雇用・能力開発機構

ローカルニュース 2008/01/15

ニーズ高まる病児・病後児保育 サービス充実が課題

 働く母親たちを支える新たな子育て支援策として、病気の子どもを預かる「病児・病後児保育」へのニーズが高まっている。鳥取県内では病院や保育所など十三カ所に整備されているが、インフルエンザなど他人に感染する急性期の疾患は受け入れられなかったり、定員超過で利用を断られるケースもあり、保育サービスの充実が求められている。

病後児保育施設「にじっこルーム」の保育室。床暖房で温かい雰囲気のなか、病気の子どもたちがゆっくり一日を過ごせるように工夫されている=鳥取市的場1丁目

 「保育所からよく、子どもが発熱したので迎えに来るように電話がかかってくる。何とか仕事の都合をつけて迎えにいくが、何度ともなると休みづらい」。二歳の息子を鳥取市内の保育所に通わせる母親は、仕事中に携帯電話の着信音がなるたびに、こうした不安が頭をよぎるという。共働き家庭にとっては、子どもが病気になった時どうするかは切実な問題だ。

県内に13カ所

 国は「新しい少子化対策」として、二〇〇九年度までに病児・病後児保育施設を全国千五百カ所に拡充するよう目指しているが、〇七年二月末現在実施されているのは約六百カ所にとどまる。県内では鳥取市の五カ所をはじめ、米子、倉吉、岩美、琴浦、大山、日南、日野、江府の各市町にそれぞれ一カ所ずつ設置。全国的にはトップクラスの整備率だが、急性期の疾患でも受け入れる「病児保育」となると限定される。

 鳥取市では今月七日、市内五カ所目となる新たな病後児保育施設「児童健康支援センターにじっこルーム」(定員四人)が、同市的場一丁目の市立病院の敷地内に開設された。傷病の回復期で安静が必要だが、家庭での保育が困難な生後四カ月から小学校三年生までの子どもを対象に、午前八時から午後六時半まで預かる。

 市立病院の小児科医が診察し、看護師や保育士らスタッフが投薬やアレルギー対応の昼食、おやつの提供などを行うが、三八度以上の発熱や嘔吐(おうと)、発疹(ほっしん)が出ているときなどは利用できない。保育所に併設されている市内三カ所の病後児支援センターも病気回復期の子どもが対象だ。

厳しい運営条件

 一方、同市内には医療機関に併設された施設として、せいきょうこどもクリニック(末広温泉町)併設の「キッズルームこぐま」もある。ここでは病児も受け入れ可能で、インフルエンザシーズンなどには予約が殺到。定員四人を超えて可能な限り受け入れを図るが、「部屋が三室しかないので、病気の種類によっては(感染の影響があるため)利用を断らざるを得ない」という。

 また、県内でいち早く病児保育に取り組んだ米子市榎原の「病児看護センターベアーズデイサービス」では、近隣の自治体の患者も受け入れる。開設した一九九七年度の年間利用者は延べ約五百人だったが、昨年度は約千三百人と三倍近くになった。病児保育へのニーズは高まる一方だが、時期によって利用者数の変動が大きく、予測できないため、職員配置が難しいなど運営条件は厳しい。

 同施設長で、隣接する谷本こどもクリニックの谷本弘子医師(小児科)は「親が本当に困るのは子どもの“急な病気”。いまの子育て支援には、急性期の病気の子どもでも受け入れる病児保育の充実が不可欠で、家庭での看護を支える、きめ細やかな保育の質も問われている」と指摘している。


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