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【社会】被爆広島 ぐるり復興 パノラマ写真ネガ見つかる2008年1月15日 夕刊 被爆から復興に立ち上がる広島市の中心街を一九四七年八月に記録した貴重なパノラマ写真のネガが見つかった。写真家の菊池俊吉さん(一九一六−九〇年)が、爆心地に近い旧広島商工会議所の屋上と、旧中国新聞社(現中区胡町)の屋上から撮影し、東京都在住の妻徳子さん(83)が保存している。後者は三六〇度収めた未公開のすべてのネガが見つかった。 菊池さんは、旧文部省の原子爆弾災害調査研究特別委員会に同行した記録映画製作で、「医学班」のスチル写真を担当。四五年十月一日から二十日まで、被爆直後の生々しい惨状を記録し、個人としては最多の八百六十枚を撮り残した。 今回見つかった復興期のネガは、広島市の原爆資料館と中国新聞社が、広島国際文化財団(山本信子理事長)の助成を得て昨年三月から、被爆直後の撮影写真を電子化する過程で、現存が分かった。菊池さんが残した記録と突き合わせ、パノラマを含め復興期の六百六十枚を確認した。 一連の写真は、菊池さんが広島にあった「瀬戸内海文庫」の依頼を受け、四七年八月下旬から九月末にかけて撮影。一部は、海外向けに四九年刊行された写真集「LIVING HIROSHIMA」に使われたが、大半が今も未公開のままである。 菊池さんは、原爆による廃虚の街の二年後の様子を詳細に撮影。「物理班」の撮影を担当した写真家林重男さん(一九一八−二〇〇二年)が旧商議所と中国新聞社の屋上から四五年十月に撮ったパノラマに合わせ同じ場所から、この夏に第一回平和祭(現平和記念式典)を営み、復興に立ち向かい始めた被爆都市を記録した。 資料館は二月十四日から開く「菊池俊吉写真展」で、被爆直後と復興期の貴重な記録写真を公開する。
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