玉澤徳一朗自民党捕鯨議員連盟顧問他計8名の国会議員(注)。
(注)金子農水大臣政務官、近藤基彦議員、小野寺五典議員、山際大志郎議員、田浦直議員(以上自民)、神風英雄議員(公明)、和田ひろ子議員(民主)
セントクリストファー・ネーヴィス(年次会合主催国)、我が国を含む30カ国が共同提案した「セントキッツ宣言」(注)が討議の後投票に付され、過半数を得て可決(賛成33、反対32、棄権1(中国))。可決後、多くの反捕鯨国が、宣言の内容は自国の見解と異なることを表明。なお、本宣言に法的拘束力はない。
(注)商業捕鯨モラトリアムはもはや必要でなく、科学的根拠に基づく鯨類資源の持続可能な利用の原則の下、国際捕鯨取締条約に従ってIWCがその本来の機能を発揮することへの決意表明を内容とする。
捕鯨や鯨類調査活動に従事する船舶の安全に関する決議(人命や財物を危険にさらす行為をIWC締約国政府は容認しない、締約国政府にIMOガイドラインに則った適切な措置をとることを促す、との内容)が、我が国を含む5カ国(日、米、蘭、豪、NZ)の共同提案として提出され、無投票で可決。なお、本決議に法的拘束力はない。
(イ)改訂管理制度(RMS)に関し、作業部会議長より、議論が全く進展せず、今後の見通しが立たないことが報告。反捕鯨国、持続可能な利用支持国の双方が互いに相手側の対応を非難し、双方ともが失望を表明。
(ロ)我が国は、IWCの資源保存管理機関としての本来の機能を取り戻すためのIWCではない場での話し合いを提唱。オランダによる閣僚会議の開催提案とあわせて活発に意見交換。
(ハ)多くの参加国において、IWCにおける議論が硬直化していることへの懸念が共有されたが、国際捕鯨取締条約の本来の目的に沿ったIWCの「正常化」が必要との我が国の主張に対し、NZ、豪等は、IWCに求められているのは時代の変化に対応した「近代化」であり条約目的の解釈についても柔軟であるべき等反論。
(ニ)我が国の呼びかけにより、19日、IWC正常化のための準備会合を開催(プレス、オブザーバー等も含めたオープンかつ非公式な会合)。反捕鯨国も含め30数カ国が参加。我が国は、本年度中に正常化に関する会合を主催する用意がある旨表明。
我が国は、沿岸小型捕鯨地域のためのミンククジラ商業捕鯨捕獲枠の設定(条約附表の修正。4分の3の多数が必要。)を提案。投票の結果、否決(賛成30、反対31,棄権4)。
(イ)南大西洋サンクチュアリ
アルゼンチン、ブラジル、南アより、南大西洋にサンクチュアリを設定する提案。討議の後、提案国を代表してブラジルが提案を取り下げ。
(ロ)南大洋サンクチュアリ
我が国は、同サンクチュアリの廃止(条約附表の修正。4分の3の多数が必要。)を提案。投票の結果、否決(賛成28、反対33、棄権4)。
鯨類資源の現状について、科学委員会レポートが科学委員会議長から報告。特に大きな議論なく了承。なお、南氷洋クロミンククジラの資源量推定値の確定については、来年まで結論持ち越しとなった。
我が国から、第2期南極海鯨類捕獲調査(JARPA II)及び第2期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II)のレビューを発表。また、豪州より致死的調査は不要である旨のプレゼンテーション。持続可能な利用支持国が、我が国の行う調査捕鯨を評価。反捕鯨国からは、調査捕鯨による鯨類資源の資源量への影響(特にナガスクジラ、ザトウクジラ)について懸念が表明。
我が国は、無記名投票手続の適用範囲を拡大する手続規則改正を提案。途上国からの強い支持を得たが、否決(賛成30、反対33、棄権1)。
議長としてホガース米国政府代表(商務省海洋大気庁海洋漁業局長)が、副議長として森本日本政府代表が、それぞれコンセンサスで選出(任期3年)。
次回第59回IWC年次会合は、米国(アンカレッジ)にて、2007年5月28日〜5月31日に開催予定。また、次々回第60回IWC年次会合につき、チリが年次会合主催を提案し、コンセンサスで承認。