ニュース:生活 RSS feed
ブラジル人学校に高卒資格取得の入学枠 群馬県の学芸館高校
群馬県高崎市の学芸館高校(通信制、私立)が、同県大泉町のブラジル人学校「日伯学園」=ブラジル政府認可=と提携、学園に通いながら日本の高校卒業資格を取得できる入学枠を来年度から設けることが8日、分かった。
両校によると、日本の高校とブラジル人学校が協力して高卒資格を取得させる試みは全国初。小中学校での不就学が多い上、日本の高校に入っても言葉などの壁で退学が目立つという日系ブラジル人の教育機会が広がる契機になりそうだ。
生徒は学芸館高校の普通コースに在籍。高校の教諭が日伯学園で週3日、午後6時から英語や数学などの補習授業をし、学園も週2回、日本語指導をする。働きながら通学することも可能だ。
高校の単位取得に必要なスクーリングなどは学芸館高校で実施。在籍期間は3年以上とし、当面は日本の中学校卒業生が対象。現在、定員を検討中で来年1月末から募集を開始する。
日伯学園の戸沢江梨香園長は「中学を卒業しても、日本語もポルトガル語も中途半端な日系人の子どもが多い。内向きで自分自身に否定的になっている場合もあり、学業だけでなく、精神面もサポートしたい」と意気込む。
学芸館高校の平石勝己事務長は「高卒資格があれば、大学や専門学校へ行く道も広がる。日系人の子どもの地位向上につながってほしい」と話している。
■ブラジル人学校 父母のブラジルからの出稼ぎなどで急増した日系ブラジル人の子どものための学校。昨年12月の文部科学省調査では全国に84校あり、49校はブラジル政府の認可校。日本の学校教育法で「各種学校」と位置付けられているのは4校にすぎず、それ以外の学校は「私塾」扱いで、行政などから支援を得ることが難しく、施設などの不備が問題化している。また保護者の経済的負担の重さやいじめなどを理由に、ブラジル人学校にも、日本の小中学校にも行かない子どもも多い。