医師不足問題が深刻化している公立おがた総合病院(豊後大野市緒方町)と県立三重病院(同市三重町)について、県が豊後大野市に統合に向けた協議を打診していたことが15日、分かった。市側は打診に反発し、今後の対応を協議している。
同市によると広瀬勝貞県知事が11日、芦刈幸雄市長に口頭で打診した。おがた総合病院(常勤医13人)は昨年9月から常勤内科医がおらず、三重病院(同16人)も神経内科と整形外科で欠員が出ていることから、統合で機能を集約し、安定的な医療サービスを確保するのが主な狙いという。
広瀬知事は15日の会見で「建物から言うと新しく、機能も良い『おがた』への統合を考えている」と方向性を明らかにした。合併前に「両病院を残す」と約束していたことについては「こんな医師不足は予見できなかった」と釈明。「統合により医師を減らす考えはなく、しっかりした病院にする方が地域の安心につながる」と述べた。
一方、豊後大野市は同日、市議会全員協議会を開いて対応を検討。「約束が違う」「知事に撤回を求めて抗議すべき」などと批判的な意見が相次いだ。市執行部は、地域医療のあり方を検討するための委員会を県と共同で設置することを提案したが、結論は出なかった。芦刈市長は「市民の健康のためにも地域病院を守ることが大前提。議会と一緒に対応を検討してきたい」と話している。【大島祥平、梅山崇】
毎日新聞 2008年1月16日