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大阪地裁所長襲撃:少年4度目審理 長期化懸念、現実に 弁護側「検察に自動抗告権」

 大阪地裁の鳥越健治所長(現在は退官)が04年2月、数人の男に襲撃され現金を強奪された事件で、強盗致傷の非行事実に問われた当時14歳の少年(18)に対し、4度目の審理が行われることになった。少年は逮捕から3年半が過ぎても処遇が確定しない状況が続き、改正少年法で懸念されていた問題が現実のものとなった。【遠藤孝康】

 検察側の抗告受理申し立ては、01年施行の改正少年法で導入された。当時、日弁連や学界からは「審理が長引き、少年の迅速な更生を妨げる」との批判があった。だが、法務省は、抗告が自動的に受理される「検察の権利」ではなく、高裁の判断で受理の可否を決めるとして、押し切った経緯がある。

 しかし改正後、全国で昨年11月までに検察側から申し立てられた5件はすべて受理された。3度も審理が尽くされた今回の少年についても、大阪高裁が抗告を受理したことに、少年の弁護側は「これでは(検察側に)自動的な抗告権を与えたも同然だ」と批判する。

 再度の抗告審で高裁が無罪と判断すれば抗告は棄却されるが、有罪の疑いがあると判断されれば、審理は再度家裁に差し戻される。少年法に詳しい沢登俊雄・国学院大名誉教授は「いずれの結果が出るにせよ、少年の保護の観点からは何度も審理を行うのは好ましくない」と話している。

 ◇「いつまでやる」--憤る少年

 大阪地裁所長の襲撃事件で、少年の弁護団が11日午後、大阪市北区で会見し、抗告を受理した大阪高裁の決定を「無批判に抗告を認め、実質的な判断を放棄した」と厳しく批判した。

 少年は昨年12月、大阪家裁で「無罪」にあたる「不処分」の決定を受けたばかり。弁護団によると、4度目の審理となる抗告審が行われるとの連絡を受けた少年は、しばらく絶句して、「いつまでやるのか。いいかげんにしてほしい」と憤っていたという。

毎日新聞 2008年1月12日 大阪朝刊

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