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2007年9月13日 (木)

News & letters37

高レベル放射性廃棄物最終処分地選定の新方式について     
           声明     平成19年9月13日
                  東洋町長澤山保太郎

新聞等報道機関によると政府は高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定について、これまでの応募方式に加えて、国の方が積極的に市町村に申し入れるという方式を実行するという。

この新方式について東洋町長としての危惧の念を述べて、政府に対し、もっと適切且つ適法な方式を検討するよう要請するものである。
1、国が市町村に申し入れるという新方式は、その申し入れ先の選定がどのようなものであれ、弱い立場の市町村、特に財政的に困っている市町村には相当な圧力となり、また誘惑となるであろう。
これに無回答、拒否回答をすることには相当な勇気が要るから、調査ぐらいなら受け入れようという自治体が続出する可能性があり、しかもこの回答の方式が各市町村では首長一存でできるから、これまで以上に住民を抜きにした受入団体が出てくる可能性がある。これは、東洋町で経験したようにこれまでよりも一層全国の各地域で紛争と混乱を巻き起こす可能性がある。
2、高レベル放射性廃棄物の地層処分の選定には、憲法95条の適用が不可欠である。これに係る国の法律は特定地域に適用される特別法であるから、憲法95条に規定されたとおり、該当地域の住民の住民投票による同意が必要である。
また、この問題はその地域だけで収まるものではないから、処分地選定には欧米と同じように国会の決議を必要とすべきであろう。
核廃棄物の処理は原子力産業の根幹を構成するから、国会レベルで審議し決議をする必要があると考える。
3、新方式(国の申し入れ)にしろ、これまでの応募方式にしろいずれも現行の法律では候補地の選定方法が法定されていない。
2方法とも国の恣意的、かつ、利益誘導的なものであり、きわめて陋劣な手法であり、利権屋的ブローカーが介在しやすい。決して科学的かつ政治的(国民合意的)な選定方法とはいえない。
国は速やかに現行法を改正し、適法かつ科学的民主的な選定方法を確定すべきである。
4、しかしながら、高レベル放射性廃棄物の安全な処分方法又は管理方法は世界的に確立されていない。地層処分も未だに実行されたところはない。地層処分が安全であると言うことについては、なんら実証されていず、むしろ人間のコントロールできない場所での埋設はきわめて危険であるといわれている。特に日本のような全地域が地震地帯であり、無数の活断層が走っているところでの地層処分は一顧だにする価値もない。
廃棄物の処分地の安全確保もなされず、今もまだその候補地さえも決まっていないのに、原発を稼働させ膨大な核廃棄物を作り続ける政策は無謀であると言わざるを得ない。これ以上の核廃棄物の生産と蓄積は即刻やめるべきである。我々は放射能汚染の不安のない社会を建設するために全力を挙げてなすべき事をなす必要がある。
5 、なお、憲法95条には国会法などにその実施について規定があるが、国民や地方自治体の側にこの憲法にアクセスする方法(施行令 enforcement reguration)が存在しない。この前の参院選挙の折、管総務大臣が高知に来ていたときその事を尋ねたら前向きに検討すると答えられた。憲法95条を空文化させないためにも是非施行令を制定してもらいたい。

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コメント

初めまして、突然失礼いたします。
記事の2の内容について、質問をさせていただきます。

「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」のような法律に、憲法95条「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」が適用されるとするならば、その法律が制定される時に、すでに一カ所の処分地が選定されていなければなりません。法律ができる前に、どのように地域が選定できるとお考えでしょうか。

また、処分地選定を「国会レベルで審議し決議をする必要がある」ということならば、自治体の応募を待つだけでなく、国の方から積極的に市町村に申し入れるという新方式の方がそれに合致するように思われますが、申し入れ先を国会レベルで審議すべきとお考えなのでしょうか。あるいは、応募に対して国会レベルで審議し決議するということでしょうか。それは、「文献調査」「概要調査」「精密調査」「最終選定」のどの段階が妥当でしょうか。

お忙しい中たいへん恐縮ですが、お考えをお聞かせいただけたらと思います。

投稿 リバー | 2007年9月13日 (木) 23時31分

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