生まれて初めて人間ドックを受けた。外勤から内勤に変わって2年余り。体重は5キロ増え、腹回りも90センチを超えている。何もないほうがおかしい。標準コースに胸部ヘリカルCT、内臓脂肪CT、血管診断なども追加。何らかの病気が見つかると覚悟して臨んだ。
鼻こうを通す胃カメラ。胸焼けが続くと訴えると、画面いっぱい広がる赤いただれが涙目ににじんだ。「ハイ、ここが炎症。飲食後すぐに横になると胃液が食道に逆流してこうなります」と医師。
ほかに異常は確認できなかったが、やはり「メタボ」だった。内臓脂肪面積は138平方センチ。100平方センチ以下が望ましく、体重1キロ当たり10平方センチ減る計算で4キロ減量が必要と、宣告された。
病気ではないが、健康でもない--の意味で「未病」というらしい。この言葉は約2000年前の中国の医学書「黄帝内経」にあり、貝原益軒の「養生訓」にも登場する。「この時期に治すことのできる医療者を聖人という」そうだ。
翻ってわが身。もとより凡人。わかっちゃいるのですが……。【松藤幸之輔】
毎日新聞 2008年1月16日 西部夕刊