国道沿いのセルフのガソリンスタンドの入口で、深夜に長い車列ができると、「あすまた値上げか」と思い、残量があるのに、とっさに列の後尾に付いてしまう。天井知らずのガソリン料アップで、そんな条件反射が身についたと友人がぼやいていた 片や、同じセルフでも、自宅のコンセントから自分で充電して走れるプラグイン・ハイブリッド車について、トヨタは二〇一〇年までに発売に乗り出すと発表した ガソリン兼用だが、CO2の排出量が格段に減るから、近距離で速度にこだわらねば重宝だ。この技術で先頭を走る日本らしい「ほどほど」の美学とも言え、揮発油税の暫定税率など今は昔と言われそうなノンガソリン時代の到来に夢が膨らむ 宗教学者の山折哲雄さんが本紙で、日本人の心得として何事もほどほどの「腹八分」の大切さを説いていた。戦後、日本人は腹いっぱい食うために働いてきたのだが、その根底にも腹八分のモラルがあったのだろう だが昨今は、暖冬で灯油代は浮いても、ガソリンを大量に使い、雪なしの道をドライブで遠出する人も多い。日本人にとって腹八分は、既に今は昔の美徳なのだろうか。
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