News & letters42
裁判
ある新聞のコラムにいう。静かな町では裁判沙汰にならずに物事が解決していた。問題が起こっても裁判にせずに膝詰めで話し合った方がよいという。
この見解は、人権擁護の時代にそぐわない。
弁護士がいない地域には、わざわざ費用を工面して日弁連や国が弁護士を置こうとしてきた。
室戸・安芸など県東部に3年前にやっと日弁連の費用で弁護士が一人配置され、今月になって国の関連で「法テラス」の弁護士が一人配置された。
遡れば封建時代から長いものには巻かれろということで泣き寝入りや、無知から、多くの国民が苦しんできた実態があるからである。裁判にかけたくても金がない、そもそも裁判で決着がつくのかも分からない、また、裁判所へ行くこと自体が恐るべき事であり出来たら一生そんなところへ行きたくないと、たじろいできたのである。
直にいがみ合い喧嘩をせずに裁判所で冷静に問題を整理し、合理的に解決を図るという感覚には多くの人が遠いところにいる。
高知市のある弁護士がその業界の雑誌にも書いたそうだが、オンブズマンがやっているあの住民訴訟の数でも日本はヨーロッパに比べ件数がきわめて少なく、最近では韓国にも追い越されているという。
理念的には、出来たら裁判は少ない方がいいであろう。しかし、田舎でも都会でも、数限りない人権や財産の侵害、行政の不正、等々が渦巻く現在、裁判の数が少ないというのは、その国民の民度が問題になってくる。裁判が多ければいいというわけではないが、泣き寝入りとあきらめとが地域を支配し、力の強いもの、暴力や脅しを辞さないぞという連中、不法行為がのさばる社会を正すには、国民が裁判所を利用すること、その流れははまだまだ弱く、不足しているいうべきだろう。新聞も民度を高める必要があろう。
| 固定リンク
「オンブズマン町長の視点」カテゴリの記事
- News & letters42(2007.10.04)
- News letter4(2007.06.01)
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/408473/8244137
この記事へのトラックバック一覧です: News & letters42:
コメントを書く
コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。
コメント