ロンドン(CNN) 国際陸上競技連盟(IAFF)は14日、両足が義足のオスカー・ピストリウス選手(21、南アフリカ)について、今夏の北京五輪への出場を認めない決定を下した。
ピストリウス選手は生後まもなく、両足のひざ下を切断し、義足をつけている。2004年のアテネ・パラリンピックでは、短距離の200メートルで金メダル、100メートルで銅メダルを獲得。「ブレードランナー」と呼ばれている。
昨年7月には、ローマで開かれた大会で一般選手と400メートルを争い、2位に食い込んだ。この時の記録が北京五輪への参加標準記録に近づき、北京五輪への出場を希望していた。
しかし、IAAFでは「他選手より有利になる人工装置の利用」を禁じる規定があり、ピストリウス選手の義足がこの「人工装置」に相当するかどうかの判断が待たれていた。
IAAFは昨年11月、ドイツ・ケルンにあるドイツ・スポーツ大学にて、ピストリウス選手の走法を調査。10人以上の科学者が、さまざまな角度から義足が走法に与える影響を観測した。
この調査報告を検討したIAAFは、ピストリウス選手のカーボン繊維製の義足が、同等の力を持つ選手と比べて、約25%の少ないエネルギーで走れていると判断。北京五輪への出場は認められないと決定した。
この決定に、南アメリカ陸連会長は、「ピストリウス選手は北京五輪出場の強化選手に選ばれており、非常に残念だ」と話している。