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大阪府知事選

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明日を問う:08大阪知事選/3 医師不足

出動件数は大阪市内だけで年20万件を超え、搬送先探しは難しくなっている=大阪市西区の西消防署で、小松雄介撮影
出動件数は大阪市内だけで年20万件を超え、搬送先探しは難しくなっている=大阪市西区の西消防署で、小松雄介撮影

 ◇2次救命にしわ寄せ

 救急隊長は道路に横たわる男性を見て、高度な救命処置が必要だと判断した。専用の携帯電話で救命救急センターに電話をかけ続けたが、受け入れ施設が見つからない。1カ所目はつながらず、2カ所目と3カ所目は「処置中」だった……。

 今月2日夜、東大阪市で、ミニバイクに乗った男性(49)が乗用車と衝突した事故。結局、最後の砦(とりで)とされる救命救急センター5カ所が受け入れを断り、搬送された6カ所目のセンターで男性は死亡した。

 府内では昨年12月にも富田林市で、嘔吐(おうと)などを訴える女性(89)が、30病院に救急搬送を断られ、病院で亡くなったことが発覚。昨年と一昨年に相次いだ奈良県の妊婦搬送を巡る問題でも、大阪の産科救急の綻(ほころ)びが浮かび上がった。

 全国トップレベルと言われる大阪の救急体制だが、医師不足や勤務医離れの影響は想像以上に深刻だ。大阪大病院高度救命救急センターの杉本寿センター長はこう解説する。

 「医師の退職で救急患者の受け入れを減らす病院が出ている。昨夏ごろから、夜間や休日に手術ができず、救命センターに頼む病院も目立つ。センターは手いっぱいで、今回のようなケースが起きないか心配していた」

 入院が必要な救急患者に対応する「2次救急病院」は府内に約260カ所。その一つ、市立泉佐野病院は、消化器内科の常勤医6人が昨年3月に退職。地元の消防には「吐血など消化管出血の救急対応はできない」と申し入れた。麻酔科の当直医もおらず、夜間や休日の大きな緊急手術には対応できない。星ケ丘厚生年金病院(枚方市)も、7人いた常勤の消化器内科医が昨年4月にいなくなり、内科救急をやめた。

 11カ所の救命救急センターを持つ大阪。しかし、センターを支える2次救急病院がいま崩れつつある。杉本センター長は「研修医に1年間、救急医療を義務づけるなどの対策が必要だ。府には市町村を超えた病院連携の推進、女性医師が辞めずにすむ就労制度や託児所確保などを求めたい」と訴えている。【高木昭午、根本毅】

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 ◆有力3候補の医療問題の公約◆

梅田章二氏 医師・看護師不足による診療科の廃止・縮小を防ぐため、支援する。府立5病院、保健所、公衆衛生研究所の機能充実。

橋下徹氏  小児科・産科の救急受け入れ時の報奨金制度の設立。乳幼児医療費、不妊治療費の支援拡充。無料妊婦検診の回数増。

熊谷貞俊氏 「救命救急都市・大阪」を目指し小児・周産期医療で365日・24時間体制を確立。病院間の連携強化で医師不足を解消。

毎日新聞 2008年1月15日 大阪夕刊

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