« News & letters49 | トップページ | News & letters 51 »

2007年12月29日 (土)

News & letters50

2007年への感謝と決別の言葉

私にとって2007年平成19年は大変な年でした。このような年を過ごしたのは、60年代から70年代にかけての学生運動や反戦運動たけなわの時期以来でした。当時60年安保闘争直後に学生になってからは毎日が戦いでありました。
大学は私にとっては革命の学校でした。
特に60年代後半からは激闘に次ぐ激闘であったであろう。・・・・
戦線を離脱してから、20年間。田舎暮らしの中で、市民オンブズマンや地方議員として少しは世の中に貢献することもあったかも知れないが、今回の東洋町での決戦では再び権力と真っ向から戦うことになったのでした。
「死闘の6ヶ月」と言ってもいい。「決戦勝利」の旗幟を高く掲げ、国家権力の野望を打ち砕くことに成功した。
高知県の最果てのわずか2000に足らぬ住民が国家の全重量をかけた攻撃を撃退したのであった。

いま、私は、図らずも小さいとはいえ町の行政権力を握った。
めまぐるしいほど忙しい仕事の合間を盗んで昔読んだモンテスキューの『法の精神』という本をもう一度読み返している。
昔は、権力の圧政から民衆の自由を確保するには、という観点から読んでいたと思う。今は違う。私は反核闘争の選挙では反核一本で選挙を戦ったが、、しかし、選挙戦の中から法令の遵守ということについては絶対的な政治信念として掲げることを忘れなかった。それは当たり前で抽象的なスローガンのように見えたであろう。

『法の精神』で次のような文章が注目される。
「君主政体や専制政体が維持又は持続されるためには、誠実さはあまり必要ではない。前者においては法律の力が、後者においては君公の常に振り上げられた腕が、万事を規制かつ抑制する。しかし、民衆国家においては、一つのバネが必要であり、それは徳である。」
学校の教科書でも三権分立という政治思想家モンテスキューについて学ぶ。すなわち、
彼によれば、国家は、立法、行政、司法の三権が分立していなければ民衆の自由は確保できないという。
しかし、いかに三権が分立していても為政者に徳が無ければその国家は実質的に滅亡しているという。モンテスキューは言う。
「この徳は、法律への愛、祖国への愛と定義することが出来る。この愛は、自分自身の利益より公共の利益を常に優先させることをもとめるから、すべての個別的な徳を生み出す。」

専制国家では、専制者が権力であり法律である。だから法律がないに等しい。人民は恐怖の中で専制者の圧政に苦しむ。
君主制国家では君主が法律の上に立ち、自由に法律を作ってそれによって権力を行使する。だから、法律があるだけ専制国家よりはましだが、たまたまいい君主に当たれば国民の幸福がもたらされるという程度で、そうでなければ、やはり君主の恣意の元に恐れながら暮らさねばならない。
民主制国家では、国民(の代表)が法律の上に立って法律を作り、その法律の下に権力が作られ、その下で権力の行使が行われる。
だが、民主制国家でも、法律の下に作られた権力が法律を守らなかったら、人民は君主国家並みの政治的無権利におとし込められる。
為政者に徳がなければ、祖国とその人民への愛、法律への愛が無ければ、民主国家は実質的に存在しないと同然であり、不正、腐敗と特権と差別が横行する。

私は東洋町役場に入って幾多くの規則を作ったであろうか。
役場は、その権力執行部の恣意と無気力によって運営されてきたと言っても過言ではない。これは一人東洋町役場だけではないだろう。
施設の管理から採用試験に到るまで法令・規則による業務の遂行は為されていなかった。私が東洋町役場でやってきたことは、まだ完了していないが、室戸市に入っても高知県庁に入ってもやはり同じ状況に遭遇し同じ問題より発生する諸「軋轢」と戦うことになったであろう。
不当な利権と無気力勢力との軋轢なしに民主政治は一歩も進まない。

祖国とその人民を愛し、その人民の権利を守りみずからの権力を自己抑制する法律を愛する事なしには、民主国家はなりたたない。
モンテスキューの見解には時代の限界はあるであろうけれど、為政者は今一度『法の精神』を読むことをおすすめしたい。
これが私の偉大な2007年への感謝と決別の言葉であります。

|

政治思想ノート」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/408473/9627183

この記事へのトラックバック一覧です: News & letters50:

» 東洋町は発展するのではないだろうか [けんちゃんの吠えるウォッチングーどこでもコミュニティ双方向サイト]
(東洋町の人達の真摯な心により高知の海と自然が守られました。東洋町長選挙)  4 [続きを読む]

受信: 2007年12月30日 (日) 07時49分

» 東洋町/海の駅オープン [それがたまるか!!]
東洋町白浜海岸に、きょう12月30日(日)、海の駅(仮称)がオープン、1月4日か [続きを読む]

受信: 2007年12月30日 (日) 11時59分

コメント

 4月22日に町長になられてからの1週間で、国に「高レベル放射性廃棄物最終処分場」の東洋町立地を断念させました。

 5月には町議会で「核廃棄物拒否条例」と「住民投票条例」を提案され採択されました。

 「核の交付金」に一切依存しない東洋町づくりのために白浜海岸への「海の駅」の設立のために奔走されていることを知っています。

 高知県庁の海岸課で真摯に地元事情を説明されている姿を見かけました。そして来年の1月4日から仮店舗の解説までこぎつけられました。

 新しい高知県知事も「高知の一次産品や食材を都市部の人たちに販売する」ことを重要政策に掲げています。

 東洋町はその先駆けとして成功していただきたいと思います。またきっと成功するでしょう。

投稿 西村健一 | 2007年12月30日 (日) 07時57分

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。