防衛省は14日夜から15日朝にかけて、東京都新宿区の新宿御苑で地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の移動展開訓練を初めて実施した。弾道ミサイルの飛来に備え、機材を郊外の航空自衛隊基地から都心へ移動させ、ミサイル迎撃の際に障害物がないかや必要なデータ通信ができるかどうかなどを調べた。インド洋での給油活動特別措置法の成立まで見送ってきたが、同法成立で今後首都防衛の体制づくりに本腰を入れる。
PAC3は地上から弾道ミサイルを迎撃するミサイルで、3月に航空自衛隊入間基地(埼玉県)に初めて配備した。射程は半径約20キロメートルと狭いため、ミサイル飛来の兆候をつかめば速やかに着弾予想地に近い場所に移動させる必要がある。
PAC3はミサイル発射装置やレーダー装置、無線中継装置など複数の車両で構成する。今回は無線中継装置とアンテナをそれぞれ搭載した車両2両が新宿御苑に到着。ミサイル迎撃の際に必要な部隊間のデータ通信の環境確認や、迎撃に障害となる高層ビルやマンションなどの建造物の有無を調べた。
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