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薬害C型肝炎訴訟:国と基本合意 県南の60代の女性、血液行政を指弾 /茨城

 ◇なぜこんなに時間が…

 「うれしいが、なぜここまで時間がかかったのか」--。薬害C型肝炎訴訟の原告・弁護団が15日、舛添要一厚生労働相と基本合意書を締結した。東京訴訟の原告団には県内から4人の患者が加わっている。このうち、県南の60代の女性は悪化する病状に苦しみながら4年半の裁判をたたかってきた。【原田啓之】

 この日、女性は福田康夫首相がテレビを通じて謝罪するのを見て「よく決断してくれたとうれしいけれど、半面でなんでここまで時間がかかったのか」と話した。

 女性がC型肝炎にかかったのは87年、2人目を出産(死産)した後だった。約1カ月後にウイルス性の急性肝炎と診断された。激しいかゆみが全身を襲った。疲れやすくなり、近所で買い物をして帰るだけで立っていられなかった。

 ウイルス量を減らすインターフェロン治療を3度行った。月20万円の負担が家計にのしかかったが、完治せず、副作用から甲状腺に異常が出た。「なぜこんなに弱くなったのか。家族にすまないという気持ちでいっぱいだった」

 02年、薬害C型肝炎訴訟の原告第1陣が提訴したという記事を新聞で読み、産婦人科にカルテを問い合わせた。そこには「フィブリノゲン」と書いてあった。陣痛促進剤を使った際、止血剤として薬害肝炎の原因とされる血液製剤が使われていたのだ。

 自分のせいじゃない。血液行政がしっかりしていれば防げたはずだと強く思った。夫にも「こんなことが自分たちの子どもの時代にも繰り返されては駄目だ」と後押しされ、03年東京地裁に提訴した。

 裁判のさなかにも、肝炎ウイルスの量は容赦なく増えた。体の不調を押して、昨年3月と10月、東京・日比谷公園での座り込みに参加した。

 今後は和解金を使って、新型インターフェロン治療を受けるつもりだ。「ウイルス量が増えたので効かないかもしれないけど、まだ間に合うかもしれない。もう一度完治を目指します」と話した。

 ◇救済対象から外れる患者多く

 感染被害者救済法が成立し、訴訟が和解になっても、救済の対象から外れる患者はなお多い。フィブリノゲンが使われた80年代当時のカルテを保存している施設は少数で、投与の証拠がない場合があるからだ。救済法では、薬害の認定を裁判所がする。カルテがない場合は、医師の証言なども踏まえて投与の有無を総合的に判断するというが、どう運用されるかは不透明な要素がある。

毎日新聞 2008年1月16日

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