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2008年1月13日(日) 朝刊 23面
米軍基地でパワハラ/従業員150人 抗議の署名
 基地従業員が働く米軍基地の警備部門で、「幹部らによるパワーハラスメント」の訴えが広がり、署名活動に発展している。要員の過半数に当たる百五十人が署名し、調査や処分を求めて昨年十二月に沖縄防衛局に提出した。九カ月間仕事を何も与えられない、大声で罵倒されたり侮辱されたりなどのストレスから精神疾患に陥り、配転や休職を余儀なくされた人たちがいる。防衛局は事態を重視、米軍と合同で調査に着手する。一方、幹部側は「事実ではない」と反論している。(阿部岳)

 「在沖米海兵隊憲兵隊日本人警備大隊」は、日本人の大隊長以下約二百三十人の基地従業員で構成。米軍人である憲兵司令官の指揮下にあり、各基地ゲートで警備に当たる。

 署名は、基地従業員の幹部複数による「地位を利用した嫌がらせ」「日常生活をも脅かすパワーハラスメント」を訴える内容。昨年十一月から十二月にかけて隊員百四十人と元隊員ら十人が署名し、多数の被害報告も寄せられた。

 隊員だった男性(41)は二〇〇六年の約九カ月半の間、理由を明らかにされぬまま「事務所待機処分」を命じられた。出勤しても警備に出られず、毎日八時間ただ机に向かって座っていることを求められたという。

 「新聞や本を読むことも禁じられ、警備のテキストをずっとノートに書き写した。土を掘ってまた埋め戻すような作業で、精神的に参ってしまった」と語る。〇七年三月に自殺を試みて意識を失ったところを家族に助けられ、一命を取り留めた。

 「標的にされた理由は分からない」という。出勤停止などの処分も受け退職寸前だったが、全駐労の抗議もあり、今は基地内の別の職場で働く。

 大隊の訓練を担当していた別の男性従業員(30)は昨年四月にうつと診断され、休職した。米兵を含む上司から、命じられた訓練計画書を何度仕上げても受け取ってもらえないなどの「いじめ」に遭ったと訴える。

 「次は何の嫌がらせをされるか、と下ばかり見ていた。最悪の職場環境だった」と男性。取り下げたはずの辞職届が意思に反して受理され、「退職」の形にされたため、現在不服申し立ての手続きをしている。

 ほかの隊員からも「ストに参加しないよう脅された」「突然羽交い締めにされた」「銃を持つ職場でもめ事は怖い」などの声が上がっている。

 一方、幹部の一人は「職務に懸命で、『いじめ』に使う労力はない」と事実関係を否定。「上司に改善を求めず、外部に訴えるやり方に戸惑いを感じる」と話した。

 沖縄防衛局は、米軍と合同の調査に向け協議を進めている。「大変重要な問題であり、事実関係を確認し、実態を把握した上で適切に対応していく」と説明。米海兵隊報道部も「警備大隊の隊員の訴えは把握している。防衛局と緊密に連携して調べる」としている。

 全駐労マリン支部の仲里修委員長は「他の基地職場と比べても労務管理があまりにひどく軍隊式で、実際にうつ発症が増えている。組合としても重大な関心を持って対処する」と強調した。



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