シートン俗物記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-01-15 晴れ

[][]新 自滅する捕鯨

選手権見たりで詰まっていた週末。気が付いたらコメントをだいぶ溜め込んでいた。

さて、


Chieさん。コメントありがとうございます。

漂着クジラを食べるのは危険ではないでしょうか。どんな毒物や病原体に汚染されているかわからないのですから。

「漂着クジラ」と言うと何となく聞こえがいいですが、要するに「死因のはっきりしない野生動物の死骸」です。

どうしても食べたい人は自己責任でお好きなようにですが、少なくとも市場流通させるのはまずいでしょうね。

おっしゃる事はわかります。ただ、全部の漂着鯨が死んだ形で漂着するわけではなく、生きているものも結構あります。リロケーション機能をやられたり、パニックになって岸へぶち上がった可能性があるようで、沖へ戻せても助かる可能性は少ないそうです。こうした鯨を頂くなら、もちろん加熱処理は必需でしょうが、それなりに頂けると思うのですよ。これは、あくまで個人的意見ですけど。流通経路に載せるのは確かに無理そうですけどね。


名無しさん

こういうやっつけなHNには回答しない事にしているんですが、一応。

南氷洋まで向かうのは商業捕鯨再開をにらんでのことです。捕獲は耳垢から年齢、胃袋の内容物から食べている魚の種類、量などを調べるなど、さまざまな調査を行います。

まさにこれこそが他国の不信の基なのです。現在、野生動物調査(水棲動物を含む)で、捕殺しなければ調査が出来ないなんて事はありません。どうみても調査捕鯨というのは“調査に名を借りた捕殺”にしか見えないのは仕方ないことです。


IWC科学委員会で商業捕鯨再開が認められたのにそれを容認しようとしないIWC加盟の反捕鯨国の態度に腹を立てて委員長が辞任するということもあったのですが。

これ、Philip Hammond 氏の事ですね。捕鯨関係者、しきりに宣伝してますよね。

もともとRMS自体、妥協の産物でもあります。

つまり、

公海上の資源は誰の物でも無いのであって、その捕獲量に線を引くとしたら「科学的根拠において」が絶対条件だと考えます。

という考えに基づいて。

ですが、そもそも公海の水産資源が誰のものでも無い、というのは、同時に“誰のものでもある”事をも意味します。みんなのもの、であれば、「影響がないから取っていい」というレベルに留まらず、全体のコンセンサス、が必要になるわけですよ。そのいみで、RMSに従うことは必要条件ではあっても、充分ではなかった、ということなのです。

伝統的沿岸捕鯨に絞って再開すればいい。

IWC加盟国は例え領海であっても捕鯨は禁止されているんですよ(小型のイルカ類は除く)

絶滅が危惧されているホッキョククジラの捕獲をイヌイットの文化だとして認めているのに、日本の沿岸捕鯨を認めないのはダブルスタンダードだ、として否決したことがあります。

知ってます。だから、私が書いたのは、南氷洋における商業捕鯨は中止、ないしは凍結。それとバーターで、「先住民捕鯨枠」を認めてもらう、ということ。

もちろん、それには捕鯨砲やキャッチボート利用は不可だし、区域も限られることになる。伝統捕鯨を行ってきた地域の文化として、に限定する事が必要でしょう。

その意味で、先住民捕鯨に否決を出すなんて嫌がらせは最悪なんですよ。


当たった船側を考えれば、ぶつかったのは捕鯨船の方です。

船舶の航行に関する国際法をよく知らないのですが「ぶつかったのは捕鯨船」だと言えるのでしょうか?

はい。まずは次の動画を。


Whalers ram Greenpeace ship

http://oceans.greenpeace.org/en/the-expedition/news/whalers-ram-ship-111


グリーンピースクルーの乗った船Arctic Sunriseの“左舷”からぶつかるのが確認できますね。

ぶつかってきたのは日進丸で、日進丸の“右舷”からです。

で、船舶の航行に関する国際ルールでは、“右側”通行で、追い抜きも“右側”からなんです。


参考:日本沿岸航路に関する海難防止について[PDF

http://www.iatss.or.jp/review/28-2/pdf/28-2-09.pdf


ここに

(4)横切り船

お互いに他の動力船の進路を横切る場合において衝突のおそれがあるときは、他の動力船を右舷側に見る動力船は、他の動力船の進路を避けなければならない。すなわち右側通航の原則を踏まえている。

とあります。


つまり、あきらかに日進丸は国際ルールを無視して、Arctic Sunriseの進路を妨害したのですよ。

ちなみに、グリーンピースを「テロ組織」扱いしているところやシー・シェパードと同一視しているところも多いですよね。(グリーンピース + 捕鯨)でググってみると、現れるサイト、とりわけブログなどは覗いてみると明らかなネトウヨが多くて辟易します。


参考: 【プロ市民】【テロリストグリーンピース日本調査捕鯨船が衝突 非難応酬 (清谷防衛経済研究所

http://kiyotani.at.webry.info/200601/article_16.html


マグロウナギを食べないと死ぬというわけではありませんが環境保護団体が目をつけて絶滅すると騒ぎ立てたら捕鯨の二の舞になる可能性があります。

ウナギについては、後日書くつもりですけど、「完全養殖が成功しなければいいが」と考えています。

それは何故でしょう?


id:gryphon さん。

大体そのへんは知っていますが、であるがゆえに、ビデオのような主張に反捕鯨派は「たじろぐ」のでは?差別反対をタテマエにでも重視する人にこそ「それは差別ですよ」という指摘が有効になる、というのは米国の公民権運動でもそうでしたし。

例えば、“アファーマティブアクション”は逆差別だ、という声もあるわけですが、大きな影響を与える事は無いのでは?それと同じで、“的外れな”主張は、相手の怒りを買っても、受け入れられる余地は薄いんじゃないでしょうかね。


問題は殺し方より、カンガルーの例があれば「野生動物でも数が十分なら捕殺可能だ」という論理を共有できるという点で再確認するのはいいことだと思います。実際の話として、誰もがやるかどおかは別としてあれは現地では合法らしいですし。

カンガルー殺し」が合法なのは、カンガルーを害獣として見ている保守層の考えの反映なわけです。でも、野生動物全般に保護の意識が高まっていることも確かですよ。


私はよく、外来種が来た後の山や狼のいなくなった山を引き合いに出すのですが、(略)

おっしゃることはわかります。ただ、里山ならぬ“里海”として南氷洋を見なすのは無理があるでしょう。

他国が南氷洋サンクチュアリとしようと考えている今、人間が積極的に関わって多様性を保つようなゾーンとして扱うのは難しいと思います。

自然保護の例としては、アメリカイエローストーン公園がいい例になると思います。彼の地では、山火事も原則放置です。自然の回復力にまかせ、人間が介入しない方針を立てています。


参考:イエローストーングレイシャー

http://www.tt.em-net.ne.jp/~taihaku/sightseeing/american_rocky/AmericanRocky.html


海で考えるなら、近海人間が積極的に生物多様性環境維持に努める。公海は国際間の合意による資源管理に努める。最も人間環境に遠い海(例えば南極海)は人間が介入しない。こうしたゾーニングが必要になると思います。そもそも、日本近海生物多様性環境維持に熱心ですかね?私にはそう思えませんけど。


ナナフシさん。

鯨食べたい人のことはどうすんですかーって感じです。自分がよけりゃそれで良いって考えがにじみ出てます。

だから、私は鯨を食べるんですよ。読んでなかったの?で、不毛な話より、妥協点を見出す方がましで、それに見合う対価を払う意志はあるんです。

商業捕鯨はやめる。代わりに伝統的漁法に限った捕鯨を「先住民捕鯨」枠として認めてもらう。それでいいじゃないですか。


本当に不思議なんだが、なぜ、他の水産物には注意を払わないの。有明タイラギ。吉野川球磨川長良川の鮎。各地のアマゴヤマメ三番瀬羽田沖のアサリ。瀬戸内の魚類牡蠣。そしてウナギ

どれも開発がもとで急速に生息域が狭まり、漁獲量が減っているものばかりですよ。本当にクジラや海産資源に興味あるの?アンタらが興味あるのはクジラ自体とは違うんじゃないの?


【追記】

さて、最後に。natamaru氏。予告通りコメント削りました。コメント禁止措置もとってあるので、これからは自分のとこでやってね。

T・HT・H 2008/01/15 20:00 >これらの扱いに比べて、既に失われた伝統文化と、存在しない食文化に対して日本政府は随分と理解があるようです。

例えば「美味しんぼ」を読んだことがありますか?この作品では文化としての伝統的漁法としてより
むしろ、食文化として、文化としての料理法として、ヒゲの利用法としての文化を描いているのですよ。
「伝統的漁法」だけに矮小化した論法はフェアとは言えませんね。

>その意味で、先住民捕鯨に否決を出すなんて嫌がらせは最悪なんですよ。

日本が非科学的な捕鯨禁止を押し付けられるのはいいと仰るのですか?
あえて言いますが、日本が捕鯨禁止されても生きていけるように、先住民捕鯨が禁止されても彼等の生死には関係無いですよ。

>全体のコンセンサス、が必要になるわけですよ。

論点ずらしが行われていますね。
鯨が増えている、に対する科学的な異論とやらはどうなりましたか?
IWC科学委員会が認めたんですよ。
要するに反捕鯨国が非科学的で教条的な捕鯨禁止を振りかざすから捕鯨国から反発をくらうのでしょう。

>他国が南氷洋をサンクチュアリとしようと考えている今
それがそもそも、根本的に間違った考えですよ。
何故どこの領海でも無い公海をわざわざ「サンクチュアリ」なんてトンデモない指定をしなければなりませんか?
イエローストーン公園をサンクチュアリに指定するのはアメリカの自由ですよ。
でも公海を非科学的な主張で不可侵領域にしてはいけません。

>本当に不思議なんだが、なぜ、他の水産物には注意を払わないの。
もちろん他の水産物だって注意をはらいますよ。
例えば美味しんぼをご覧になってはどうですか?
たまに間違えることはあっても積極的に資源保護を訴えてますよ。

satohhidesatohhide 2008/01/15 21:49 日進丸は停船中なのにぶつかってきたとは、これいかに。
でもグリーンピース船、当たり方うまいな。きっちり小破で済むようにナイスコントロールしている。

デミトリーデミトリー 2008/01/15 23:36 チョッと前から読んでましたが、今回初めてコメント致します。

#Dr-Setonさん
>どうみても調査捕鯨というのは“調査に名を借りた捕殺”にしか見えないのは仕方ないことです。

調べてみたら絶滅危惧種まで殺してたそうですね。これじゃあ調査だと言っても信用されないのも道理です。

>その意味で、先住民捕鯨に否決を出すなんて嫌がらせは最悪なんですよ。

同感です。先住民捕鯨の枠を確保するのは、これまで蔑ろにされ勝ちだった弱者のへの遅まきながらもの償いであり、それを自らの利益の為に取引材料にすると言うのはエゲツナイにも程が有るってモノです。

>「完全養殖が成功しなければいいが」と考えています。

ぶっちゃけ、人工繁殖のサイクルが回るようになったら野生の物が生息する為の環境を守らなくなるから、でないかと思います。

#T・Hさん
>日本が非科学的な捕鯨禁止を押し付けられるのはいいと仰るのですか?

絶滅危惧種の鯨にまで手を出したのは拙かったと思いますよ。

>先住民捕鯨が禁止されても彼等の生死には関係無いですよ。

彼らの伝統猟法では鯨の生態へのダメージもたかが知れてるし認めてあげても良いのでは?繰り返し言いますが弱者の伝統を人質にするのは感心しません。

>非科学的で教条的な捕鯨禁止

Dr-Setonさんも仰るように今時捕殺する調べ方も無いと思います。非科学的なのはむしろ日本かも。

>でも公海を非科学的な主張で不可侵領域にしてはいけません。

南極も温暖化の影響で棚氷が流出するなど環境が激変してるそうなので、これまで通りの利用が可能か怪しいと思います。

msxmsx 2008/01/15 23:38 鯨肉 - Wikipedia

獣肉の常として、その食味は、種類によって大きく異なる。日本では、捕鯨問題をめぐる議論の中、しばしば「鯨肉」として同一に扱われるが、それは牛肉も羊肉も同じ『ウシ目(偶蹄目)肉』として同一に扱うような乱暴な話であり、種類によって食味が異なるため、別々に扱うべきものである。

昭和40年代の給食のメニュー クジラ肉? - 教えて!goo
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1667357

子供の頃、食ったはずなんですが、どの鯨が美味いというほど文化にはなっていないようですが

鯨ベーコンも食ったけど、独特の風味で、別に死ぬほど美味いってもんじゃないよ

くま(仮)くま(仮) 2008/01/16 00:03  ごぶさたしております。
 皆さんがまじめな話をしておられるところまことに申し訳ないのですが
 タイトルを見た瞬間脳裏に『捕鯨兇状旅』『捕鯨喧嘩旅』『捕鯨千両首』という文字がフラッシュしました。

名無しさん名無しさん 2008/01/16 08:54 >まさにこれこそが他国の不信の基なのです。現在、野生動物調査(水棲動物を含む)で、捕殺しなければ調査が出来ないなんて事はありません。

ミンククジラの個体数が増えたためか早熟化(おませさん)になり増加に拍車がかかっている(まだ確定していませんが)というのは捕獲しないとわからないことです。
多産なのか、年に一頭しか産まないのか、数年に一頭しか産まないのか。そしてそれが個体数によって変化無く一定の状態が続いているのか、外見からでわかるのでしょうか?
IWCは資源の持続利用が目的で商業利用を考えると最小利用の算出ではなくて最大利用の算出が本来の趣旨に沿うはずです。

>もちろん、それには捕鯨砲やキャッチボート利用は不可だし、区域も限られることになる。伝統的捕鯨を行ってきた地域の文化として、に限定する事が必要でしょう。

手こぎ船に乗って、銛を持って。
CWニコルさんの「勇魚」を思い浮かべてしまいますが21世紀の世の中になっても伝統文化に「命」をかけて、ということでしょうか?
日本の沿岸捕鯨が蹴られているのですからそれはそれで一つの案として有効だとは思いますが突きつけたところで「調査捕鯨には捕鯨砲やキャッチボート利用している」云々言い出しそうです。

>Whalers ram Greenpeace ship

あの、日本捕鯨協会のHPを「ここは笑うところですか?」と言っておいてGreenpeace側”のみ”の情報から「グリーンピースのクルーの乗った船Arctic Sunriseの“左舷”からぶつかるのが確認できますね」と言い出すのは盲目的だと思います。
少なくとも双方の言い分から客観的に判断していただかないと。

・IWC科学委員会から日本が提出したデータに対し偽造、捏造がしてきされたことはあるのか?
・捕鯨船に乗船希望をした他国の研究者の乗船拒否をしたことはあるのか?

返答がございません。

>最も人間環境に遠い海(例えば南極海)は人間が介入しない。こうしたゾーニングが必要になると思います。

蒸気エンジンの発明、産業革命以降でサンクチュアリを定めるのは科学的ではなく単に神聖化という感が強いです。
「遠い」の線引きはアルゼンチン、南アフリカからすると北極海か?となりかねませんが。

>商業捕鯨はやめる。代わりに伝統的漁法に限った捕鯨を「先住民捕鯨」枠として認めてもらう。それでいいじゃないですか。

その捕獲する鯨類が持続的利用できるかどうかの調査費用をIWC加盟国全体で出してくれるならありがたいのですが。
沿岸捕鯨とは言えども捕獲枠を算出しろと言いだしそうだし、捕獲枠算出のために莫大な調査費用がかかりますし。
その割には捕獲枠が少なく、鯨肉が馬鹿高くなってしまったらいくら伝統文化と言えども廃れてしまうかと。
(ホッキョククジラの頭数を算出するためのデータを提供している国は?)

>本当に不思議なんだが、なぜ、他の水産物には注意を払わないの。

ヨウスコウカワイルカの絶滅が危惧されていたのにGreenpeaceは全くと言って良いほど動かず、近年においては絶滅したと報道されています。
調査捕鯨船に関わる時間と金のリソースはこちらのほうに振り向けたほうがよっぽど有意義だったはずです。

>調べてみたら絶滅危惧種まで殺してたそうですね。

米国(イヌイット)は絶滅が危惧されているので一頭たりとも捕獲してはいけないはずのホッキョククジラの捕獲枠を得ています。
数頭ならかまわないというのであれば日本の沿岸捕鯨も認めるべきです。

ゲスト