2008-01-16

靖国神社での中国人暴行事件をやっと産経新聞が報じてくれましたが

瀬尾です。
靖国神社を参拝中の男性が中国人旅行者に殴られたというニュースが、やっと産経新聞に報じられました。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080116/crm0801162035024-n1.htm
<日の丸奪って暴行 靖国神社で中国人逮捕
2008.1.16 20:35
 東京都千代田区の靖国神社で、参拝客が持っていた国旗を奪うなどしたとして、警視庁麹町署は、暴行と器物損壊の現行犯で中国籍の王班亜容疑者(43)を逮捕した。
……>

日の丸を奪って踏みつけ、さおを折ったり、止めに入った人を蹴ったりしたということですが、それにしてもニュースになるのが遅かったですねえ。

このニュース、私が書いたのが15日、16日の17時からは犯人が拘留されている麹町警察署の前でデモが行われています。

その間、2ちゃんねるでさえもこのニュースが「ガセではないか」と疑っている人たちがいました。なぜ疑っているか。それは大新聞さまが報じなかったからなんですね。

まだまだこの国では、「新聞が報じたこと=事実」という固定観念がこびりついているように思います。しかし過去、朝日新聞が捏造記事を書きながらも謝罪も訂正もしていないという事実、また大手マスコミには記者クラブが存在するという事実からすれば、「新聞が報じたこと」以外に真実が隠されているとも考えなければなりません。

もちろん今回の事件、私はニュースソースを知っていましたから事実だと言えましたが、ソースを知らない人が疑ってかかるのは当たり前です。そのあたりがネットの「顔が見えない」という特質からくる「信頼性」の問題でもあります。

が、例えばこの「靖国での中国人による暴行」の産経新聞の記事は署名記事ではありません。「産経新聞」という看板が信頼性を担保しているわけですよね。そうであれば、「ネットだから」という問題だけではなさそうです。

失礼ながら「東スポ」を読む方は、そこに書かれていることの何割くらいを信じているでしょうか。「ウソだろうが、面白いこと書くな」という楽しみ方をするはずです。しかし、これが大手マスコミの報道だと頭から信用してしまう。

私は2ちゃんねるなどで、「ガセ認定」だとか「(何かについて書き込んだのは)どこの工作員だ?」と、閲覧者が情報を疑ってかかる訓練をしていることが素晴らしいと思います。しかしもう一歩、新聞やテレビの情報も疑ってみて欲しい。

なぜ今、この報道がなされているのか、なぜ今、紙幅を割くのか。そこから見えないものが見えてくるような気がします。

さて、産経新聞はなんとかこの「国旗を踏みにじられる」という屈辱的な行為を報じてくれました。ちょっとした器物損壊事件なので他紙は報じないのだという論理も成り立ちます。しかし新成人のお決まりのランチキ器物損壊とどちらが重要なんでしょうか。捕鯨船が襲われることと重要度に違いはあるのでしょうか。

情報の読み方について訓練していきたいですね。
捕鯨船の話については後日。

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2008-01-15

靖国神社で中国人旅行者に参拝中の日本人が殴られた!

瀬尾です。
nikaidou.comさんより緊急ホットラインで事件発生のお知らせがありました。

靖国神社を参拝中の日本国民に対して、中国人の旅行者が暴行を加えたとのこと。現在、容疑者というか犯人は、拘留中ですが、完全黙秘らしい。

先日、中国事情に詳しい方からお聞きしたお話によると、中国人旅行者の間では靖国神社というのは観光スポットだそうです。
それは、憎き日本の象徴として後ろ足で砂をかけるなどの行為(笑)が目的ではなく、単に中国人にとってで「日本でいちばん有名な場所」だからだそうで。

この暴力中国人が靖国神社に何をしにきたのか、観光にきたのかはまだわかりませんが、靖国神社でいきなり他人を殴ったとなれば、やったのが日本人でも大ニュースでしょう。もちろん、中国人ならもっとニュースになるはずです。

が、このニュース、今のところ報じられていないらしい。
このまま闇に葬られるのでしょうか。
詳しくは以下をご覧ください。
http://www.nikaidou.com/

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2008-01-13

姫井議員の「告白」とやらにひと言

瀬尾です。
姫井由美子議員!が、アホをさらしました。
宣伝になるので書きたくないが、「姫の告白」とやらを出版したんですね。

「姫の虎退治」とやらのキャッチコピー一つで、わけのわからないまま当選してしまった姫井議員。その後、不倫相手から、気の毒に美しいとは言えない寝顔(笑)を全国にさらされてしまいましたが、その不倫については肯定ともとれるようにギャグにしてみたり、否定してみたりと曖昧作戦をとっております。

今回の出版では、恥ずかしげもなく「サイン会」を開き、「姫」と書いたTシャツをこれまた恥ずかしげもなく着て、そこに300人の「通りがかりの人(笑)」がやってきたとのことで、一応、ニュースにすることに成功しました。スポーツニュースね。

そのサイン会で「不倫については?」と突っ込まれると、「それは本を読んでください」と、国会議員の説明を聞くのに税金だけではなく、本まで買えと言っております。ひどいですねえ。

私は読むつもりはありませんが、こういう本のありがちなパターンとしては、タイトルだけは威勢がよくても、中身はろくでもない政策が書かれながら、自分の生い立ちを語ってみせ、不倫については1行書いてればいいかな、程度であります。

マスコミに言いたい。騒ぐな(笑)。騒げば騒ぐほど、姫井と双葉社の思うつぼなのです。芸能マスコミが知りたいことなど何も書いていないですよ。

社会通念上、不倫はよろしくないのですが、やってしまったものは仕方がない。議員といえども人間ですからね。政策や理念があるのならば、そんなことで足をすくわれるべきではないと思います。

しかし、「不倫とはいえ、かつて愛し合った人に、週刊誌にたれ込みされるような人」という点で、国会議員の資質を疑ってしまいますね。人を見る目がないと言わざるを得ない。もしくは、ものごとをソフトランディングさせる手腕がない(笑)。

どうでもいい話ではありますが、民主党本部はこの人を野放しにしてよろしいのでしょうか? その見識を疑ってしまいますよ。

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2008-01-11

タクシー全面禁煙について運転手さんと語るの巻

瀬尾です。
新テロ特措法成立ということですが、これについてはまたの機会か小誌で(笑)。

この1月7日から東京都のタクシーが全面禁煙になりましたねえ。
はい、私は喫煙者です。すみません。

もはや路上でもお店でも喫煙する場所がない我々に唯一残されていたタクシーという個室。そのすべてが全面禁煙!なのです。

これについて、タクシー愛好者の私としましては我慢ならず、施行前からタクシー運転手さんに取材を重ねてきました。
「おたくは本当に禁煙車にするのか」と。

するとタクシーの運転手さんが皆さん、気の毒そうに言うのですなあ。
「お客さん、私たちだって客商売です。お客さんが吸いたいと言ったらなんらか考えなければいけないでしょう。まして深夜に飲んだ後、長距離で乗車してくださる方に吸うなとは言えないですよ。とにかく、携帯灰皿だけは持っておいてください」

ということで、携帯灰皿さえ持っておれば、今まで通りタクシーでルンルン喫煙できると思っていた私ですが、甘かった。

7日以降、毎日タクシーに乗車するたびに、
「運転手さん、私は携帯灰皿を持っているんですけど、窓を全開にしても吸っちゃダメですか?」
と聞いてみる。かわいく(笑)。

しかし皆さん、予想をはるかに上回る頑なさで、「7日から全面禁煙になったので無理なんです」とおっしゃる。私ほど常連の上客もいるまいに、なんたる融通のきかなさよ。

と思いながらいろんな運転手さんとお話してみた。
私「なんでこんなことになっちゃったんでしょうね」
タクシー「そうなんですよね。喫煙者はタクシー利用される方、多いですから」
私「賃上げして売り上げはどうですか?」
タクシー「結局、深夜を二割り増しにしたので、売り上げ落ちましたよ」
私「運転手さんの給料がひどいっていうから我慢していたのに、結局、運転手さんのいいようにはならないんですね」
タクシー「我々もこんなことになるとは思わなかったんですよ。大騒ぎです」

ある運転手さんはこう言う。
タクシー「だいたいこういう何かが決められる時というのは、社会的に反対が起こったりするでしょう?なのに、今回の全面禁煙だけは、全く反対意見が起こらないですよね」
私「たしかに。私以外、ここまで執着している人間を見たことがありませんな」
タクシー「なんかおかしいと思うんですよ」

またある運転手さんはこうも言う。
タクシー「客商売なんだから、まずは半分を禁煙車に、というのが筋だと思うんですよね」
私「たしかに。今までの禁煙車みたいに、喫煙のマークをぴかぴかさせて走ってもらいたいですね」
タクシー「でもそうではなく全面禁煙でしょ。これはまっとうな理由で決まったのではないと思うんですよ」
私「といいますと?」
タクシー「いや、神奈川に負けるな、とかそういうくだらない話ということで」
私「(笑)なるほど、横並びですな」

私は本気でタクシー協会の会長に手紙を書こうを思っていたのですが、本日の運転手さんが、「会長はタバコを吸わないという噂があって、だから会長が決めたことに皆がなびいたという話もあります」と言っておりました。なるほどねえ。

そして運転手さんは、「喫煙者にも人権はありますよね」と言ってくれたものの、最後まで携帯灰皿を使っていいとは言ってくれませんでした(涙)。昼間は他のタクシーが見ていて、チクルらしいです。そして、罰則はないが、客に吸わせていたことが見つかれば始末書を書かされるとのことで。

確かに副流煙 は申し訳ないと思っていますよ。でも、もはや喫煙場所がなく、世の中のドトールの喫煙席はすごいことになっとります。ドトールもあれだけ喫煙者が来るのだから、もう少し性能のよい空気清浄機を入れればいいと思うんですがね。

タクシー協会の会長さん、喫煙者は確実にタクシーに乗らなくなりますよ。だって、乗る意味がなくなってしまいましたから(泣)。常連客としては、喫煙車の台数を増やしてほしいと願っております。

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2008-01-10

TBS「NEWS23」がマイク・ホンダの話を垂れ流し。いったい何を取材しているのか

瀬尾です。
TBSの「NEWS23」では、「従軍慰安婦決議の真意 M・ホンダ議員」などと銘打って、マイク・ホンダの言い分とやらを垂れ流しております。

いまなぜ、またマイク・ホンダの言い分を、日本国のメデイアが垂れ流す必要があるのか。米下院で「日本非難決議案」が決議された後の「初来日」が理由だそうで。

なぜマイク・ホンダが日系人なのに日本を非難する決議案を提出したのか、というTBSの自問自答では、マイク・ホンダの生い立ちに理由があるそうで。

そして、マイク・ホンダに自由に話させて、「従軍慰安婦問題は私たち一人一人の問題なのです。もし、あなたの家族が同じようなことに巻き込まれたらどうしますか。あなたならどうしますか?」という主旨を強調しておりました。最後はテロップまで大きくしております。

TBSの報道局は、マイク・ホンダが中国系団体からカネをもらっていることを、一切、知らないんでしょうかね。知らないなら報道機関として致命的であり、知っているならあまりにも意図的な報道でこれも致命的と言わざるを得ない。

「従軍慰安婦問題」の本質、マイク・ホンダの背景も取材せず、上辺だけをなでて日本の名誉を傷つける。いったいどこに使命感を持って報道しているんでしょうか。

「あなたならどうしますか?」の問いかけから考えると、「地球市民」なるものに向けて報道しているのでしょうかね。お笑いです。

WiLLではこの「従軍慰安婦問題」について、徹底的に記事にしてきました。
中でも、

2007年8月号増刊
「従軍慰安婦」と断固、戦う!

は、この問題を語る時、必読と言えます。
「慰安婦」という「職業」を、事実を隠して「従軍慰安婦」という「存在」に作り上げた朝日新聞の捏造の顛末、マイク・ホンダの正体、その他の「事実」を、渡部昇一氏、櫻井よしこ氏、秦郁彦氏、古森義久氏、西岡力氏をはじめとする論客が、調べ尽くし、語り尽くしています。

何が「事実」なのか。
それは読んで判断してください。

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中国の検閲、恫喝に負けちゃった学研さん

みなさん、こんにちは。
今はやり?の「のだめ」ではなく、「だめで」ことだめデスク瀬尾です。
いつもWiLLのご愛読ありがとうございます。

編集長はよせばいいのに、対談、執筆依頼などをこなし、連載をこなし、もちろんWiLLの編集長でありながら、ふらり大阪のテレビ番組に出演したりするのでなにぶん忙しく、なかなかブログを更新できずにいます。

ほんじゃま私が、ということで、裏WiLLとは名ばかりの四方山話をしていきたいと思っております。あんまりかしこまってしまうと面白くないので、全文私の責任執筆ということで、苦情はこちらによろしくお願いします。

さて、本日は「学研」が「中国で地球儀を製造しているから」などという理由で、台湾を「台湾島」と表記したとのニュースが!!

学研は「工場が中国にあり、中国政府の指示で」と弁解、注文が殺到しているので「指示jに従った」と説明しているといいます。はい? それは指示とは言わず、恫喝というのですよ、学研さん。

恫喝に屈して、「中国の言いなり表記」をするとは、「学習研究社」ののれんに傷をつけましたね。天下の学研さん、つまり民間会社がこの調子なんですから、政府の中国に対するペコペコ外交も頷けます。

この地球儀は台湾だけでなく、樺太の南半分と、北方四島以北の千島列島を「ロシア領」と表記しているという。うーむ。

というような報道を受けて、早速、WiLL読者からたれ込みの電話が。
「今、学研さんに電話して怒鳴り込んだんですけどね。対応がめちゃくちゃです。説明もできないようだ」
とのことで、常識ある日本人の怒りに火をつけておりました。

と思っていたら、先ほど、学研さんは「販売中止と返却」を決めたそうで。理由は、「不適切な表記があった」ということだそうですが、いったいどんな恫喝をされたのか事実を白日のもとにさらして頂きたいものですね。

いやはや、中国は民間会社の地球儀にさえ圧力をかけるのです。中国に工場を持っている民間企業の皆さん、気づかぬうちに検閲にかかって、骨抜きにされてるんですよ。しっかりしてくださいね。

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2007-12-28

今年の三本

 もう年末ですね、こんにちは。なんだかんだと忙しくて、書けませんでした。映画も一本くらいしか見られませんでしたし。その映画も若干、時期が外れてしまったので、今回は今年見た映画のランキングでも。ランキングといっても、順不同でトップ3です。

・『デス・プルーフ in グラインドハウス』
・『街のあかり』
・『パラダイス・ナウ』
 
 『デス・プルーフ』はここには書きませんでしたが、すばらしい作品です。テーマもメッセージもなく、「何もない」というカタルシス。終わった後、呆然とします。タランティーノはやっぱり凄い。ノーカットで、ロドリゲス監督作と同時上映されたUSAバージョンを見に行けなかったのが本当に残念です。

 『街のあかり』も書いてませんね。アキ・カウリスマキの最新作です。見たときはそれほど強い印象を受けませんでしたが、ずっと心に残っています。孤独とやさしさ。大好きな監督です。

 『パラダイス・ナウ』を見返すことはおそらくもうないと思います。あまりにも重くて。しかし心に強く残っています。映画は凄いですね。
 
 そのほかには……。

 邦画では『それでもボクはやってない』がよかったです。周防監督の次回作はまた先になるのでしょうか?

 『明日、君がいない』もなかなかの良作。この作品の監督の次回作が気になります。シリアスで重く痛い作品でした。こういう作品を道徳の時間に流せばいいんじゃないか、と思いますが。
 
 『ダイハード4.0』『ロッキー・ザ・ファイナル』といった続篇映画も結構楽しめました。もっとグダグダになるかと思ったのですが、シリーズものの強さ面白さが出ていました。頭空っぽにして見ても大丈夫! ま、『ランボー4』は行くかどうかわかりませんが。

 こんなところです。
 今年もなかなか良作が多かったのですが、邦画が弱いのが残念(といっても、それほど見ていないので偉そうには言えませんが)。純愛ものはもういいよ……。

 このブログも今回で年内は終わりです。今年一年、読んでいただき有り難うございました。
 来年も、『WiLL』とこのブログ(私の映画感想だけですが)を宜しくお願い致します。
 よいお年を。

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2007-11-26

ずんぐり刑事

 書けなかったのは増刊号があったからです。
 言い訳からコンニチハ、川島です。11月は増刊号に本誌と、正直死ぬかと思いました。12月も講演会に年末進行と怒涛の展開が続きます。ゲフッ。

 気を取り直して……『ロンリーハート』を見に行きました。
20071123184518
 1940年代に起きた事件の映画化です。
 出演、ジョン・トラボルタ、ジェームズ・ガンドルフィーニ、ジャレッド・レトー、サルマ・ハエック、スコット・カーン、ローラ・ダーン。監督・脚本のトッド・ロビンソンは、トラヴォルタ演ずる刑事の実の孫。こんなこともあるもんですね。

 新聞、雑誌などにある恋人探しの文通コーナー「ロンリーハート・クラブ」を利用し、戦争未亡人や中年の独身女性を狙った結婚詐欺師のレイモンド・フェルナンデスと、相棒であり恋人のマーサ・ベック。彼らは共謀して20人以上を殺害した、というのがストーリー。

 この事件は前にも『ハネムーン・キラーズ』というタイトルで映画化されていて、その作品は犯人の視点で描かれています(未見です)。本作は刑事側の視点。と言いながらも、犯人と刑事の視点はほぼ並行して描かれているから、そうでもないかもしれません。

 二つの視点から事件を描く手法が成功なのかといえば、そうではありません。うまい具合にバランスが取れてしまい、小さくまとまってしまっています。それにより、クライムムービーで必要な、犯人の不気味さや殺伐とした迫力を欠いてしまっています。人間として描くには中途半端、不気味な存在として描くにも中途半端。

 なにより一番問題なのは、各所で言われていることですが、実際のマーサは100キロを超える巨大女だったことです。
 映画ではラテン系フェロモンばりばりの美女。これでは何の面白みもない。この事件の肝であり、最も面白い部分は、
「100キロの女が、コンプレックスを抱きながら、運命の男(と思い込んでいる)レイを信じ、愛し、彼の為に犯罪を犯す」
 ということです。醜い女の事件だからこそ興味深く、映画にした時、カタルシスが生まれる。

 正直、この事件では描くべき事はその一点のみで、刑事の父子関係も、恋愛もどうでもいいのです。そんな余計なものを付け加えるから、本題が掘り下げきれなくなってしまうのです。

 と、苦言ばかり呈してきましたが、つまらなくはなかったですよ。小品、です。

 ところで、この映画はトラボルタ目当てで見に行ったのですが、全然魅力なかったのでガックシでした。何だかずんぐりむっくりしていました。『ヘアスプレー』の母親役の評判がいいだけに期待していたのですが。近く公開される『団塊ボーイズ』ではスッキリしていて欲しいです。

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2007-10-11

スキヤキかマカロニか。

20071008233756
 『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』を見ました。
 監督は三池崇史。出演、伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、桃井かおり、香川照之、石橋貴明、安藤政信、木村佳乃、堺雅人、そしてクエンティン・タランティーノ。豪華絢爛!

 ストーリーは、平家ギャングvs源氏ギャングが、埋もれているというお宝を巡り対立している村に、一人の凄腕ガンマンが流れてくる……というもの。
 なんじゃそら。

 こういったぶっ飛んだ物語や設定は、奇しくも出演しているタランティーノに通ずるものを感じますが、如何せんタランティーノとは才能が違います。それはレベルではなく、才能の「質」が違うのです。

 柳下毅一郎さんが書いていましたが、《三池崇史の才能は徹頭徹尾破壊の才能》なのです。
 ですから、例えば時代や国をわけのわからんSFな設定にしてみたり、日本人ばかりなのに英語を喋らせたり、そういった破壊力のある設定は面白い。日本人の英語、というのは相当違和感ありましたが。
 特に銃撃戦では破壊の才能が爆発して、見事なものでした。最終決戦は雪降りしきる中。銃と刀の戦いは、一瞬にして永遠。

 しかし、それら舞台の上で展開されるはずの「物語」が全く構築されていないのです。タランティーノは「構築」(又は「編集」)の才能が抜群で、ドンドン予想を超えたものが画面上で構築されていきます。しかし三池崇史は、破壊のみで構築がない。
 だから何もかもがあり過ぎているのに、何もかもが足りない、と感じてしまいます。素材ばかりが積まれていくのを見ているわけです。歯がゆい気分になりました。

 豪華な役者陣も、豪華なだけにうまく回っていないように見えました。これだけ揃っているのは、見ていて眼福ではありますが、脇役をがっちり渋めに固めて、主役級を大暴れさせる方がいいのでは。どうしても豪華だと、“飽き”が来ます。
 そんな中、際立って光っていたのは、桃井かおり、タランティーノ、香川照之の三名。特に桃井かおりは、彼女が普段発する「私は大物なのよオーラ」がいい方向に働き、生き生きと演じていました。記者会見で「これで『SAYURI』に勝った!」と言ったのもうなずけます。

 マカロニ・ウェスタンに対抗してのスキヤキ・ウェスタン。面白い試みではあるので、三池崇史に続いて、他の誰かが作った作品を見てみたいです。そうやって、一流作品からB級まで様々な作品が揃えば、なかなか面白いジャンルになるんじゃないでしょうか。

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2007-09-25

お笑い映像テロリスト

 お、お久し振りです!
 光陰矢のごとし、いつの間にやら二ヶ月くらい経っておりました。こんなブログでも、読んでいただいている人がいて、「早く更新しろ」とお叱りを受けておりました。すみません。
 では早速。
20070905110916
 少し前になってしまいますがマイケル・ムーア監督作品『シッコ』を見ました。
 突撃突貫、ゲリラ監督の次のターゲットはアメリカの医療保障。命という重いテーマを、笑いを取り入れながら描いて行く手腕は相変わらず素晴らしいです。編集もいい。ムーアに関して、(特に日本の)メディアはいつも突撃過激取材だけを取り上げるけど、映画としても面白くしているという事を忘れているとい思います。

「薬指をくっつけるのに12000ドル、中指なら60000ドルです」
「……じゃあ薬指だけ」
 だから大工の中指はない。

 救急車を呼ぶのに、事前の申請が必要。一体、いつ申請すればいいのか? 倒れる直前に?

 アメリカの医療保険制度は完全に異常です。一方、イギリスやフランスに行き、その充実っぷりを目の当たりにして、ムーアは「もうやめてくれ!」と頭を抱え込む。アメリカ人にとって理解できないほど恵まれているから。その姿が滑稽で笑えます。多分、わざと演技していると思いますが。

 笑いを入れながら、アメリカの病魔を抉り出しています。

 とはいえ、『華氏911』でも批判されたように、決してフェアな描き方ではありません。偏向、というより、あえて隠している部分が随分とあります。
 例えば、アメリカは医療保険制度は最悪だけど、医療技術や製薬技術は世界一です。フランスやイギリスでは医療における国民負担はゼロ、国から派遣される乳母もいたりしますが、その分、税(消費税とか)が高い。
 そういった情報は完全に無視している。これ以外にも多々ありそうです。

 マユツバで見るべき映画ではあるけど、事実無根の駄目映画なんかではありません。むしろ見るべき映画でしょう。ムーア自身も、フェアだと思ってはおらず、問題提起として描いています。こんな映画を見せ付けられたら、日本は大丈夫なのかと調べる人は多い。それが狙いのはずなのです。

 そもそも、ドキュメンタリーに中立という視点は可能なのでしょうか。現在の日本のマスメディアの報道ですら中立なんかではありません。
 一番重要なのは、我々観客(国民)の見方や視点です。必ずしも全てを映し出しているわけではない、自分達で考えろ、という基本的にしてもっとも重要なポイントだ。日本に限らず、今の人間はそこを欠いている気がしませんか?

 ムーアは映画内で彼を批判するサイトの主に対してある行動を起こします。ムーア自身が、自分は公平ではない、中立って難しい、だからこそいろいろな視点が必要なんだと考えているからこそ行動ように見えました。(ま、この行動を映画にしているんだから、ちょっとは打算的に考えている部分もあると思いますがね)

 クライマックスは9・11の救命作業で健康を犠牲にした人々を連れて、キューバのグアンタモナ海軍基地に突撃するシーン。「電波少年」的ですが、そこからキューバに流れていくところは、オリバー・ストーンがカストロに突撃インタビューをした『コマンダンテ』を見た者にとっては、かなりぞくぞくします。是非、早稲田松竹など名画座で二本立てで上映していただきたい。
 勿論、このキューバの部分も眉唾で見なければいけません。はっきり書けば、マイケル・ムーアはジャーナリスト失格でしょう。

 ところで、マイケル・ムーアについての雑誌や新聞の記事で、「日本のこれを撮って欲しい」という企画が載っている時があります。誰だったか、日本の原爆について撮ってもらいたくて手紙を書いたという人もいた。

 馬鹿か、と思いました。

 雑誌企画に目くじら立てるのもどうかと思いますが、自分達の国の事は自分達でやるべきでしょう。
 人に頼ってどうする。そんな考えだから、いま話題に上がる天皇や特攻隊や原爆の映画は、ほとんど外国人が撮ったものばっかなんだよ。情けなくないのか。

 そうです、目くじら立てるべきは雑誌企画じゃなくて、日本の映画監督達に対してです。いい加減、ホラーと純愛じゃねぇだろ。目を覚ませ。

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