台湾・台南市の消防局で14年間にわたり、ボランティアで技術指導などを続けてきた東京消防庁のOBら8人が同市の名誉市民に選ばれた。外国人が名誉市民を受けるのは初めて。日本と台湾には国交がないが「消防に国境はない」とする草の根レベルでの活動が評価された。
東京消防庁荏原消防署や地元の消防団員ら59~82歳(現役1人を含む)の8人で、支援団体「台南会」を作り活動してきた。20日に現地で感謝状が贈られる。94年に消防の国際会議に参加するため来日していた台南市の消防隊員らが荏原消防署を見学したのをきっかけに交流が始まった。
95年に台南市を初めて訪問し、目に留まったのは装備の不十分さだった。屋根のない旧式ポンプ車や油圧式ジャッキすら搭載されていない消防車。訓練する隊員の手つきもおぼつかなく、支援することを決めたという。
メンバーは、消火資機材のカタログを紹介したり、訓練に立ち会ったりしたほか、店舗への立ち入り検査の手法などを教えた。約2300人が死亡した99年の台湾大地震の際は、義援金集めにも奔走した。
台南会の平吉男会長(81)は「市民の安全を守る消防の使命を持って活動してきたので評価されて光栄です」と話している。【古関俊樹】
毎日新聞 2008年1月15日 15時00分